■今期売上10億円は通過点、拡大する医療サービス市場背景にさらなる売上を見込む
医療従事者不足の課題解決に貢献するMRT<6034>(東マ・100株単位)の馬場 稔正社長(写真)は、アナリスト協会で2016年3月期・第2四半期決算説明を行い、「今3月期の売上げは10億円(前期比20.3%増)と大台に乗せるが、売上10億円~20億円は当社にとって通過点であり、今後いっそいうの売上拡大を見込んでいる」と語った。
東京大学医学部付属病院の医師の互助会を母体として設立、東大卒医師3人に1人がMRTの会員という。社名のMRTは、メディカル・リサーチ&テクノロジーの略。2014年12月に上場、初値は3275円。
第2四半期(4~9月)は売上が前年同期比15.0%増の5億2000万円、営業利益は同3.2%増の1億5000万円だった。売上の伸びに比べ利益の伸びが小さいのは、「業容拡大による人員増で2300万円、拠点拡大に伴う人員採用で700万円、上場維持関連費用の増加で2300万円などの費用が増えたため」(馬場社長)ことによる。
主力の非常勤医師紹介(外勤)及び常勤医師紹介が4億9813万円と前年同期比で16.5%伸長した。コメディカル(看護師、薬剤師、臨床検査技師など)紹介とその他部門が2262万円(同比10.6%減)だった。
今期に入って、リボルバーと業務提携し医師がヘルスケア情報を発信するメディア「Good Doctors」を立ち上げ、エム・ビー・エスと資本業務提携し「指先採決検査」を軸とした新たなサービスへの取り組み、さらに、オプティムとの業務提携で遠隔医療健康相談「ポケットドクター」の共同開発に取り組むなどM&Aを積極的に展開している。
また、9月に大阪営業所を新設、現在、関東中心の営業を関西地区に拡大し全国展開にむすびつける。
16年3月期は売上は前期比20.3%増の10億円、営業利益同比3.7%増の1億8000万円、純益10.5%増の1億0600万円、1株利益46.7円の見通し。配当は内部留保優先で無配。
馬場社長が、売上10~20億円は単なる通過点という背景には、これまでに延べ10万人(日本の医師数は約30万人)の医師を医療現場へ紹介したという実績と医療サービス市場の世界的な拡大がある。とくに、世界の高齢化人口が現在の8.9億人は2050年には25億人と大きく増加することによる医療費の増大、予防医学を含めたヘルスケア分野重視の意識の高まり、新興国での医療サービス需要の高まりなどにより医療市場は医療サービス430兆円、医薬品70兆円、医薬機器20兆円の合計520兆円という膨大な市場規模とみられている。
同社では一般消費者分野にも注力することで業容の拡大を狙っている。馬場社長の言葉の中には、中長期的には売上100億円が目標としてあるものとみられる。
株価は年初来高値が1月7日の4685円=上場来高値)、同安値が991円(8月25日)、直近11月2日終値は1401円。底打ちを確認、週足チャートで26週線に接近の展開で、これから師走相場では材料系銘柄の動くタイミングから狙い場にあるとみていいだろう。高値と安値の「中間値」(1838円)は十分見込めるだろう。