【株式評論家の視点】デクセリアルズは第3四半期に業績偏重で今3月期上振れの公算、利回り4%

株式評論家の視点

デクセリアルズ<4980>(東1)は、本年7月29日に東京証券取引所市場第1部に上場。高機能材料メーカーとして光学材料及び電子材料の事業領域で製品を展開している。事業の特性上、スマートフォン、タブレットPC、ノートPC等の最終製品で使用される中小型ディスプレイや電子部品関連業界の動向の影響を受けやすい傾向があるため、同社グループの業績は、短期的には上記の最終製品の新モデル投入時期及びその販売数量、並びにそれらの関連製品に係る主要顧客からの受注の影響を受けやすくなっている。

また、クリスマス等の年末休暇や中国の春節等の商戦期に向けて当該最終製品の生産が本格化する第2四半期及び第3四半期に業績が偏重する傾向がある一方で、中小型ディスプレイ市場は、新興国市場や車載用ディスプレイをはじめとする産業用市場を中心に堅調な拡大が中期的にも続くと見込んでいる。

10月29日大引け後に今2016年3月期第2四半期業績予想の修正を発表した。第2四半売上高は従来予想の327億円から316億1700万円に減額したが、営業利益は同38億円から43億5200万円、経常利益は同35億円から42億9700万円、純利益が同20億円から26億9900万円に増額した。

第2四半期については、主に接合関連材料及び光学ソリューションカテゴリーの売上高が想定を下回ったが、為替の好影響に加え、同社の主力製品である異方性導電膜(ACF)及び光学樹脂材料(SVR、ハイブリッドSVRなど)カテゴリーの売上が想定を上回ったため、当初の見通しを上回り利益段階においては上ブレ着地した。

通期業績予想は、売上高が756億円(前期比15.4%増)、営業利益が119億円(同23.8%増)、経常利益が115億円(同16.5%増)、純利益が70億円(同34.7%減)を見込む。年間配当は55円を予定している。

株価は、9月1日につけた上場来の高値1790円から11月4日に1352円と売られ10月27日につけた上場来の安値1365円を更新し調整している。郵政3社の上場に伴い、乗り換えのため直近IPOに換金売りが出たもよう。25日移動平均線が上値抵抗線として意識されているが、通期業績予想の上ブレが期待されるほか、今期予想PER12倍台と割安感があるほか、配当利回り4.0%と利回り妙味が増す水準。中小型ディスプレイ市場の成長が続くと見られることから、日柄調整が進めば、上値を試す可能性はある。ここからの押し目は中長期的に買い妙味が膨らもう。(株式評論家&アナリスト・信濃川)

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