【株式市場特集】産金株、貴金属回収のリデュース株、貴金属買い取り・再販のリユース株に注目

■決算発表を控えた金関連株、消去法で選好される可能性も

 米国の10年物国債利回りが一時上昇したものの、その後低下し、安全資産の国債買いや日米金利差の縮小が円高・ドル安の要因となっている。こうした流れの中、金先物価格は史上最高値を連日更新し、1トロイオンス2910.6ドルに到達した。各国中央銀行のドル離れによる金保有増や、米国の経済制裁・追加関税回避のための買い増しが背景にある。市場では2025年の3000ドル予測が前倒しされるとの見方が強まっており、金関連株も物色の対象となる可能性が高い。金関連株には、今週相次いで決算発表を予定する銘柄もあり、産金株、貴金属回収のリデュース株、貴金属買い取り・再販のリユース株の定番銘柄にスタンバイするところだろう。

■最高値追いの金先物価格が想定価格を上回り産金株の業績を押し上げ

 産金株の代表の住友金属鉱山<5713>(東証プライム)は、今週12日に今3月期第3四半期(3Q)決算の発表を予定している。今期業績は、昨年8月に上方修正されたあと11月にはニッケル価格下落で逆に下方修正されが、この11月時の今期想定金価格は、1トロイオンス=2403.5ドルと足元の最高値2910.6ドルからは500ドルも下位にある。鉱石1トン当たりの平均金量が約20グラムの世界有数の高品位金鉱脈である菱刈鉱山に加え、昨年8月からはカナダのコテ金鉱山の商業生産も開始しており、3Q決算動向が要注目となる。黒鉱からの産金と貴金属リデュース事業を展開するDOWAホールディングス<5714>(東証プライム)は、昨年11月に今期業績を上方修正し、三井金属<5706>(東証プライム)は、昨年8月の今期第2四半期業績の上方修正に続き11月に今期通期業績の上方修正を発表した。純金積立をオンライン展開している三菱マテリアル<5711>(東証プライム)を含めてこの非鉄4社の株価は、PERが5倍~14倍、PBRが0.49倍~0・94倍、配当利回りが2.7%~4.0%と出遅れを示唆しており、金関連株全般の今後の方向性を左右しそうだ。

 リデュース株も、業績の上方修正が相次いだ。極低位株の中外鉱業<1491>(東証スタンダード)は、昨年8月期今3月期中間業績、11月に通期業績を上方修正した。金先物価格の上昇に加え円安・ドル高の影響も加わり、国内の金小売り価格が、やはり史上最高値追いとなっていることが要因である。同様にイボキン<5699>(東証スタンダード)、松田産業<7456>(東証プライム)も業績を上方修正しており、AREホールディングス<5857>(東証プライム)が今年1月29日に発表した今3月期第3四半期の純利益は、前年同期比60.4%増と大幅続伸し、アサカ理研<5724>(東証スタンダード)の今9月期純利益は、特別利益の一巡で前期比40.8%減益予想となっているが、前期業績は上方修正した。

■家計内の約66兆円の「隠れ資産」の顕在化でリユース株の業績上方修正・増配など続々

 リユース株は、リデュース株が「都市鉱山」といわれる国内の大規模な廃棄物市場を対象にビジネスを展開しているのと同様に、家計で1年以上使用されていない不用品として退蔵されている約66兆円と推計される「隠れ資産」をターゲットとしており、国内小売り金価格の最高値追いとともにこの隠れ資産が換金目的で売却さて顕在化し、貴金属の「家庭内鉱山」としてリユース株の成長要因となっている。またゲオホールディングス<2681>(東証プライム)のようにこのビジネスモデルで海外進出し、米国などで積極的な店舗展開するケースもみられる。

 注目銘柄は、前週6日に今3月期業績を上方修正したばかりのハードオフコーポレーション<2674>(東証プライム)のような好業績推移の割安株で、増配が上乗せとなる銘柄はゲオホールディングス、コメ兵ホールディングス<2780>(東証スタンダード)、トレジャー・ファクトリー<3093>(東証プライム)、シュッピン<3179>(東証プライム)と続く。買取王国<3181>(東証スタンダード)は、今2月期業績を下方修正したが、株価そのものはPER7倍と割り負け、BuySell Technologies<7685>(東証グロース)は、昨年12月末に株式分割(1株を2株に分割)の権利を落としたばかりである。ネット型のリユース株では、マーケットエンタープライズ<3135>(東証プライム)が、株主優待制度の大幅拡充で昨年来高値を更新し、フリマアプリのメルカリ<4385>(東証プライム)は、今6月中間期の純益大幅増益で前週末7日にストップ高しており、リユース株の人気増幅をサポートしよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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