
■倒産・休廃業件数、3年連続で増加
帝国データバンクの調査によると、2024年のガソリンスタンドの倒産・休廃業件数は184件に達した。この数は3年連続の増加であり、コロナ禍前の水準に迫る勢いである。背景には、ガソリン車の燃費向上やEVの普及、人口減少といった構造的な要因に加え、燃料価格の高騰や人手不足による人件費の上昇といった経営環境の悪化がある。資源エネルギー庁のデータでは、ガソリンスタンド数は1995年から半減しており、業界全体の縮小傾向が鮮明になっている。
■ガソリン価格高騰と需要低迷がダブルパンチ
2025年1月のガソリンスタンドの景気DIは33.1と、前月から4.0ポイント低下し、コロナ禍以降で最大の悪化幅を記録した。これは、ガソリン補助金の段階的な縮小による燃料価格の上昇が主な要因である。ガソリン価格は、2020年5月の1リットル124.8円を底値に、その後は上昇傾向が続いている。政府の補助金によって一時的に安定していたものの、補助金の縮小に伴い再び上昇し、2025年1月には182.9円に達した。企業の現場からは、「需要増が見込めない」「節約志向で買い控えが見られる」といった厳しい声が上がっている。
ガソリンスタンドの倒産・休廃業増加は、単に業界の問題にとどまらず、物流業界の収益や消費者の家計にも悪影響を及ぼす可能性がある。燃料価格の高騰は、物流コストの増加を通じて物価上昇を招き、消費者の購買力を低下させる。また、地方においては、ガソリンスタンドは生活インフラとしての役割も担っており、その減少は地域経済の衰退につながる恐れがある。
ガソリンスタンド業界は、燃料供給拠点から総合的なサービス提供拠点への転換が求められている。EV充電設備の設置やカーシェアリングサービスの提供、地域住民の交流スペースとしての活用など、多角的な事業展開が生き残りの鍵となるだろう。政府も、地域の実情に応じた支援策を検討し、ガソリンスタンドの事業転換を後押しする必要がある。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)