【ネット通販の苦境鮮明】無店舗小売業の倒産・廃業が過去最多、小規模企業に打撃

■2024年の無店舗小売業の倒産は169件、前年比1.5倍増

 コロナ禍で急成長したインターネット通販を含む「無店舗小売業」の倒産が急増している。東京商工リサーチの調査によると、2024年の倒産は169件で、前年比45.6%増となり、過去最多を記録した。また、休廃業・解散も261件で前年比21.3%増となり、倒産と合わせると合計430件に達した。市場自体は拡大を続けているが、競争激化とコスト上昇により、経営が立ち行かなくなる企業が増加している。

■ネット通販の利点と厳しい現実

 ネット専業の小売業は、出店コストが低く、時間や地域を問わず販売できる利点がある。そのため、小規模資本でも参入しやすく、異業種からの新規参入が相次いだ。しかし、競争が激化するなか、価格競争が避けられず、仕入れや物流コストの上昇が利益を圧迫。採算が取れずに市場から撤退する企業が増えている。

■倒産は小規模・新興企業に集中

 倒産した企業の約8割が負債5千万円未満、従業員5人未満が9割を占める。さらに、設立10年以内の企業が6割以上を占めるなど、無店舗小売業の倒産は小規模で歴史の浅い企業に集中している点が特徴だ。大手企業との差別化ができないと、経営の継続は難しくなる傾向が見られる。

■競争が続くEC市場、求められる差別化戦略

 市場の競争が激しさを増すなか、価格面で優位に立つ大手企業と差別化するためには、独自の商品開発やブランド戦略が不可欠となる。特に小規模企業は、品揃えの充実や付加価値を提供し、消費者の支持を得る戦略が求められている。今後も無店舗小売業の淘汰が進む可能性が高く、業界全体が厳しい局面に立たされている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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