【どう見るこの相場】トランプ・ショックからの脱却!市場を熱狂させる「社名変更」マジック
- 2025/3/17 08:29
- どう見るこの相場

■あの銘柄が生まれ変わる!市場を揺るがす社名変更、次なる主役は?
「トランプ・トレード」が、「トランプ・ショック」に急変したと世界中の投資家の足に震えが起きたに違いない。前週13日の米国市場では、S&P500種株価指数が、今年2月につけた最高値から10%超下落して「調整局面」入りし、ナスダック総合株価指数も、同じく15%下落し、「弱気相場」入りの目安となる20%下落目前となったからだ。それもこれも、対象国を選ばない「トランプ追加関税」が、対象国の報復関税発動で貿易戦争に発展して、インフレ再燃、景気のリセンション入りが懸念されたためである。
翌14日は、日米両市場は反発し日経平均株価が263円高、ダウ工業株30種平均(NYダウ)が、674ドル高となったが、これで手放しで一件落着とするにはなお時期尚早のようでもある。トランプ大統領がいうところの「トランプ・ディール(取引)」による「移行期間」にあるとすれば、今後もパワーゲーム激突などの紆余曲折が避けられないからだ。そのなかで投資家心理の裏をつく反動安も逆行高も、メーンで動く銘柄、サブで意外高する銘柄が出るなど物色銘柄の多様化なども進むに違いないのである。
■「神は細部に宿る」を体現!社名変更銘柄が示す逆転劇
実際に年初来の相場展開でも、「神は細部に宿る」の諺流に相場の片隅では全般相場とは異なり強含みで推移した銘柄クラスターも目についた。その一つは、社名(商号)変更銘柄である。今年1月に社名を変更した会社は6銘柄を数えたが、この6銘柄の実質の社名変更日(1月6日)の株価と、前週末14日の株価を比較すると、14日の株価が、社名変更日の株価を上回っている銘柄が4社、下回っている銘柄が2銘柄と4勝2敗となっている。これをさらにこの2カ月半の間のパフォーマンスでみると、瞬間風速として6銘柄すべての高値が、社名変更日の株価を上回り、その瞬間風速の平均上昇率は51.8%に達したのである。
この瞬間風速の上昇率が最も高かったのは、Smile Holdings<7084>(東証グロース)で、2倍超と倍化した。同社は、幼児教育の単一事業から事業領域を拡大し総合パーソナルケアサービス企業を目指すために社名を元の「Kids Smile Holdings」から「Smile Holdings」に変更した。これと並行して今3月期業績を2回上方修正し、初配当も95円で実施することを発表し、初配当の配当利回りが東証グロース市場のランキング・トップになるとして株価が高騰した。社名変更に次ぐ好材料の続出である。
■4月からの社名変更ラッシュ!独自材料で輝く銘柄は?
今年4月1日以降も社名変更会社は、目白押しである。そのなかには市場の注目を集めた話題株も混在している。メルコホールディングス<6676>(東証スタンダード)である。同社株は、純粋持株会社から事業持株会社に移行するため社名を「バッファロー」に変更するが、昨年10月1日に新規株式公開した連結子会社のシマダヤ<250A>(東証スタンダード)の株式を既存株主に現物配当する独自の資本政策を発動し、今年2月には牧寛之社長の資産管理会社が、ベースフード<2936>(東証グロース)を株式公開買い付けして同社株がストップ高し、さらに牧寛之社長が、アライドテレシスホールディグス<6835>(東証スタンダード)とBASE<4477>(東証グロース)の大量保有報告書を提出したことで両社株の株価が急騰しており、新社名後の動向も注目されている。
今年4月1日以降、来年4月1日まで社名変更を予定している会社は、31銘柄を数える。そのなかには、社名変更を前に今期業績を下方修正したアゲインストな銘柄も含まれるが、多くが低PER・PBR、高配当利回りのバリュー株で占められている。なおトランプ流の「移行期間」の継続懸念が尾を引きそうななか、独自材料で独自人気が期待される社名変更会社の局地戦相場の待ち伏せ買いも一考余地がありそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)