エスプール、25年11月期2桁営業増益予想、ビジネスソリューション事業の成長が牽引
- 2025/1/15 10:21
- 決算発表記事情報
エスプール<2471>(東証プライム)は1月14日に24年11月期連結業績を発表した。各利益は計画を上回る水準で着地した。人材ソリューションが低調だったが、ビジネスソリューション事業の成長が牽引した。25年11月期は増収・2桁営業増益予想としている。引き続きビジネスソリューション事業の成長が牽引する見込みだ。また中期経営計画(25年11月期~29年11月期)を発表し、営業利益のGAGR(年平均成長率)10.1%を目指すとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は反発力が鈍く安値圏でモミ合う形だが底固め完了感を強めている。出直りを期待したい。
■24年11月期の各利益は計画超、25年11月期は2桁営業増益予想
24年11月期の連結業績(IFRS)は売上収益が23年11月期比0.9%減の255億54百万円、営業利益が0.2%増の27億83百万円、親会社所有者帰属当期利益が21.4%増の20億99百万円だった。配当は23年11月期と同額の10円(期末一括)とした。配当性向は37.6%となる。
売上高は計画(270億60百万円)を下回ったが、各利益は計画(営業利益27億50百万円、親会社株主帰属当期純利益18億29百万円)を上回る水準で着地した。人材ソリューションが低調だったが、ビジネスソリューション事業の成長が牽引した。
セグメント別(内部取引、全社費用等調整前)に見ると、ビジネスソリューション事業は売上収益が19.6%増の150億16百万円で、営業利益が21.7%増の36億99百万円だった。
障がい者雇用支援サービスの売上収益は16.4%増の80億35百万円だった。法定雇用率の引き上げ(24年4月)などにより受注・販売とも高水準に推移した。設備販売に期ズレが発生したが、売上高・利益とも計画を達成した。期末時点の顧客数は664社(新規18社、解約5社)で、管理区画数は8809区画、就労者数は4405名(定着率92%)となった。
広域行政BPOサービスの売上収益は8.4%増の15億06百万円だった。下期より定額減税業務を開始し、販管費抑制も寄与して収益改善した。なお総選挙の影響で国策系業務の営業が停滞したため、25年11月期の上期に営業が発生する見込みとしている。環境経営支援サービスの売上収益は67.8%増の15億93百万円だった。コンサルティングサービスの納品次期集中により第4四半期の売上が大幅に伸長した。
ロジスティクスアウトソーシングサービスの売上収益は9.5%減の13億31百万円だった。物流センター運営代行業務からの撤退の影響で減収となり、通販発送代行業務の採算も悪化して営業損益が大幅に減少した。採用支援サービス(OMUSUBI)の売上収益は10.0%増の7億87百万円だった。AI活用による低価格化により応募受付代行の新規顧客が順調に増加した。営業利益は業務効率化効果で3割増益だった。セールスサポートサービスの売上収益は44.9%増の11億66百万円だった。拠点開設効果により大規模キャンペーンの受託が進展したほか、ベルシステム24との共同サービスが拡大した。
人材ソリューション事業は、売上収益が20.2%減の106億20百万円で、営業利益が31.5%減の8億67百万円だった。主力のコールセンター業務の売上収益は21.8%減の85億83百万円、販売支援の売上収益は15.3%減の12億20百万円だった。コールセンター業務の売上収益は新型コロナ関連業務終了により大幅減収だが、需要は緩やかに持ち直し傾向としている。また、需要拡大基調の建設業領域への派遣サービスを第4四半期に開始した。
なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が56億58百万円で営業利益が25百万円、第2四半期は売上高が64億35百万円で営業利益が7億16百万円、第3四半期は売上収益が60億86百万円で営業利益が5億38百万円、第4四半期は売上高が73億75百万円で営業利益が15億04百万円だった。第4四半期は売上高、営業利益とも四半期ベースで過去最高だった。
25年11月期連結業績(IFRS)予想は売上収益が24年11月期比5.0%増の268億28百万円、営業利益が10.4%増の30億74百万円、親会社所有者帰属当期利益が9.2%減の19億07百万円としている。配当予想は24年11月期と同額の10円(期末一括)としている。予想配当性向は41.4%となる。
セグメント別(内部取引、全社費用等調整前)に見ると、ビジネスソリューション事業は売上高が12.6%増の169億08百万円、営業利益が14.3%増の42億29百万円としている。売上高の内訳は障がい者雇用支援サービスが12.0%増の90億円、広域行政BPOサービスが16.2%増の17億50百万円、環境経営支援サービスが15.5%増の18億40百万円、ロジスティクスアウトソーシングサービスが3.8%減の12億80百万円、採用支援サービス(OMUSUBI)が11.1%増の8億75百万円、セールスサポートサービスが22.6%増の14億30百万円としている。
障がい者雇用支援サービスの農園開設は6農園、設備販売は1300区画の計画である。26年より農園の全国展開を目指すが、当面は既存農園の欠員補充対策(採用強化・退職抑制)を優先するため販売を一時的に抑制する。広域行政BPOサービスは下期偏重の計画(上期5億円、下期12.5億円)である。環境経営支援サービスは主要サービスの納品が第3四半期に集中する見込みだ。ロジスティクスアウトソーシングサービスは収益改善に向けて抜本的な立て直しに取り組む。採用支援サービス(OMUSUBI)は新規顧客獲得や既存顧客へのクロスセルを推進する。セールスサポートサービスは主要顧客との取引拡大やベルシステム24との協業拡大を推進する。
人材ソリューション事業は売上高が4.9%減の101億円、営業利益が8.3%減の7億95百万円の計画としている。コールセンター派遣の回復に向けてサービスの差別化に取り組む。売上高の内訳はコールセンター業務が2.1%減の84億円、販売支援が26.2%減の9億円、その他が2.1%減の8億円の計画としている。
25年11月期は増収・2桁営業増益予想としている。また中期経営計画(25年11月期~29年11月期)を発表し、営業利益のGAGR10.1%を目指すとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株価は底固め完了
株価は反発力が鈍く安値圏でモミ合う形だが底固め完了感を強めている。出直りを期待したい。1月14日の終値は317円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS24円14銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の10円で算出)は約3.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS124円51銭で算出)は約2.5倍、そして時価総額は約250億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)