ネオジャパン、25年1月期はソフトウェア事業が好調で大幅増益予想、26年1月期も収益拡大基調

 ネオジャパン<3921>(東証プライム)は、自社開発のグループウェアdesknet‘s NEOクラウドサービスを主力として、製品ラインアップ拡充による市場シェア拡大戦略、アライアンス戦略、東南アジア市場開拓戦略を推進している。25年1月期は大幅増益・大幅増配予想としている。クラウドサービスの改定効果も寄与してソフトウェア事業が好調に推移する。26年1月期も積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は反発力が鈍くモミ合う形だが、調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。

■自社開発グループウェアのクラウドサービスが主力

 ビジネス・ITコミュニケーションツール開発企業である。自社開発のグループウェアdesknet‘s NEOのクラウドサービス(月額課金収入)を主力に、大企業向け中心のプロダクト(パッケージソフト販売のライセンス収入およびサポートサービス収入)も展開している。

 海外展開は19年6月米国子会社DELCUIを設立、19年12月マレーシアに合弁会社(連結子会社)NEOREKA ASIAを設立、21年2月タイに子会社Neo Thai Asiaを設立、24年4月フィリピンに子会社NEOPhilippineを設立し、拠点開設は3ヶ国となっている。当面は投資が先行する形だが、ASEAN全域においてdesknet‘s NEOブランドの確立を目指す。

 24年1月期の売上高構成比は、グループウェアを中心とするビジネスICTツールのソフトウェア事業が69%(クラウドサービスが45%、プロダクトが24%、技術開発が1%)、子会社Pro-Spireのシステム開発サービス事業が31%、海外事業が1%、調整額が▲2%、営業利益構成比はソフトウェア事業が94%、システム開発サービス事業が8%、海外事業が▲2%、調整額が0%だった。

■ユーザー数は増加基調

 desknet‘s NEOは、すべての組織のDX推進を支えるオールインワン改善プラットフォームである。多機能・使いやすさ・高品質・低価格を強みとしている。業種・業態・規模を問わず幅広く企業・官公庁・自治体に採用され、自治体・政府機関1100以上(都道府県庁18含む)に導入されている。24年9月には最新バージョン8.6の提供を開始した。

 desknet‘s NEO以外の製品ラインアップとしては、ノンプログラムで誰でもWebアプリを簡単に作成できるノーコード業務アプリ作成ツールAppSuite、新しいコミュニケーションツールとしてのセキュリティ特化型ビジネスチャットChatLuckも提供しており、desknet‘s NEOとの連携を強化している。24年12月にはChatLuckの新バージョン6.6の提供を開始した。

 また24年6月には、カスタマーコミュニケーションハブとしてNEOPORTの提供を開始した。メール、チャット、動画音声メッセージなど多様化するカスタマーとのコミュニケーションチャネルを共通のプラットフォームに統合し、AI・自動化技術も活用してチームでの顧客対応業務を効率化させるクラウド型の新しいコミュニケーションツールである。

 なお24年1月期末時点のユーザー数は、desknet‘s NEOのプロダクト累計販売実績が23年1月期末比4.6%増の438.4万ユーザー、クラウドユーザー数が7.9%増の52.1万ユーザー、AppSuiteのプロダクト累計販売実績が79.8%増の31.1万ユーザー、クラウドユーザー数が31.8%増の5.8万ユーザーとなっている。

■さまざまな賞を受賞

 24年9月には日経BP発行の「日経BPガバメントテクノロジー 2024年秋号」で発表された「自治体ITシステム満足度調査2024―2025 グループウェア/ビジネスチャット部門」において1位を獲得した。

 24年12月にはスマートキャンプ社が運営する「BOXIL SaaS AWARD Winter 2024」において、desknet‘s NEO、AppSuite、ChatLuckが、3部門で計10の賞を受賞した。

 25年1月にはアイティクラウドが主催する「ITreview Grid Award 2025 Winter」において、desknet‘s NEO、AppSuite、ChatLuckが、それぞれ4部門で最高位であるLeaderを受賞した。

■成長戦略

 中期業績目標値には、26年1月期売上高78億75百万円、営業利益16億95百万円、当期純利益11億70百万円、1株当たり利益78円50銭、1株当たり配当31円、配当性向39.5%を掲げている。

 成長戦略として国内累計販売ユーザー数1000万ユーザー、グループウェア国内トップシェアを目指し、desknet‘s NEOを核とするエンタープライズ向け製品ラインアップ拡充戦略、市場シェア拡大戦略、シナジーが見込めるアライアンスへの戦略投資、マレーシアの合弁会社を拠点とするクラウドサービスの東南アジア市場開拓戦略などを推進している。

