【編集長の視点】山形銀行は業績再上方修正などのフルセット材料を手掛かりに押し目買い妙味

■売り方と買い方との攻防が今後の注目ポイント

 山形銀行<8344>(東証プライム)は、前日20日に8円安の1418円と続落して引けた。日経平均株価が、486円安と大幅続落したことから、今年2月17日に昨年来高値1460円まで買われていた同社株にも目先の利益を確定する売り物が増勢となった。ただ同社株は、今年2月3日に今2025年3月期の2回目の上方修正や増配、自己株式取得、株主優待制度の導入などフルセットの材料を発表しており、押し目でこれを見直してバリュー株買いが再燃する展開も想定される。株式需給的にも、足元の株価上昇にともに信用売り残が積み上がって買い残が減少し、信用倍率が1倍を割り逆日歩がつくなど好取組になっており、売り方と買い方との攻防が、今後の注目ポイントとしても浮上しそうだ。

■増配、自己株式立会外買付取引、優待制度導入も続き株式魅力度大幅アップ

 同社の今3月期業績は、昨年10月に上方修正されたがその修正値を今回、再び上方修正した。10月増額値より経常収益を10億円、経常利益を11億円、純利益を7億円それぞれ引き上げたもので、経常収益500億円(前期比9.2%減)、経常利益59億円(同56・8%増)、純利益40億円(同2.16倍)と見込んでいる。経常収益は、有価証券利息配当金などの資金運用収益が減少して減収転換するが、利益は、資金利益や株式などの売却損益が前回想定を上回り、与信関係費用も前回想定を下回っていることなどが再上ぶれ要因となっている。配当は、期末配当を期初予想の17.5円から27.5円に引き上げ、年間配当を45円(前期実績35円)に増配を予定している。

 自己株式取得は、資本効率の向上を通じて株主への利益還元を図るために実施するもので、取得株式数40万株(発行済み株式総数の1.25%)、取得総額4億8000万円の取得枠を設定し、2月26日に立会外買付取引(買付価格1339円)で35万8400株、4億7989万円を買い付けた。株主優待制度は、同行株式の魅力を高めて多くの株主に保有してもらうことを目的に導入するもので、同行株式を200株以上、1年以上保有している株主にクオカード2000円分を贈呈するが、この初回となる今3月期末は、保有期間の縛りは行わない。

■信用倍率は1倍を割りPER11倍、PBR0.3倍の修正で2019年12月高値を意識

 株価は、昨年10月の今期業績の1回目の上方修正では反応は限定的で1000円台出没が続いたが、今回の2回目の上方修正などのフルセットの材料発表では窓を開けて急伸し昨年来高値1460円へ約44%の急伸を演じた。この急騰では高値で信用売り残が積み上がり、信用倍率が薄めながら1倍を割り逆日歩のつく好取組となり、売り方・買い方の今後の攻防が注目されている。PERは11.3倍、PBRは0.31倍、年間配当利回りは3.17%、優待制度込みでは3・87%と割安である。昨年来高値更新でこの5年来のボックス相場の上限をブレークしたここからは、次の上値フシとして2019年12月高値1711円が意識されよう。(情報提供:日本インタビュ新聞・株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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