【株式市場特集】カタリストが左右する市場動向、IPO株86銘柄が見せる逆行高の可能性

■トランプ政権と金融政策に影響されない銘柄の選別法

 昨年IPOされた86銘柄には、リベンジ相場とチャレンジ相場を展開する銘柄が存在する。これらはカタリスト(株価材料)次第で4つのパターンに分類され、市場環境が波乱含みであっても、特定銘柄が逆行高となる可能性がある。米国のトランプ大統領就任や日本銀行の金融政策決定など外部要因に左右されにくいIPO株が注目されており、「節分天井、彼岸底」といった相場アノマリーを踏まえた銘柄選定も重要となる。有望銘柄をスクリーニングし投資することが新たな戦略として期待される。

■チャレンジ組は業績上方修正・増配などで最高値追いもなお割安

 2024年IPO株のうち、第1のパターンのチャレンジ相場展開の代表例は、ククレブ・アドバイザーズ<276A>(東証グロース)である。同社株は、今年1月14日に今2025年8月期業績の上方修正と増配を発表し、2日連続のストップ高を交えて前週末17日に上場来高値2327円まで買い進まれ公開価格比2.4倍化、初値比86%高となったが、まだ初動段階ともいえる。グロービング<277A>(東証グロース)も、今2025年5月期第2四半期業績が、M&Aプロジェクトの受注増で好調に推移したことから上場来高値9790円まで買われた。

 またレジル<176A>(東証グロース)は、今6月期純利益の連続過去最高予想・普通配当増配で連続の陽線7本を示現して上方来高値まで買われる場面があり、Heart Seed<219A>(東証グロース)は、心不全患者治療薬の臨床試験進展で上場来高値まで買われ、WOLVES HAND<194A>(東証グロース)は、動物病院事業の承継M&Aで公開価格をクリアしたがPERはなお10倍台と割安で、タウンズ<197A>(東証スタンダード)は、インフルエンザ流行による体外診断薬需要拡大期待で上場来高値733円まで買われる場面があったが、PERは11倍台、配当利回りは4.23%となお割り負けている。

■リベンジ組の大勢は低PER・PBR株で「半値八掛け二割引き」銘柄も

 パターン2のリベンジ相場の候補株は、低PER・PBR・高配当銘柄の割り負け修正である。東証スタンダード銘柄が多いが、STG<5858>(東証グロ-ス)、コロンビア・ワークス<146A>(東証スタンダード)、アズパートナーズ<160A>(東証スタンダード)、D&Mカンパニー<189A>(東証グロース)、カドス・コーポレーション<211A>(東証スタンダード)、Faber Company<220A>(東証シタンダード)、シマダヤ<250A>(東証スタンダード)、日水コン<261A>(東証スタンダード)、ガーデン<274A>(東証スタンダード)などで、このうちカドス・コーポのPERは6倍、PBRは0.64倍、配当利回りは4.96%となる。福証Qボード市場や札証アンビシャス市場の地方市場にIPOされた銘柄も、このパターンとなる。

 第3パターンのテクニカル的にリベンジ相場が想定されるのが、光フードサービス<138A>(東証グロース)とグリーンモンスター<157A>(東証グロース)である。光フードサービスは、初値倍率が2.29倍と2024年IPO初値倍率ランキングの第4位と人気化して上場来高値6850円まで買い進まれたが、その後、大底打ちのアノマリーとされる最高値の「半値八掛け二割引き」水準まで大幅調整し、グリーンモンスターも、上場来高値1990円から「半値八掛け二割引き」水準を下回るまで調整、大底逆張り妙味を示唆している。再上場・直接上場組のリベンジ相場は、第4のパターンで、豆蔵デジタル<202A>(東証グロース)、東京地下鉄<9023>(東証プライム)、黒田グループ<287A>(東証スタンダード)、キオクシアホールディングス<285A>(東証プライム)などは、鳴り物入りでIPOされただけに、それだけ株主からのリカバリー催促のプレッシャーは厳しくなると予想され、低PER・PBR・高配当利回り修正期待は高まりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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