アスカネットは25年4月期3Q累計減益だが、3Qの営業利益は増益転換
- 2025/3/11 10:04
- 決算発表記事情報

アスカネット<2438>(東証グロース)は3月7日に25年4月期第3四半期累計連結業績を発表した。増収ながら小幅減益だった。フューネラル事業は堅調だったが、フォトブック事業における稼働率低下や材料費値上げ等が影響した。ただし四半期別に見ると第3四半期は営業増益に転換して回復傾向だ。そして通期の増収・2桁増益予想を据え置いた。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は安値圏だが第3四半期業績を好感する反応となった。底固め完了して出直りを期待したい。
■25年4月期3Q累計減益だが通期2桁増益予想据え置き
25年4月期第3四半期累計の連結業績は売上高が前年同期比4.7%増の54億40百万円、営業利益が5.6%減の3億17百万円、経常利益が9.2%減の3億23百万円、親会社株主帰属四半期純利益が14.0%減の1億99百万円だった。増収ながら小幅減益だった。フューネラル事業は堅調だったが、フォトブック事業における稼働率低下や材料費値上げ等が影響した。
セグメント別(内部売上・全社費用等調整前)に見ると、葬儀関連のフューネラル事業は、売上高が4.0%増の25億02百万円で営業利益が9.5%増の5億82百万円だった。増収増益と順調だった。売上面は自社営業強化によって新たな葬儀社との契約獲得が順調に進展したほか、第3四半期の葬儀施行件数が全国的に増加したため画像処理収入が着実に増加した。利益面は、画像加工部門のオペレーターの人件費増が増加したが、増収効果のほか、サプライ品の粗利益率改善や画像処理オペレーションの生産性向上効果等で吸収した。
写真集関連のフォトブック事業は、売上高が4.6%増の28億12百万円で営業利益が15.5%減の4億35百万円だった。売上面はBET社の新規連結等で増収だが、プロフェッショナル写真家向け「アスカブック」においてウエディング関連が低調だったことに加え、一般消費者向け「マイブック」とOEMも海外旅行回復遅れや撮影写真アウトプット減少の影響で厳しい状況が継続した。利益面は一定のコスト削減を実現したものの、稼働率低下による固定費負担増加や材料費の値上げ等をカバーできず減益だった。
空中結像プレートASKA3Dの空中ディスプレイ事業は、売上高が17.9%増の1億34百万円で営業利益が2億05百万円の損失(前年同期は2億34百万円の損失)だった。着実に設置事例を積み上げて増収となり、適切なコストコントロール等も寄与して損失が縮小した。
なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が17億10百万円で営業利益が25百万円の損失、第2四半期は売上高が16億92百万円で営業利益が40百万円、第3四半期は売上高が20億42百万円で営業利益が3億02百万円だった。下期の構成比が高い季節要因がある。
また四半期別の営業利益の推移を見ると、24年5月期第1四半期28百万円、第2四半期62百万円、第3四半期2億46百万円、第4四半期1億11百万円、25年4月期第1四半期25百万円の損失、第2四半期40百万円、第3四半期3億02百万円となる。25年4月期第3四半期の営業利益は前年同期比で増益に転換して回復傾向だ。
通期連結業績予想は据え置いて、売上高が24年4月期比9.7%増の77億20百万円、営業利益が16.2%増の5億20百万円、経常利益が12.9%増の5億35百万円、親会社株主帰属当期純利益が前期の特別損失に計上した投資有価証券評価損の剥落も寄与して51.4%増の3億24百万円としている。配当予想は24年4月期と同額の7円(期末一括)としている。予想配当性向は35.5%となる。
増収・2桁増益予想としている。フューネラル事業の堅調推移、フォトブック事業における生産効率化、空中ディスプレイ事業の拡販に加え、前期計上したM&A費用や特別損失の剥落なども寄与する見込みだ。セグメント別売上高計画は、葬儀関連のフューネラル事業が4.8%増の34億40百万円、写真集関連のフォトブック事業が子会社のBETも寄与して11.7%増の40億40百万円、空中結像プレートASKA3Dの空中ディスプレイ事業が71.4%増の2億50百万円としている。
売上面は、フューネラル事業では新規顧客の積み上げなどによって堅調な増収を見込む。フォトブック事業では市場環境の回復を楽観視できないものの、新商材の取り扱い開始やBET社の新規連結により増収を見込む。空中ディスプレイ事業ではサイネージ用途での高単価案件の獲得に注力する。利益面は、フューネラル事業ではオペレーションセンターの効率的な運営を推進して利益率の維持を目指す。フォトブック事業ではM&A費用の剥落や生産効率化により増益を見込む。なおBET社についてはPMI関連費用が発生するため、のれん償却を加味すると利益寄与は限定的の見込みとしている。空中ディスプレイ事業では増収や粗利益率改善の効果で損失縮小を目指す。
第3四半期累計は減益だったが、四半期別に見ると第3四半期は営業増益に転換して回復傾向だ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。
■株価は出直り期待
株価は安値圏だが第3四半期業績を好感する反応となった。底固め完了して出直りを期待したい。3月10日の終値は478円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS19円73銭で算出)は約24倍、今期予想配当利回り(会社予想の7円で算出)は約1.5%、前期実績PBR(前期実績の連結BPS374円12銭で算出)は約1.3倍、そして時価総額は約83億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)