【株式評論家の視点】うかい、二番底形成へ、箱根噴火で美術館影響だが本業好調で成長性不変
- 2015/11/9 09:22
- 株式評論家の視点
うかい<7621>(JQS)は、昭和39年に東京都八王子市高尾にうかい鳥山を開業して、2014年12月に創業50周年を迎え、現在は八王子市内に4店舗、東京23区内に5店舗、神奈川県に3店舗の飲食、製菓「アトリエ」店舗と箱根に美術館を経営・運営している。
飲食事業では、既存店舗の中長期的な成長を鑑み、店舗運営の適正化を進めている。その一つとして一部店舗で導入している定休日を、とうふ屋うかい大和田店・鷺沼店でも導入し、今後のサービス力向上を図っている。一方、昨年年4月にオープンした「銀座kappou ukai」では、同社の新しいブランドとして営業活動に力を入れ、集客力向上に努めているほか、「アトリエうかい」では、本年4月に八王子工房を新たに新設し、新規商品の投入や生産力の増加を進めるなど、飲食事業としてそれぞれの店舗の収益力を分散化させることで収益性の向上を図っている。
文化事業では、女性に人気の高いガラス香水瓶を集めた、「2015年特別企画展 魅惑の香水瓶─貴族が愛した香りの芸術─」を主軸にプロモーション強化を行っているほか、箱根町の外客数の増加を受け、インバウンド戦略として、パンフレットの配布、ショップの免税販売、無料Wi-Fiの設置など、サービスの拡大を図り、集客につなげている。
11月6日大引け後に今2016年3月期第・2四半期決算を発表。第2四半売上高は59億0700万円(前年同期比1.5%減)、営業損益は1000万円の赤字(同3900万円の赤字)、経常損益は3800万円の赤字(同9000万円の赤字)、最終損益損益4900万円の赤字(同8400万円の赤字)に着地した。
通期業績予想は、売上高が120億3800万円(前期比1.6%減)、営業利益が1億8000万円(同29.5%減)、経常利益が1億2200万円(同34.3%減)、純利益が3900万円(同39.0%増)を見込む。年間配当は期末一括15円継続を予定している。
第2四半期において、飲食事業は訪日外客数の増加を背景に、同社店舗のインバウンド需要の増加や、昨年4月に開業した「銀座kappou ukai」のブランド認知の向上効果、製菓事業における新商品の展開等もあり、好調に推移したが、文化事業において、箱根ガラスの森美術館特別企画展「魅惑の香水瓶─貴族が愛した香りの芸術─」を本年4月から開催、プロモーションと販促の徹底を図ったことに加えて天候にも恵まれ、4月は来館者数・客単価ともに前年を上回り順調に推移したものの、箱根大涌谷周辺の火山活動の活発化で5月に噴火警戒レベル2、6月に同レベル3へ引上げられ、箱根に訪れる観光客数が減少し、来館者数は前年同四半期に比べ大幅に減少したことが響き売上高は前年同四半期比27.5%減となり、通期純利益は当初予想から60.5%大幅に下方修正した。
株価は、6月22日につけた年初来の高値3220円から7月9日安値2252円と調整した後、モミ合っている。今回の箱根大涌谷周辺の火山活動の活発化による業績への影響を注意深く見守るところだが、中長期的な経営戦略として既存事業の安定した収益基盤の下で新規事業を創出、発展させていくという方針を掲げ、2016年12月UKAI TEI Kaohsiung開業、海外におけるうかい亭フェアの開催、国際線機内食プロデュース、海外企業との業務提携による出店などを計画しており。商圏10,000キロへの拡大に対する期待感がある。株主優待制度において、アトリエうかいでの利用が可能となり、優待の利用幅が広がったほか、配当予想は据え置いており、一過性の下げにとどまり二番底を形成する可能性はある。ここから大きく下押す場面は中長期的な視点で買い妙味が膨らみそうだ。(株式評論家&アナリスト・信濃川)