 東南アジア市場開拓戦略では、23年9月にフィリピン経済特区庁(PEZA)と適切なICTシステムの開発と導入に関する基本合意(MOU)を締結した。海外政府機関とのMOU締結は同社にとって初となる。24年7月にはマレーシアの連結子会社NEOREKA ASIAが、desknet‘s NEOとAppSuiteでマレーシア投資開発庁のデジタル改革加速を支援すると発表した。24年10月にはNEOREKA ASIAが、Solsis(Dataprep Holdingsの連結子会社)と販売代理店契約を締結した。マレーシア政府機関などへの販売拡大を目指す。

■戦略投資

 24年10月には横浜市と共同開発の傷病者情報共有システム(仮)の実証事業を開始した。AppSuiteおよびdesknet‘s NEOを活用して救急現場のDXを支援する。24年12月にはneoAI(東京都)と生成AIサービス提供開始に向けて業務提携した。

■サステナビリティ経営

 サステナビリティ経営への取り組みとして23年5月にサステナビリティ委員会を設置、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同を表明した。24年3月には横浜市が取り組む「横浜健康経営認証」において最高クラスの「横浜健康経営認証クラスAAA」に認定(認証期間は24年4月1日から2年間)された。24年3月には経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度において健康経営優良法人2024(大規模法人部門)に認定(5年連続)された。24年6月には厚生労働大臣が認定する「くるみん認定」を取得した。またスポーツ庁が推進する「Sport in Lifeコンソーシアム」に加盟した。25年2月にはスポーツ庁の「スポーツエールカンパニー2025」に認定された。

■25年1月期大幅増益・大幅増配予想

 25年1月期の連結業績予想(24年12月10日付で上方修正)は売上高が24年1月期比9.6%増の72億53百万円、営業利益が45.3%増の18億84百万円、経常利益が40.0%増の19億25百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が38.4%増の13億23百万円としている。配当予想(24年6月14日付で配当政策変更・中間配当実施・配当予想上方修正、24年12月10日付で期末3円上方修正)については、24年1月期比8円増配の31円(第2四半期末14円、期末17円)としている。予想配当性向は33.0%となる。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比6.6%増の52億86百万円、営業利益が27.3%増の13億78百万円、経常利益が26.7%増の14億56百万円、親会社株主帰属四半期純利益が19.0%増の9億83百万円だった。大幅増益だった。24年9月に実施したソフトウェア事業におけるクラウドサービス改定効果などが牽引した。

 ソフトウェア事業は売上高(外部顧客への売上高)が8.7%増の37億53百万円、セグメント利益(調整前営業利益)が39.6%増の14億23百万円だった。売上高の内訳はクラウドサービスが11.2%増の24億37百万円(グループウェアdesknet‘s NEOクラウドが12.4%増の20億45百万円、ノーコード業務アプリ作成ツールAppSuiteクラウドが35.8%増の1億74百万円、ビジネスチャットChatLuckクラウドが12.7%増の61百万円等)、プロダクトが4.0%増の12億57百万円、技術開発が11.2%増の58百万円だった。クラウドサービスが価格改定も寄与して拡大した。グループウェアdesknet‘s NEOの期末時点のプロダクト累計販売実績数は4.2%増の453.8万ユーザー、クラウドユーザー数は3.1%増の53.7万ユーザーとなった。

 システム開発サービス事業(子会社のPro-SPIRE)は売上高が0.4%増の15億23百万円でセグメント利益が34.7%減の45百万円、海外事業は売上高が9.1%増の89百万円でセグメント利益が91百万円の損失(前年同期は9百万円の利益)だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が16億87百万円で営業利益が4億36百万円、第2四半期は売上高が16億78百万円で営業利益が4億11百万円、第3四半期は売上高が19億20百万円で営業利益が5億31百万円だった。

 通期連結業績予想は前回予想(売上高70億37百万円、営業利益16億05百万円、経常利益16億19百万円、親会社株主帰属当期純利益10億98百万円)に対して、売上高を2億16百万円、営業利益を2億79百万円、経常利益を3億05百万円、親会社株主帰属当期純利益を2億25百万円それぞれ上方修正した。24年9月に実施したクラウドサービス価格改定やセットプラン販売開始なども寄与して主力事業が好調に推移し、コスト面では人件費やソフトウェア償却費が増加する一方で広告宣伝費が減少することも寄与する見込みだ。26年1月期も積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は調整一巡

 株価は反発力が鈍く小幅レンジでモミ合う形だが、調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。2月17日の終値は1730円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS93円98銭で算出)は約18倍、前期推定配当利回り(会社予想の31円で算出)は約1.8%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS427円03銭で算出)は約4.1倍、そして時価総額は約243億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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