Jトラストは25年12月期大幅営業増益で増配予想、指標面の割安感も評価材料

 Jトラスト<8508>(東証スタンダード)は2月13日に24年12月期連結業績を発表した。前期の特殊要因(負ののれん発生益)の剥落により減益だが、営業収益は過去最高と順調に拡大した。そして25年12月期は大幅営業増益で増配予想としている。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。なお株主優待制度の内容一部変更(詳細は会社HP参照)も発表した。株価は昨年来高値更新後に上げ一服の形となったが、指標面の割安感も評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。

■24年12月期は減益、25年12月期は大幅営業増益で増配予想

 24年12月期の連結業績(IFRS)は営業収益が23年12月期比12.2%増の1281億70百万円、営業利益が22.4%減の62億52百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益が63.0%減の60億40百万円だった。配当は23年12月期と同額の14円(期末一括)とした。配当性向は31.4%となる。

 前期の特殊要因(不動産事業においてミライノベートを吸収合併したことに伴い負ののれん発生益101億円を計上)の剥落により大幅減益だが、営業収益は日本金融事業の成長加速などにより過去最高と順調に拡大した。また韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業は黒字転換した。

 日本金融事業の営業利益は51.2%増の70億40百万円だった。大幅増益で計画を約13億円上回って着地した。証券業務やクレジット・信販業務における手数料収益増加などで17.7%増収となり、前期に貸倒引当金(損失評価引当金)を積み増した反動も寄与した。

 韓国及びモンゴル金融事業の営業利益は9億64百万円(23年12月期は33億34百万円の損失)だった。貯蓄銀行業における貸出金の減少などで2.6%減収だが、利息費用の減少や貸倒引当金(損失評価引当金)繰入額の減少などにより黒字転換した。

 東南アジア金融事業の営業利益は15億09百万円(23年12月期は10億19百万円の損失)だった。銀行業における貸出金増加に伴う貸出金利息収入増加、銀行預け金の平残増加や基準金利上昇に伴う預金利息収入増加などで24.3%増収となり、徹底した不良債権管理による貸倒引当金(損失評価引当金)繰入額の減少なども寄与して黒字転換した。

 不動産事業の営業利益は96.7%減の3億61百万円だった。売上収益は販売用不動産増加などで23.9%増収だが、利益面はミライノベートを吸収合併したことに伴い前期計上した負ののれん発生益が剥落して大幅減益だった。

 投資事業の営業利益は15億95百万円の損失(23年12月期は20億72百万円の損失)だった。PCL社に係る訴訟判決による回収金を計上して営業損失が縮小した。その他事業の営業利益は2億11百万円の損失(23年12月期は55百万円の損失)だった。

 なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は営業収益が315億54百万円で営業利益が2億81百万円の損失、第2四半期は営業収益が338億73百万円で営業利益が23億38百万円、第3四半期は営業収益が314億88百万円で営業利益が29億68百万円、第4四半期は売上収益が312億55百万円で営業利益が12億27百万円だった。

 25年12月期の連結業績予想については、営業収益が24年12月期比5.4%増の1351億円、営業利益が77.5%増の111億円、親会社の所有者に帰属する当期利益が7.6%増の65億円としている。配当予想は24年12月期比3円増配の17(期末一括)としている。予想配当性向は34.7%となる。

 セグメント別営業利益の計画は、日本金融事業が5.9%増の74億59百万円、韓国及びモンゴル金融事業が83.7%増の17億71百万円、東南アジア金融事業が100.1%増の30億21百万円、不動産事業が161.8%増の9億46百万円、投資事業が49百万円の損失(24年12月期は15億95百万円の損失)、その他事業が2億20百万円の損失(24年12月期は2億11百万円の損失)としている。

 日本金融事業は信用保証業務、債権回収業務、証券業務が順調に伸長して増収増益を見込む。韓国及びモンゴル金融事業は、短期延滞債権の回収に注力して貸倒引当金(損失評価引当金)繰入額の減少を見込むほか、大型不良債権のリファイナンシング等による貸倒引当金(損失評価引当金)戻入益を見込む。東南アジア金融事業は、インドネシアでは銀行業務の積極的な貸出残高の増強など、カンボジアでは富裕層を主要顧客とする貸出および運用提案を強化する。不動産事業は総合不動産会社として商品ブランド認知に注力する。投資事業は裁判費用等の回収コストを抑制しつつ、GL社に対する債権回収強化を図る。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は上値試す

 株価は昨年来高値更新後に上げ一服の形となったが、指標面の割安感も評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。2月13日の終値は504円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS48円96銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の17円で算出)は約3.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結1株当たり親会社所有者帰属持分1184円52銭で算出)は約0.4倍、そして時価総額は約694億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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