アイフリークモバイル、25年3月期は販管費削減と事業拡大が寄与し赤字縮小予想、e-SportsやNFT事業を推進

 アイフリークモバイル<3845>(東証スタンダード)は、電子絵本アプリや知育アプリなどのコンテンツ事業、およびシステム受託開発や人材派遣などのDX事業を展開し、成長戦略としてブロックチェーン技術を活用したNFTコンテンツ分野やe-Sports関連サービスなども強化している。25年3月期(第3四半期より非連結決算に移行)は、前期の連結業績との比較で見ると減収だが、販管費削減効果等で赤字縮小の見込みとしている。積極的な事業展開で収益改善基調を期待したい。株価は徐々に下値を切り上げて底打ち感を強めている。出直りを期待したい。

■コンテンツ事業とDX事業を展開

 電子絵本アプリや知育アプリなどのコンテンツ事業、およびシステム受託開発や人材派遣などのDX事業(25年3月期よりコンテンツクリエイターサービス事業の名称を変更)を展開し、成長戦略としてブロックチェーン技術を活用したNFTコンテンツ分野やe-Sports関連サービスなども強化している。

 24年3月期のセグメント別業績は、コンテンツ事業の売上高が1億51百万円でセグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が39百万円の損失、コンテンツクリエイターサービス事業の売上高が24億19百万円でセグメント利益が2億10百万円だった。

 なお、人材配置の最適化など経営合理化・組織運営効率化を図るため、24年4月にコンテンツ事業の子会社アイフリークスマイルズを吸収合併した。また24年10月にはe-Sports事業、SES事業、ゲーム関連事業の子会社I-FREEK GAMES(23年5月設立)を吸収合併した。

■コンテンツ事業は電子絵本アプリや知育アプリなど

 コンテンツ事業は、デコメ・絵文字・スタンプ・壁紙などのデジタル素材「デココレ」のほか、電子絵本アプリ「森のえほん館」や、知育アプリ「あそびタッチ」などの低年齢層向けファミリーコンテンツなども展開している。絵本アプリ「森のえほん館」は500冊以上の作品を収録し、累計130万ダウンロードを記録している。なおデジタルコンテンツは、クリエイター支援WEBサイト「CREPOS」によって約1万人の外部登録クリエイターを組織化し、20万点以上のデジタル資産を有している。

 24年1月には、レジャー・エンターテインメント施設向けソリューションを提供するORIGRESS PARKS(東京都)の第三者割当増資を引き受けて資本業務提携した。クリエイターネットワーク「CREPOS」と、ORIGRESS PARKSのレジャー・エンターテインメント施設ネットワークを活用し、24年4月より共同事業として、エンターテインメント施設向けキャラクター活用サービス「アイフレス」を開始した。

 24年7月にはYouTubeチャンネル「Popo Kids」において、画像生成AIを活用したデジタル絵本動画「世界が終わる前に」の配信を開始した。25年2月にはYouTubeチャンネル「Popo Kids」のチャンネル登録者数が12万人を突破した。

■DX事業はシステム受託開発や人材派遣など

 DX事業は、WEBコンテンツ制作・システム受託開発、人材派遣などを展開している。22年10月には、NHN JAPANグループのNHN テコラス社が提供する「テコラス パートナープログラム」に参画した。NHN テコラス社は日本に12社しかないアマゾン ウェブ サービス(AWS)の最上位プレミアティア サービスパートナーとして、AWSを中心としたITインフラ総合支援サービスを提供している。NHN テコラス社が提供する多様なサービスを活用することでビジネス拡大を推進する。

■新規分野へ展開

 次世代ブロックチェーン技術を活用したNFT(非代替性トークン)コンテンツ分野への展開も注力している。21年10月にはUUUM<3990>の子会社で次世代ブロックチェーン技術を活用したデジタルトレーディングカード専門のNFTマーケットプレイス「HABET(ハビット)」を運営するFORO社(現NUNW社)と戦略的業務提携契約を締結した。21年11月にはNFTマーケットプレイス「HABET」を活用し、クリエイター向けNFT出品支援プログラム「CREPOS NFT 支援プログラム」第1弾を本格始動した。

 22年2月には有信アクロス(大阪府吹田市)と障がい児向け知育アプリ提供事業に関する業務提携に向けた基本合意書を締結した。有信アクロスは全国219ヶ所で放課後等デイサービス「ウィズ・ユー」をフランチャイズ展開するとともに、児童発達支援も行っている。22年10月には具体的内容として、知育アプリに特化したタブレットのリース事業「知育アプリ提供サービス」の開始を発表した。

