日本エンタープライズ、25年5月期は営業・経常増益予想、各事業が順調に推移し収益拡大に期待

 日本エンタープライズ<4829>(東証スタンダード)は、コンテンツサービスやビジネスサポートサービス等のクリエーション事業、およびシステム開発サービスや業務支援サービス等のソリューション事業を展開している。25年5月期は営業・経常増益予想としている。第2四半期累計(中間期)はキッティング支援の作業請負需要後ろ倒し、システム開発サービスの大型案件一巡などで減益だったが、通期ベースでは各事業とも順調に推移する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は動意づいた24年12月の高値圏から反落して水準を切り下げる形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。

■クリエーション事業およびソリューション事業を展開

 同社はコンシューマ向けコンテンツプロバイダを起点に法人向けソリューションへと事業領域を拡大し、現在はコンテンツサービスやビジネスサポートサービス等のクリエーション事業、およびシステム開発サービスや業務支援サービス等のソリューション事業を展開している。

 24年5月期のセグメント別売上高構成比は、クリエーション事業が38%(コンテンツサービスが20%、ビジネスサポートサービスが17%、再生可能エネルギーが1%)で、ソリューション事業が62%(システム開発サービスが48%、業務支援サービスが12%、その他サービスが3%)だった。営業利益構成比(全社費用等調整前)はクリエーション事業が55%、ソリューション事業が45%だった。

 クリエーション事業のコンテンツサービスの24年5月期の売上高構成比はエンターテインメントが49%、ライフスタイルが51%、ビジネスサポートサービスの売上高構成比はキッティング支援が38%、交通情報が25%、コミュニケーションが20%、EC・ASPサービス等が17%だった。

■クリエーション事業は自社IPを活用したサービスを提供

 クリエーション事業は、BtoCのコンテンツサービス(ゲーム・総合電子書籍等のエンターテインメント関連、ATIS交通情報や女性のリズム手帳等のライフスタイル関連などの一般消費者向けスマートフォンコンテンツサービス)、BtoBのビジネスサポートサービス(キッティング支援、交通情報、IP・PBXコミュニケーションシステム、10種類以上の入札方式を有する調達業務支援サービス、飲食事業者向けECサイト「いなせり」等EC・ASPサービスなどの法人向け支援サービス)、BtoBの再生可能エネルギー(山口県における太陽光発電)で構成されている。

 成長戦略として、自社IPを活用したサービス提供を通じて、新しいライフスタイルやビジネススタイルの創造を推進している。

 24年3月には、丸紅ネットワークソリューションズおよびパルコデジタルマーケティングと開発した「AI画像解析による駐車場出庫時間表示サービス」が、イオンモール広島具中に導入された。駐車場内の状況を画像解析し、混雑時の出庫時間の分散化を促すソリューションである。24年8月には、官公庁・国公立私立大学・公共企業等に導入実績のある調達業務支援サービス「Profair」において、新たな入札方式として最低価格落札方式を導入する。提示価格を非公開とすることで過剰な競争を避け、より適正な市場価格での取引を目指す。

 24年9月にはNTTドコモのスマートフォン向けサービス「スゴ得コンテンツ」において、AI英会話サービス「Speak Lab スゴ得」提供開始をリリースした。また広域集客型商業施設「エミテラス所沢」において、独自開発のデフォルメマップによるATIS交通情報の提供を開始した。

 24年10月には中京テレビ放送に対して独自開発のデフォルメマップによる交通情報サービス(ATIS)の提供を開始した。民法で活用されるのは初となる。24年11月には琉球放送(RBC)に対してATISの提供を開始、24年12月にはトヨタ自動車東京本社に対してATISの提供を開始、25年1月にはラジオ沖縄に対してATISの提供を開始した。

■ソリューション事業はシステム開発や業務支援サービスを提供

 ソリューション事業は、BtoBのシステム開発サービス(システム受託開発・保守・運用などのITソリューションサービス)、BtoBの業務支援サービス(高度人材による上流工程の常駐型支援サービス)、BtoBのその他サービス(中古端末買取販売サービス、ガラスコーティング剤販売など)で構成されている。クリエーション事業で培ったノウハウを活かし、ITソリューションを通じて顧客ビジネスに新しい価値を提供する。

 24年10月には企業の調達業務を支援する新たなオープン型サービス「日本オープンマーケット」の提供を開始した。

■25年5月期営業・経常増益予想

 25年5月期連結業績予想は売上高が24年5月期比13.1%増の53億10百万円、営業利益が11.5%増の2億95百万円、経常利益が7.5%増の3億円、親会社株主帰属当期純利益が11.6%減の1億85百万円としている。配当予想は24年5月期と同額の3円(期末一括)としている。予想配当性向は62.5%となる。

 第2四半期累計(中間期)は売上高が前年同期比2.2%減の21億54百万円、営業利益が89.5%減の12百万円、経常利益が79.2%減の27百万円、親会社株主帰属四半期(中間)純利益が8百万円の損失(前年同期は94百万円の利益)だった。

 減収・大幅減益だった。クリエーション事業におけるキッティング支援の作業請負需要後ろ倒し、ソリューション事業におけるシステム開発サービスの大型案件一巡のほか、人件費増加なども影響した。

 クリエーション事業(一般消費者向けコンテンツサービス、法人向けビジネスサポートサービス等)は、売上高が4.7%増の8億35百万円、営業利益(全社費用等調整前)が18.9%減の1億85百万円だった。売上高の内訳は、コンテンツサービスが10.5%増の4億96百万円、ビジネスサポートサービスが3.4%減の3億06百万円、再生可能エネルギーが1.6%増の32百万円だった。一般消費者向けコンテンツサービスは通信キャリアの定額制コンテンツの販促強化や新タイトル投入などの効果で増収だが、法人向けビジネスサポートサービスがキッティング支援の作業請負需要後ろ倒しなどの影響で減収だった。

 ソリューション事業(法人向けシステム受託開発・運用等)は、売上高が6.1%減の13億18百万円、営業利益が21.4%減の1億24百万円だった。売上高の内訳は、システム開発サービスが11.1%減の9億44百万円、業務支援サービスが31.7%増の3億37百万円、その他サービスが57.7%減の35百万円だった。人手不足問題にマッチした業務支援サービスが増収だったが、システム開発サービスが大型案件一巡などで減収だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が10億69百万円で営業利益が1百万円、第2四半期は売上高が10億85百万円で営業利益が11百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いている。親会社株主帰属当期純利益は前期計上の特別利益剥落により減益だが、各事業とも順調に伸長して増収、営業・経常増益予想としている。クリエーション事業では一般消費者向けコンテンツサービスにおける定額制コンテンツの既存サービス拡大、法人向けビジネスサポートサービスにおけるキッティング支援の拡大、ソリューション事業ではシステム開発サービスや業務支援サービスの拡大を推進する方針だ。第2四半期累計(中間期)は大幅減益だったが、通期ベースでは各事業とも順調に推移する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は動意づいた24年12月の高値圏から反落して水準を切り下げる形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。1月24日の終値は119円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS4円80銭で算出)は約25倍、今期予想配当利回り(会社予想の3円で算出)は約2.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS127円61銭で算出)は約0.9倍、そして時価総額は約46億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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