【注目銘柄】科研製薬は目先調整一巡でライセンス契約の業績・配当再上ぶれ寄与を打診買いして反発
- 2025/1/16 09:00
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科研製薬<4521>(東証プライム)は、前日15日に24円高の4181円と6営業日ぶりに反発して引け、今年1月26日につけた昨年来高値4603円を意識する動きを強めた。同社株は、昨年12月26日にアトピー性皮膚炎の治療薬「STAT6阻害剤」のライセンス契約の締結を発表し、株価は、窓を開けて昨年来高値まで急伸し、高値で窓埋めの利益確定売りが続いたが、この窓埋めが進んでおり、目先調整は一巡としてライセンス契約に伴う業績再上ぶれを期待する打診買いが入った。ヒストリカル的にも、同社株は昨年5月にも同薬の知的財産譲渡などの契約を締結し、その後、今2025年3月期業績の上方修正と増配を発表し、株価が急伸しており連想されている。
■創業以来の最大のライセンス契約で2月発表の今期3Q決算の動向が要注目
「STAT6阻害剤」は、アトピー皮膚炎などの次世代経口治療薬として開発されており、ライセンス契約の導出先は、米国のジョンソン&ジョンソン(J&J)社であり、このライセンス契約により同治療薬の前臨床開発段階にある開発が加速することが期待されている。ライセンス契約の一次金として2025年3月期中に3000万ドルを受領し、今後の開発進捗とともにマイルストーンとして最大で総額12億1750万ドルを受け取り、さらに全世界の売り上げに応じて1ケタ台後半から2ケタ台前半での料率でのロイヤリティを受け取る権利も含まれる。昨年5月には、同じJ&J社とアトピー性皮膚炎対応の新規多重特異性抗体「NM26-2198」の知的財産権の譲渡と販売提携オプション契約を締結し、契約一時金2000万ドル、マイルストーンは最大1億3850万ドルの受け取りを予定していた。その後、今期第1四半期決算発表時の今年8月に同契約による契約一時金総額8600万ドルを計上して今2025年3月期業績を上方修正した。
期初予想より売り上げ、営業利益、経常利益を各134億円、純利益を86億円引き上げたもので、売り上げ885億円(前期比22.8%増)、営業利益208億円(同2.28倍)、経常利益212億円(同2.13倍)、純利益142億円(同76.9%増)と見込み、期初の減益転換予想が大幅増益に一変して方向性が変わることになった。この業績修正に伴い中間配当を増配、特別配当40円を上乗せして115円(前年同期実績75円)に引き上げ、年間配当も190円(前期実績150円)に増配を予定している。昨年12月のライセンス契約は、1948年の同社創業以来の最大規模となっており、昨年5月の再現期待につながっており、同様のケースとなるなら今年2月6日発表予定の今期第3四半期(2024年4月~12月期、3Q)決算の動向が要注目となる。
■昨年来高値抜けからPER11倍、配当利回り4.4%の修正に弾みをつけ2021年8月高値目指す
株価は、昨年5月の知的財産譲渡契約で4217円まで約600円高し、8月の全般相場急落の波及で3554円と調整したが、今期業績の上方修正・増配に今期第2四半期業績の大幅増益着地が続いて4591円高値まで買い直され、今年1月のライセンス契約締結では窓を開けて昨年来高値4603円へ上値を伸ばした。足元では、利益確定売りも交錯し窓埋めを続けてきたが、目先調整一巡感も強めておりPER11.3倍、配当利回り4.46%の割安修正から再発進は有力で、昨年来高値奪回から2021年8月高値5330円が次の上値フシとして意識されよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)