
■2030年度までに2兆円の自己株取得、累進配当も実施し株主還元を強化
セブン&アイ・ホールディングス<3382>(東証プライム)は3月6日、2025年5月の株主総会後の経営体制刷新と、資本構造・事業の変革施策を発表した。これらの施策は、コンビニエンスストア事業への集中と株主価値の最大化を目指すものである。具体的には、スティーブン・ヘイズ・デイカス氏が代表取締役社長兼CEOに就任し、北米セブン‐イレブンのIPO、SST事業グループの売却、そして2兆円規模の自己株式取得が計画されている。
■デイカス氏をCEOに、グローバル戦略を加速
デイカス氏は、2022年5月に同社取締役に就任し、戦略委員会及び特別委員会の委員長として、グループ価値創造を追求する戦略を監督してきた。日本語に堪能であり、国内外の消費財・小売企業における豊富な経験を持つ。井阪隆一社長は特別顧問に就任する。
北米セブン‐イレブンのIPOは2026年下半期までに行われ、SST事業グループはベインキャピタルに8,147億円で譲渡される。これらの施策により回収される資本は、2030年度までに総額2兆円の自己株式取得を通じて株主に還元される。また、通常の事業運営から創出される利益についても、累進配当を行う方針である。
■セブン銀行の非連結化も視野、コンビニエンスストア事業への集中を加速
セブン&アイは、セブン銀行<8410>(東証プライム)の非連結化も視野に入れ、コンビニエンスストア事業への集中を加速する。特別委員会は、アリマンタシォン・クシュタール社からの提案と、伊藤興業を中心とするグループからの提案を検討してきたが、伊藤興業が提案を撤回したため、アリマンタシォン・クシュタール社との対話を継続する方針である。
これらの施策は、同社のグループ構造を簡素化し、株主価値を最大化するための重要なステップとなる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)