NEC、衛星通信の消費電力30%削減を実現するAI技術を開発、回路設計を自動化

■地上系ネットワークへの展開も視野に

 NEC<6701>(東証プライム)は1月21日、AIを活用した波形歪補償技術を開発し、人工衛星の無線通信装置における増幅器の消費電力を約30%削減することに成功したと発表。この技術により、装置の小型化と低コスト化が実現し、近年需要が高まる小型衛星への搭載が容易になる。また、新たに開発された自動回路設計ツールにより、従来数カ月を要した歪補償の回路設計を約1時間で完了できるようになった。

 この技術開発の背景には、通信インフラが未整備の地域における高速インターネット需要や、気候変動などの地球環境モニタリングに向けた通信衛星・観測衛星の需要拡大がある。従来、衛星用無線通信装置の送信部では、増幅器の消費電力が装置全体の電力使用量の大部分を占め、電力効率の悪さが装置の大型化を招いていた。

 NECが開発したAI技術は、歪補償回路の演算効率化により回路規模をコンパクト化し、増幅器における歪特性と電力効率のトレードオフを改善した。これにより放熱部品の容積削減が可能となり、衛星の小型化・低コスト化を実現する。同社は本技術を非地上系ネットワーク(NTN)の発展に活用するとともに、地上系ネットワークへの展開も進めていく方針である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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