【編集著の視点】ヨシムラ・フード・ホールディングスはWショックを織り込み連続最高純益更新が手掛かり

■昨年来高値から直近安値への調整幅の3分の1戻しの1296円が戻りメド

 ヨシムラ・フード・ホールディングス<2884>(東証プライム)は、前日4日に11円安の1004円と4営業日続落して引けた。ただこの日の取引時間中の安値996円からは小戻して引けており、下げ渋る動きも示した。同社株は、今年1月14日に今2025年2月期業績の2回目の上方修正を発表したが、市場コンセンサスを下回るとして株価はダウンサイド反応し、1月29日には子会社役員が、インサイダー取引で告発され株価が下ぶれるなどダブルショックが続いたが、再上方修正された今期純利益が、連続して過去最高を大幅に更新することを見直し売られ過ぎ修正期待の打診買いも交錯した。株式需給的にも、昨年9月20日につけた昨年来高値1914円から約5カ月が経過し、高値期日向かいも意識されている。

■2回も上方修正された今期業績はなお原発事故賠償金で上ぶれ余地

 同社の今2月期業績は、東京電力HD<9501>(東証プライム)からの原発事故賠償金8億4800万円の受領と、中国の日本産水産物の全面輸入禁止により急落したホタテ製品の市場価格の回復、ALPS処理水関連の緊急新規需要開拓等支援事業補助金の収入などを要因に昨年12月と今年1月に2回上方修正された。この結果、今期業績は、売り上げ582億1500万円(前期比16.9%増)、営業利益31億円(前期比31.6%増)、経常利益35億4300万円(同19.0%増)、純利益16億2000万円(同58.0%増)と大幅続伸し、純利益は、前期の過去最高を大幅に更新する。ただ利益水準は、市場コンセンサスを9億円~8000万円下回った。

 しかしこの予想業績は、なお上ぶれの余地が残る。東京電力HDからの損害賠償金一つとっても、受領した対象期間を2023年8月1日から2023年10月31日までとしており、なお2023年11月以降分についても請求が続くためだ。また中国の日本産水産物の輸入再開が、日中政府で合意されておりこの期待も高まる。一方、インサイダー取引は、2023年8月にワイエスフードの株式を同社が取得し連結子会社化した際に、相手先のワイエスフードの社長が、不正にヨシムラフードの株式を買い付けたもので、同社が関与したものでなく関係当局の捜査には全面的に協力するとしており、経緯が明らかになったことから株価へのショックは、一時的にとどまる見込みである。

■昨年来高値から5カ月が経過し陰の極の高値期日向かいも意識

 株価は、昨年9月に日中政府が日本産水産物の輸入再開へ合意と報道されたことで急伸した昨年来高値1914円から下値調整が続き、今年1月の業績再上方修正では窓を開けて1008円へ下ぶれ、さらにインサイダー取引の告発がダブルショックとなって987円と売られた。業績実態からもPER14.7倍と売られ過ぎで、日柄的にも昨年来高値から約5カ月を経過し陰の極として高値期日向かいも意識されている。まず昨年来高値から直近安値への調整幅の3分の1戻しの1296円が戻りメドとなりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞・株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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