【株式市場特集】不動産市場の勝者と敗者、投資家が注目すべき銘柄は

■不動産株投資、代替投資としての可能性に注目

 新型コロナ感染症のパンデミック時にリモートワーク需要で戸建住宅販売を伸ばしたパワービルダーも、足元ではコスト増と住宅ローン金利上昇の影響を受けている。そこに海外投資家の日本不動産市場への積極的な投資が加わり、不動産業界は業績伸び悩み組と上方修正組に二極化している。業績修正の勝ち組はPER7倍台、年間配当利回りも5.59%と割安であり、M&Aを仕掛ける企業も見られる。高額な投資物件は手が出しにくいが、株券は相対的に入手しやすいため、代替投資のショートカットとして一考の余地がある。

■低PER・PBR・高配当利回りのバリュー株に業界流動化関連のM&A銘柄も

 業績上方修正銘柄は、ムゲンエステートを筆頭に昨年11月以降、前週末31日までの手集計では18銘柄を数える。このうちPER評価で割安なトップ10は、5.1倍のインテリックス<8940>(東証スタンダード)以下、コロンビア・ワークス<146A>(東証スタンダード)、ビーロット<3452>(東証スタンダード)、グッドコムアセット<3475>(東証プライム)、ムゲンエステート、グローバル・リンク・マネジメント<3486>(東証プライム)、地主<3252>(東証プライム)、スター・マイカ<2975>(東証プライム)、野村不動産ホールディングス<3231>(東証プライム)、大和ハウス工業<1925>(東証プライム)と続き、第10位の大和ハウスのPERは11.4倍である。業績の上方修正とともに増配を同時発表した銘柄も多く、ムゲンエステートの年間配当利回りは、5.59%、グッドコムアセット、ビーロット、インテリックス、グローバルリンクの配当利回りは、4%を超えているなどバリュー株が目白押しである。

■住宅業界に流動化の波、TOB絡みで3社が業績上振れ

 業績上方修正にM&Aが絡んだ流動化銘柄は、3社を数える。マーキュリー<5025>(東証グロース)は、昨年8月にGA technologies<3491>(東証グロース)に株式公開買い付け(TOB・TOB価格509円)され、今年1月14日に今2月期業績を大幅上方修正した。プレサンスコーポレーション<3254>(東証スタンダード・監理)は、昨年11月に自身が行ったTOBによる負ののれん益発生で2024年9月期業績を上方修正したあと、今年1月10日にオープンハウスグループ<3288>(東証プライム)によるTOB(TOB価格2390円)への賛同意見を取締役会決議し、株価はTOB価格にサヤ寄せする急伸となった。前週末31日には、大東建託<1878>(東証プライム)が、アスコット<3264>(東証スタンダード)のTOB(TOB価格260円)を発表している。いずれも顧客層を第一次住宅取得者と投資家、商品を戸建て住宅とマンション、さらに販売エリアを異にしてその補完関係を構築・強化することを目的にしており、業界流動化の反映として注目されそうだ。

■不動産DX・クラウドサービス関連株や米国住宅事業展開株にも逆張り余地

 不動産投資の成否の要は、情報とデータ、データ分析にある。業績を上方修正したマーキュリーと同業の不動産のDX(デジタルトランスフォーメーション)銘柄、クラウドサービス銘柄も、今後のウエルネスマネジメント(富裕層ビジネス)や海外投資家関連では存在感が際立ってくる。業績の上方修正がなく投資採算的にも割安感はないが、前記のGA technologiesのほかLIFULL<2120>(東証プライム)、いい生活<3796>(東証スタンダード)、日本情報クリエイト<4054>(東証グロース)、プロパティデータバンク<4389>(東証グロース)、Speee<4499>(東証スタンダード)、楽待<6037>(東証スタンダード)などをマークするところだろう。

■日米金利政策の明暗、住宅株の逆張り妙味増す

 また番外編では、トランプ大統領の就任でFRB(米連邦準備制度理事会)の政策金利引き下げは、先行きやや不透明となっているが、これから政策金利を引き上げる日本と利下げスタンスを維持する米国では方向感が異なる。米国市場での住宅事業を次の成長戦略としている大和ハウス、積水ハウス<1928>(東証プライム)、住友林業<1911>(東証プライム)の下値は、逆張りも一法となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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