 22年3月にはJリーグクラブ「ジュビロ磐田」を運営するジュビロとサポーティングカンパニー契約を締結した。同クラブのマスコットキャラクターが登場する電子絵本を共同制作する。22年6月にはアーティストのためのXRクリエイティブプラットフォーム「STYLY」を運営するPsychic VR Lab社と、メタバース・VR・AR・MR技術を包括する「XR領域」において、アーティスト/クリエイターの発掘・育成支援を目的とする連携を開始した。メタバース事業領域への新たな取り組みとして「CREPOS」クリエイターに向けた特別講義を提供する。

 23年2月には、日本のe-Sports業界における受託事業に特化したウェブサイト開設を発表した。ゲーム関連事業が有するノウハウを活用したe-Sports関連サービス(イベント企画・運営・配信・機材貸出・スタッフ派遣等)の提供を通じて、e-Sportsの発展に貢献する方針としている。23年4月には、e-Sportsプロプレイヤーとして世界的に活躍するaMSa(アムサ)選手とスポンサー契約を締結した。

 24年6月にはI-FREEK GAMESが自社開発パズルゲーム「ナンバーズゴール」のiOS版をリリースした。25年1月には「CREPOS」所属のクリエイターとTOPPAN社がコラボレーションを行い、東京ビッグサイトで開催された「東京eスポーツフェスタ2025」において、体験型コンテンツとして実施された「グッドラックゲーム」のイメージキャラクターを提供した。

■25年3月期赤字縮小予想

 25年3月期の業績予想(子会社のI―FREEK GAMESを10月1日付で吸収合併して第3四半期より非連結決算に移行)は、売上高が20億63百万円、営業利益が44百万円の損失、経常利益が36百万円の損失、当期純利益が75百万円の損失としている。前期の連結業績(売上高25億71百万円、営業利益95百万円の損失、経常利益76百万円の損失、親会社株主帰属当期純利益99百万円の損失)との比較で見ると、減収だが赤字縮小の見込みとした。なおI―FREEK GAMESと合併したことに伴い、第3四半期の特別損失に抱合せ株式消滅差損を計上予定である。

 第3四半期累計は売上高が14億49百万円、営業利益が19百万円の損失、経常利益が10百万円の損失、四半期純利益が38百万円の損失だった。前年同期の連結業績(売上高19億06百万円、営業利益91百万円の損失、経常利益76百万円の損失、親会社株主帰属四半期純利益74百万円の損失)との比較で見ると、広告宣伝費等の販管費削減効果で損失縮小した。

 コンテンツ事業は売上高が79百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が23百万円の損失だった。前年同期の連結ベースの売上高は1億31百万円、営業利益は33百万円の損失だった。広告宣伝費削減や事業運営効率化などの効果で損失縮小した。

 DX事業は売上高が13億31百万円、セグメント利益が1億51百万円だった。前年同期(セグメント名はCCS事業)の連結ベースの売上高は17億74百万円、営業利益は1億43百万円だった。既存顧客に対する単価改定交渉が一部結実したことに加え、稼働率も高水準に推移して増益だった。

 全社ベースの業績を四半期別(第2四半期まで連結ベース、第3四半期より非連結ベース)に見ると、第1四半期は売上高が6億30百万円で営業利益が19百万円の損失、第2四半期は売上高が6億10百万円で営業利益が30百万円の損失、第3四半期は売上高が2億09百万円で営業利益が30百万円だった。

 通期予想は据え置いている。前期の連結業績との比較で見ると減収だが、販管費削減効果等で赤字縮小の見込みとしている。コンテンツ事業ではBtoC向けの新しい知育アプリ開発、絵本制作、絵本レンタルのBtoB事業運営、協業パートナー拡大によるBtoB販路拡大など、DX事業では生成AI・RPA・メタバース(VR/AR)・データサイエンス・ゲーム等の専門領域に特化したエンジニアの育成、既存取組案件における商流改善、高単価案件の獲得などを推進する方針だ。積極的な事業展開で収益改善基調を期待したい。

■株価は底打ち

 株価は徐々に下値を切り上げて底打ち感を強めている。出直りを期待したい。2月21日の終値は83円、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS37円38銭で算出)は約2.2倍、時価総額は約15億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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