アルコニックスは25年3月期3Q累計大幅増益、アルミ銅・装置材料・金属加工事業が伸長、自己株式取得も発表

 アルコニックス<3036>(東証プライム)は2月10日に25年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。大幅増益だった。電子機能材事業がニッケル市況下落の影響を受けたが、アルミ銅事業、装置材料事業、金属加工事業が伸長した。そして通期大幅増益予想を据え置いた。需要・市況の回復、価格転嫁やコスト改善の進展などを見込んでいる。積極的な事業展開で収益改善基調だろう。なお2月12日の東京証券取引所の自己株式立会外買付取引(ToSTNeT―3)において自己株式取得(上限35万株または5億25百万円)を実施する。株価は1月の戻り高値圏から反落して上げ一服の形となったが、好業績、自己株式取得、指標面の割安感を評価して上値を試す展開を期待したい。

■25年3月期3Q累計大幅増益と順調、通期も大幅増益予想

 25年3月期第3四半期累計(24年4月~12月)連結業績は、売上高が前年同期比12.2%増の1468億27百万円、営業利益が27.2%増の54億24百万円、経常利益が19.7%増の53億56百万円、そして親会社株主帰属四半期純利益が27.6%増の35億74百万円だった。電子機能材事業がニッケル市況下落の影響を受けたが、アルミ銅事業、装置材料事業、金属加工事業が伸長した。

 セグメント別利益(経常利益)は、商社流通の電子機能材事業が0.0%減の16億62百万円、商社流通のアルミ銅事業が56.9%増の6億15百万円、製造の装置材料事業が61.6%増の7億百万円、製造の金属加工事業が19.7%増の23億50百万円だった。

 電子機能材事業は、ニッケル原料取引の収益率が改善したが、ニッケル原料とレアアースの販売価格下落により微減収・微減益だった。アルミ銅事業は、アルミ地金やアルミスクラップの需要・市況が堅調だったほか、銅板条の収益率改善も寄与して大幅増収増益だった。装置材料事業は、海外におけるメッキ材料や検査用消耗品の販売が好調だったことに加え、カーボンブラシの収益率改善も寄与して大幅増収増益だった。金属加工事業は、半導体製造装置関連加工品や二次電池用部品の需要が堅調に推移し、銅加工品の収益率改善も寄与して大幅増収増益だった。

 なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が458億50百万円、営業利益が18億02百万円、経常利益が20億78百万円、第2四半期は売上高が498億01百万円、営業利益が16億49百万円、経常利益が19億52百万円、第3四半期は売上高が511億76百万円、営業利益が19億73百万円、経常利益が13億26百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が24年3月期比5.8%増の1850億円、営業利益が31.8%増の72億円、経常利益が32.2%増の72億円、親会社株主帰属当期純利益が181.6%増の45億円、そしてEBITDA(参考)が14.1%増の117億円としている。配当予想については24年11月6日付で6円(第2四半期末3円、期末3円)上方修正して、24年3月期比9円増配の64円(第2四半期末32円、期末32円)としている。予想配当性向は43.0%となる。

 セグメント別利益(消去前経常利益)の計画は、商社流通が27.4%増の26億円(電子機能材が26.4%増の22億40百万円、アルミ銅が33.2%増の4億円)で、製造が34.5%増の46億円(装置材料が36.1%増の13億円、金属加工が33.8%増の33億円)としている。

 需要・市況の回復、価格転嫁やコスト改善の進展などの効果により大幅増益、そして連続増配予想としている。第3四半期累計の進捗率は売上高が79%、営業利益が75%、経常利益が74%、当期純利益が79%と順調だった。積極的な事業展開で収益改善基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は1月の戻り高値圏から反落して上げ一服の形となったが、好業績、自己株式取得、指標面の割安感を評価して上値を試す展開を期待したい。2月10日の終値は1500円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS148円85銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の64円で算出)は約4.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2180円07銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約466億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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