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■ヒトiPS細胞由来小腸オルガノイドを活用し、老化抑制素材の効果を科学的に証明
キリンホールディングス<2503>(東証プライム)と東京大学の研究グループは3月3日、ヒトiPS細胞由来の小腸オルガノイドを用いた老化抑制素材の有効性確認に世界で初めて成功したと発表。研究では、抗がん剤シスプラチンを用いて細胞老化モデルを構築し、そのモデルにヒトミルクオリゴ糖(HMO)を適用した結果、腸の炎症抑制やバリア機能の改善が認められた。研究成果は2025年3月に開催される日本農芸化学会で発表予定である。
超高齢社会において腸の老化は重要な健康課題の一つとされるが、ヒトでの評価が困難なため、これまで十分な研究が進んでこなかった。今回の研究は、老化を再現したオルガノイドモデルを活用することで、機能素材の効果を科学的に検証する新たなアプローチを示した。これにより、腸の老化抑制技術の確立が大きく前進することが期待される。
同研究は、東京大学が開発した低コスト・大量培養可能な小腸オルガノイド技術を活用しており、今後のヘルスケア分野への応用が見込まれる。キリングループは「食と健康」の新たな価値創造を目指し、科学的根拠に基づく健康維持・増進に貢献していく方針である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)