【どう見るこの株】JエンジンはPER8倍と売られ過ぎ示唆、下値は押し目買いのチャンス

どう見るこの株

■アンモニア燃料船人気に業績再上方修正・再増配がオンしてバリュー株買いが交錯

 ジャパンエンジンコーポレーション(Jエンジン)<6016>(東証スタンダード)は、前日13日に405円安の4000円と5営業日ぶりに急反落して引けた。同社株は、今年1月9日にアンモニア燃料エンジンへの補助金事業への採択、10日の日本郵船<9101>(東証プライム)のアンモニア燃料船の定期傭船契約締結などを手掛かりに株価が上ぶれ、株式分割(1株を3株に分割)の権利落ち後高値44875円まで急伸した。続いて12日には今2025年3月期第3四半期(2024年4月~12月期、3Q)決算の開示に合わせて、今3月期通期業績の再上方修正と再増配を発表したが、再増額業績が、市場コンセンサスを下回るとして目先の利益を確定する売り物が先行した。ただこの日の取引時間中の安値3955円からはやや持ち直して引けており、下値にはバリュー株買いが交錯した。

■アンモニア燃料エンジンの世界シェア20~30%を目指し新工場を建設

 アンモニア燃料船は、海運業界で規制が進んでいる脱炭素化に向け、二酸化炭素を排出しないアンモニアを燃料とするゼロエミッション船として海運会社、造船会社とともに開発を進めており、この新燃料エンジンの開発は同社が担当している。同エンジンは昨年11月に試運転を完了し、2025年にはフルスケールエンジンの初号機を完成して実船に搭載し2026年に実証運転を予定している。同エンジンは、環境省と国土交通省が連携している「ゼロエミッション船等の建造促進事業」に採択され、新工場建設やアンモニア燃料の供給能力増強のために計画している総投資額199億1000万円のうち最大で66億4000万円が補助金として支給される。同社は、新エンジンへの生産をシフトし、2050年には100台体制に増強し、世界シェア20%~30%を目指す。日本郵船は、2026年11月に竣工する同アンモンニア燃料船でノルウエーの肥料大手ヤラ・インターナショナルと定期傭船契約を締結した。

 一方、今2025年3月期業績は、昨年8月に上方修正されたが、その修正値を再上方修正した。8月増額値より売り上げを13億円、利益を8億3000万円~5億8000万円引き上げ、売り上げ288億円(前期比37.3%増)、営業利益49億1000万円(同2.24倍)、経常利益52億6000万円(同49.5%増)、純利益41億5000万円(同62.9%増)と大幅続伸を見込み、純利益は、前期の過去最高(25億4800万円)を大きくオーバーする。舶用内燃機関では、販売台数増と価格改善が進展し、修理・部品では船舶の高稼働運航でメンテナンス部品や中国ライセンシーへの部品供給、ロイヤルティ収入が堅調に推移したことなどが寄与した。配当は、期末配当を42円から52円に増配し、株式分割を考慮しない年間配当は、216円(前期実績130円)と連続の大幅増配を予定している。

■PERは8倍と売られ過ぎを示唆しまず分割権利落ち後高値奪回にチャレンジ

 株価は、業績続伸・連続増配予想に株式分割人気がオンして上場来高値2万190円まで買い進まれ昨年8月の全般相場急落の波及で1万1130円と売られたが、1万2510円で分割権利を落とした。権利落ち後は、4605円高値から落ち後安値3765円まで調整するなど25日移動平均線を出没する三角保ち合いを続けたが、アンモニア燃料エンジンの補助金支給決定で4875円と分割権利落ち後高値を更新し、日本郵船の定期傭船契約でも4160円と買われるなど上放れを窺った。足元では利益確定売りが先行しているが、PERは8.0倍と売られ過ぎを示唆している。下値は押し目買いのチャンスであり、上値追いにチャレンジしまず分割権利落ち高値4875円を奪回しよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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