フジクラ、第3四半期決算で大幅増収増益達成、通期業績予想と配当予想も上方修正、情報通信事業が牽引

(決算速報)

■データセンター向け需要が拡大

 フジクラ<5803>(東証プライム)は、2025年3月期第3四半期決算を発表し、大幅な増収増益を達成した。売上高は前年同期比18.7%増の7,110億円、営業利益は同87.1%増の963億円、経常利益は同85.8%増の958億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同65.1%増の591億円となった。

 この好業績を牽引したのは、情報通信事業である。生成AIの普及・拡大を背景に、データセンター向けの需要が引き続き伸長し、売上高は前年同期比40.4%増の3,080億円、営業利益は同106.7%増の610億円と大幅な増収増益を達成した。また、エレクトロニクス事業もデータセンター向けHDD需要増、高採算製品の選択受注による品種構成の良化、及び為替の影響により、売上高は前年同期比10.9%増の1,427億円、営業利益は同45.6%増の194億円となった。

 他の事業も概ね好調に推移しており、自動車事業は生産性の改善、コストアップ分の顧客転嫁の推進等により、売上高は前年同期比0.8%増の1,349億円、営業利益は54億円(前年同四半期は営業利益2億円)となった。エネルギー事業は国内の再開発や新工場建設等の需要が引き続き堅調に推移し、売上高は前年同期比7.0%増の1,106億円、営業利益は同45.1%増の81億円となった。不動産事業は「深川ギャザリア」の賃貸収入等により、売上高は前年同期比2.8%増の81億円、営業利益は同2.9%増の38億円となった。

 2024年12月末の総資産は7,903億円となり、2024年3月末に比べて665億円増加した。これは主に、情報通信事業部門における需要増を背景に、売上債権及び棚卸資産等の流動資産が増加したことによる。負債は3,729億円となり、2024年3月末に比べて156億円増加した。これは主に、情報通信事業部門における需要増を背景に支払債務が増加したことによる。純資産は4,174億円となり、2024年3月末に比べて508億円増加した。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上及び為替変動に伴う為替換算調整勘定の増加による。

■通期売上高は9,400億円、営業利益は1,240億円に上方修正

 同社は、2025年3月期の通期連結業績予想を上方修正した。売上高は前回発表予想から600億円増の9,400億円、営業利益は同200億円増の1,240億円、経常利益は同190億円増の1,220億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同120億円増の740億円に修正した。

 業績予想の修正理由として、情報通信事業部門において、生成AIの普及・拡大を背景としたデータセンター向け需要が継続して大幅に伸長していること、また、それ以外の事業も引き続き好調に推移していることを挙げている。ただし、今後の経済状況や市場動向、競合他社の動向等により、業績が変動する可能性がある。

 フジクラは、情報通信事業を強化し、データセンター関連需要の取り込みを図ることで、更なる成長を目指している。また、他の事業においても、高付加価値製品の開発や事業効率化を進めることで、収益性の向上を図る方針である。

■期末配当も増配、年間配当は80円に

 同社は、業績予想の修正に伴い、期末配当予想も修正した。前回発表予想より13円増配の1株当たり46.5円に修正し、年間配当は1株当たり80円(中間33.5円、期末46.5円)となる見込みである。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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