加賀電子は25年3月期3Q累計減収減益だが需要回復基調で計画比上振れ

 加賀電子<8154>(東証プライム)は2月6日に25年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。減収減益だった。電子部品事業における主要顧客の在庫調整長期化の影響に加え、海外子会社における特定大口顧客向け取引終息、賃上げや物流コスト上昇なども影響した。ただし需要が回復基調となり、社内計画比では上振れて着地した。そして通期予想を据え置いた。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。株価は反発力が鈍くモミ合う形だが、指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。

■25年3月期3Q累計減収減益だが需要回復基調で計画比上振れ

 25年3月期第3四半期累計(24年4月~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比2.5%減の3962億43百万円、営業利益が11.9%減の180億56百万円、経常利益が9.5%減の183億79百万円、親会社株主帰属四半期純利益が20.5%減の127億14百万円だった。

 減収減益だった。電子部品事業における主要顧客の在庫調整長期化の影響に加え、海外子会社における特定大口顧客向け取引終息、賃上げや物流コスト上昇なども影響した。ただし需要が回復基調となり、社内計画比では売上高が約10億円、営業利益が約15億円、それぞれ上振れて着地した。なお特別利益では、投資有価証券売却益が10億79百万円減少(前期は13億55百万円、当期は2億76百万円)した一方で、前期計上の負ののれん発生益4億81百万円と関係会社清算益4億80百万円が剥落した。

 電子部品事業は売上高が3.2%減の3462億12百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が20.9%減の135億68百万円だった。減収減益だった。EMSビジネスは車載向けや産業機器向けが堅調だったが、部品販売ビジネスにおける主要顧客の在庫調整長期化の影響に加え、子会社エクセルの海外子会社における特定大口顧客向け取引終息なども影響した。

 情報機器事業は売上高が10.9%減の269億53百万円、利益が1.6%増の19億53百万円だった。売上面は量販店向けパソコンが低調だったほか、LED設置ビジネス大口案件の一巡も影響して減収だが、利益面は収益性の高いセキュリティソフトの好調などで利益率が向上して増益だった。

 ソフトウェア事業は売上高が14.0%増の20億70百万円、利益が17.5%増の3億08百万円だった。CG映像制作が堅調に推移して増収増益だった。

 その他事業(エレクトロニクス機器修理・サポート、アミューズメント機器製造・販売、スポーツ用品販売など)は売上高が26.7%増の210億06百万円、利益が97.9%増の20億97百万円だった。大幅増収増益だった。パソコン製品・周辺機器のリサイクルビジネス、アミューズメント機器、スポーツ用品が好調だった。

 なお会社別の営業利益(連結調整前)は加賀電子が2.3%減の152億95百万円、加賀EFIが57.1%減の14億73百万円、エクセルが15.1%減の11億20百万円、中計セグメント別の営業利益(同)は電子部品が31.5%減の80億58百万円、EMSが2.6%増の60億96百万円、CSI(コンシューマー&システムインテグレーター)が1.6%増の19億53百万円、その他が2.4倍の18億19百万円だった。

 また全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1286億38百万円で営業利益が55億50百万円、第2四半期は売上高が1304億26百万円で営業利益が59億51百万円、第3四半期は売上高が1371億78百万円で営業利益が65億54百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が24年3月期比2.3%増の5550億円、営業利益が0.6%増の260億円、経常利益が0.1%増の260億円、親会社株主帰属当期純利益が11.5%減の180億円としている。配当予想は第2四半期末が110円、期末が55円としている。24年10月1日付株式2分割を考慮して年間換算すると、24年3月期は年間110円(第2四半期末55円、期末55円)で、25年3月期も24年3月期と同額の年間110円(第2四半期末55円、期末55円)となる。予想配当性向は32.1%となる。

 セグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が2.1%増の4825億円でセグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が0.1%増の209億円、情報機器事業の売上高が1.6%増の450億円で利益が2.6%増の30億円、ソフトウェア事業の売上高が16.8%増の30億円で利益が8.1%増の4億円、その他事業の売上高が5.4%増の245億円で利益が9.3%増の17億円としている。営業利益(前期比+2億円)の変動要因は販売数量・販売ミックスで+16億円、人件費増加(賃上げ、新卒採用、定期昇給など)で▲15億円、その他経費で+1億円の見込みとしている。

 営業・経常利益横ばい予想としている。需要面については下期からの回復基調を見込み、利益面では賃上げ等による人件費の増加を販売数量と販売ミックスによって吸収する見込みだ。第3四半期累計の進捗率は売上高71%、営業利益69%、経常利益71%、当期純利益71%とやや低水準の形だが、第3四半期累計が社内計画比で上振れたこと、需要が回復基調であることなど勘案すれば、通期会社予想の達成は可能と考えられる。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価(1株当たり数値は24年10月1日付株式2分割後)は反発力が鈍くモミ合う形だが、指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。2月6日の終値は2766円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS342円53銭で算出)は約8倍、今期予想配当利回り(株式2分割を考慮した年間換算額110円で算出)は約4.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPSを株式2分割後に換算した2871円11銭で算出)は約1.0倍、そして時価総額は約1588億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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