【アナリスト水田雅展の銘柄診断】ケンコーマヨネーズは地合い悪化の状況でも高値圏で堅調推移、中期成長力を評価して上値追い

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 業務用マヨネーズ・ドレッシング類大手でサラダ・総菜関連も拡大しているケンコーマヨネーズ<2915>(東1)の株価は、10月7日に年初来高値となる1201円まで上伸し、全般地合い悪化の状況でも高値圏1100円台後半で堅調に推移している。強基調の形であり、中期成長力を評価して上値追いの展開だろう。なお11月7日に第2四半期累計(4月~9月)の業績発表を予定している。

 サラダ類、マヨネーズ・ドレッシング類、タマゴ加工品などの調味料・加工食品事業、フレッシュ総菜などの総菜関連事業、その他事業(ショップ事業、海外事業)を展開している。

 中期経営計画で掲げた「サラダカフェ」「サラダ料理」「世界のソース」「タマゴ製品」など、タマゴ加工品や総菜関連分野への事業領域拡大戦略を加速し、新商品を積極投入している。14年3月には静岡富士山工場(静岡県富士市)が竣工した。業務用メーカーからの脱皮を目指してBtoC市場への事業展開も強化し、サラダカフェ事業は30店舗構想を掲げて百貨店やショッピングモールへのショップ展開を進めている。

 今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(5月12日公表)を据え置いて、売上高が前期比4.7%増の600億円、営業利益が同19.0%増の28億90百万円、経常利益が同19.5%増の27億円、そして純利益が同25.6%増の15億90百万円で、配当予想が同2円増配の年間23円(第2四半期末10円、期末13円)としている。

 第1四半期(4月~6月)は、穀物相場の高騰、鶏卵相場の高値圏推移、燃料費の上昇、静岡富士山工場立ち上げの一時的費用などが影響して前年同期比30.4%営業減益、33.8%経常減益、30.0%最終減益だったが、期初計画を上回る水準だった。売上面では分野別・業態別チームによる決め細やかな営業の成果、タマゴ加工品を中心とするコンビニエンスストア向け商品の採用拡大などで同2.8%増収と好調だった。

 通期ベースでは原材料高や静岡富士山工場稼働の一時的費用などの影響を吸収して増収増益見通しだ。セグメント別売上高の計画は調味料・加工食品事業が同4.1%増の495億円、総菜関連事業が同8.3%増の93億円、その他事業が同2.3%増の12億円としている。

 なお当社と味全食品工業股份有限公司が50%ずつ出資する頂可(香港)控股份有限公司の100%子会社である東莞頂可食品有限公司(持分法適用関連会社)を14年8月末で解散した。生産効率改善に向けて主力工場の杭州頂可食品有限公司へ生産を集約した。また国内では100%出資子会社の関東ダイエットエッグ新座工場(埼玉県新座市)を14年9月に閉鎖した。生産効率改善に向けて静岡富士山工場に生産を集約する。いずれも生産拠点統合に伴う一時費用が発生するが業績に与える影響は軽微としている。

 分野別・業態別チームのきめ細やかな対応、メニュー提案力強化、新商品投入などで、コンビニエンスストア・食品スーパー・外食向けに、サラダ・総菜類やタマゴ加工品の採用が順調に拡大している。利益面では、原材料高に対応した価格改定効果や生産効率改善効果なども寄与する。中期的にも収益拡大基調だろう。

 なお株主優待については毎年3月末日現在の株主に対して実施している。1単元(100株)以上10単元(1000株)未満所有株主に対して当社商品1000円相当、10単元以上所有株主に対して当社商品2500円相当を贈呈する。

 株価の動きを見ると、9月26日に1179円を付けて7月高値1169円を突破し、10月7日の年初来高値1201円まで上伸した。10月17日に1084円まで調整する場面があったが、全般地合い悪化の状況でも概ね高値圏1100円台後半で堅調に推移して上値を窺っている。中期成長力を評価する動きだろう。

 10月30日の終値1192円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS111円89銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間23円で算出)は1.9%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1112円55銭で算出)は1.1倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だ。中期成長力を評価する流れに変化はなく上値追いの展開だろう。

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