生化学工業は25年3月期3Q累計大幅増益、通期大幅増益予想据え置き、海外医薬品、医薬品原体・医薬品受託製造、LAL事業が堅調

 生化学工業<4548>(東証プライム)は2月7日に25年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。大幅増収増益だった。国内医薬品は低調だったが、海外医薬品、医薬品原体・医薬品受託製造、LAL事業が堅調だったほか、ロイヤリティー収入の増加が寄与した。そして通期の大幅増益予想を据え置いた。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は安値圏でモミ合う形だが、高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。

■25年3月期3Q累計大幅増益、通期も大幅増益予想

 25年3月期第3四半期累計連結業績は売上高が前年同期比11.2%増の304億45百万円、営業利益が31.3%増の30億57百万円、経常利益が21.7%増の37億11百万円、親会社株主帰属四半期純利益が14.4%増の30億88百万円だった。

 国内医薬品は低調だったが、海外医薬品、医薬品原体・医薬品受託製造、LAL事業が堅調だったほか、ロイヤリティー収入の増加が寄与した。研究開発費は1.7%増の51億87百万円だった。営業外では為替差損益が3億72百万円悪化(前期は差益2億36百万円、当期は差損1億36百万円)した。

 医薬品事業は売上高が9.3%増の215億62百万円、営業利益が42.8%増の22億04百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が4.6%減の86億01百万円、海外医薬品が3.1%増の77億63百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が5.1%増の25億99、ロイヤリティー収入が271.6%増の25億98百万円だった。

 国内医薬品は関節機能改善剤アルツおよび眼科手術補助剤オペガン類が減少した。関節機能改善剤アルツについては、競合品からの切り替え進展で医療機関納入本数が大幅増加したものの、増産体制整備に向けた設備メンテナンスに伴う出荷量調整の影響で減収だった。眼科手術補助剤オペガン類については、緩やかな市場成長等で医療機関納入本数が増加したものの、前期に競合品の限定出荷に伴い当社製品の出荷が一時的に増加した反動で減収だった。海外医薬品は、米国向け関節機能改善剤ジェル・ワンが出荷タイミングの影響で減少したが、スパルツFXの増収が牽引した。医薬品原体・医薬品受託製造は、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が増加した。

 LAL事業は売上高が16.0%増の88億83百万円、営業利益が8.5%増の8億52百万円だった。海外子会社ACC社における円安効果、グルカン測定体外診断用医薬品および遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬パイロスマートネクストジェンの販売増が牽引した。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高100億22百万円、営業利益16億40百万円、経常利益21億86百万円、第2四半期は売上高101億88百万円、営業利益8億97百万円、経常利益1億68百万円、第3四半期は売上高102億35百万円、営業利益5億20百万円、経常利益13億57百万円だった。なおロイヤリティー収入は第1四半期に23億88百万円を計上した。また営業外では第3四半期に為替差損益が改善した。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が24年3月期比10.5%増の400億円、営業利益が9.1倍の39億50百万円、経常利益が2.7倍の45億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が57.8%増の34億50百万円としている。配当予想は24年3月期比4円増配の30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。予想配当性向は47.4%となる。

 大幅増益・増配予想としている。国内薬価引き下げの影響、一部の海外医薬品の出荷調整の影響などにより医薬品の販売は減少するが、ロイヤリティー収入の増加や研究開発費の減少が寄与する見込みだ。研究開発費の計画は7.8%減の69億円としている。また前期の繰延税金資産計上の反動で税金費用が増加する見込みだ。なお国内医薬品の関節機能改善剤アルツについては、設備メンテナンスに伴う出荷量調整の影響が第3四半期まで継続するが、第4四半期には生産量が回復し、通期ベースでは計画通りの売上高となる見込みとしている。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は安値圏でモミ合う形だが、高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。2月7日の終値は789円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS63円23銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の30円で算出)は約3.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1324円82銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約448億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■AI機能強化でさらに便利に!Siriの進化とChatGPT統合で作業効率向上  Appleは3月…
  2. ■ChatGPT Enterpriseを活用し、業務効率化と新たな価値創造を推進  ふくおかフィナ…
  3. ■2024年度の美容室倒産件数、前年を大幅に上回る197件  帝国データバンクの調査によると、20…
2025年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

ピックアップ記事

  1. ■株価55%高もまだ割安!?記念優待利回り10%超の注目株  10日には米国の関税発動停止を受け、…
  2. ■一喜一憂の投資家心理、トランプ関税「一時停止」の罠  まずフェイクニュースかと目と耳を疑った。次…
  3. ■脱炭素とデジタル革新:万博から広がるビジネスチャンス  本日2025年4月13日に開幕した大阪・…
  4. ■関税不安の裏で進む金市場の静かな熱気  トランプ関税による世界同時不況懸念が強まり、金先物価格が…
  5. ■トランプ政権の暴走がもたらすリスク回避の波  こんな言い方をしたら今の若い市場参加者の方々にはイ…
  6. ■関税応酬が金融市場を直撃!パンデミック以来の暴落規模に  2025年4月4日、ニューヨーク株式市…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る