ソフトクリエイトホールディングスは調整一巡し再上昇へ、EC・ITソリューションが成長加速、25年3月期増収増益予想

 ソフトクリエイトホールディングス<3371>(東証プライム)はECソリューション事業とITソリューション事業を展開し、成長戦略としてクラウドサービス拡大を推進している。25年3月期は増収増益予想としている。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも伸長する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は高値圏から反落してモミ合う形だが調整一巡感を強めている。出直りを期待したい。

■ECソリューション事業およびITソリューション事業を展開

 ECソリューション事業およびITソリューション事業を展開する持株会社で、成長戦略としてクラウドサービス拡大を推進している。連結子会社はecbeing、ソフトクリエイト、エイトレッド<3969>、エートゥジェイ、visumo<303A>などである。

 24年3月期のセグメント別売上高(外部顧客に対する売上高)は、ECソリューション事業が155億44百万円、ITソリューション事業が123億68百万円、経常利益(全社費用等調整前)はECソリューション事業が39億63百万円、ITソリューション事業が28億35百万円、経常利益の調整額が▲14億42百万円だった。

 売上高の内訳は、ECソリューション事業のECサイト構築が103.9億円、デジタルマーケティングが34.8億円、ECクラウドサービスが16.7億円、ITソリューション事業のセキュリティ・インフラ構築が60.2億円、ITパッケージが18.0億円、ITクラウドサービスが22.9億円、IT機器が22.5億円だった。各分野とも増収基調となっている。

■ECソリューション事業はECサイト構築「ecbeing」が主力

 ECソリューション事業は、ecbeingのECサイト構築パッケージecbeingの販売・保守・ホスティングサービスを主力に、全農ECソリューションズの全国農業協同組合連合会のECサイト運用業務、visumo<303A>のビジュアルマーケティングプラットフォーム開発・運営、Revicoのレビュー閲覧・投稿サービスRevico運営、エートゥジェイのコンテンツマーケティング事業なども展開している。

 ECサイト構築パッケージecbeingは、ECサイト構築からマーケティング支援やデータ分析までワンストップで対応していることを強みとして、中~大規模顧客向けを中心に、国内ECサイト累計構築実績が22年度末時点に1600サイトを突破した。EC構築ソリューション市場における市場シェアは16年連続1位(富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2024年版」ECサイト構築(カスタマイズ型/SaaS)市場占有率、2023年度実績)である。また23年のecbeing年間流通総額は1兆2405億円を突破した。

 22年2月にはecbeingが海外市場向けマーケティング事業・越境EC支援事業を展開するクロスシーの第三者割当増資を引き受けて資本業務提携した。23年7月にはecbeingがMicrosoftのAzure OpenAI Serviceを活用し、ChatGPTを組み込んだAIチャットボットシステムのAIデジタルスタッフをリリースした。24年6月にはecbeingが、ECサイトと会員情報を一元化できる予約管理システムRESOMOをリリースした。

■ITソリューション事業はSIやワークフローシステムが主力

 ITソリューション事業はソフトクリエイトの自社開発SCクラウド、不正アクセス端末検知・遮断システムL2Blocker、システムインテグレーションやIT機器販売、エイトレッド<3969>のワークフローシステム(パッケージ型AgileWorks、クラウド型X-point Cloud)を主力としている。24年4月にはソフトウェア受託開発を主力とするシステムワークスジャパンを連結子会社化した。

 24年2月にはソフトクリエイトが企業向け生成AIサービスSafe AI Gatewayをリリースした。24年5月にはソフトクリエイトが生成AI型チャットボットSafe AI Botをリリースした。Safe AI Gatewayのチャットボット機能から派生した商品である。なお24年6月にはソフトクリエイトが経済産業省の「DX認定事業者」として認定を取得した。

 エイトレッドのワークフローシステムのシリーズ累計導入社数は累計4500社を突破している。そしてクラウド型X-point Cloudは、複数の市場調査レポートでワークフロー市場における出荷金額・売上金額実績シェア1位を獲得している。24年3月にはAgileWorksクラウド版の販売を開始した。

■25年3月期増収増益予想

 25年3月期の連結業績予想は売上高が24年3月期比7.5%増の300億円、営業利益が6.0%増の54億80百万円、経常利益が6.1%増の56億80百万円、親会社株主帰属当期純利益が5.9%増の34億50百万円としている。配当予想は24年3月期比7円増配の55円(第2四半期末27円50銭、期末27円50銭)としている。5期連続増配で予想配当性向は40.0%となる。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比9.1%増の226億54百万円、営業利益が3.2%減の39億41百万円、経常利益が4.3%減の41億37百万円、親会社株主帰属四半期純利益が3.0%減の25億48百万円だった。

 前期の一過性のサイト運用収益の反動や人的資本投資によるコスト増加などで小幅減益だった。ただし期初計画(売上高219億円、経常利益40.9億円)を上回る水準で着地した。売上面はECソリューション事業、ITソリューション事業とも順調に拡大した。

 ECソリューション事業は、売上高が6.1%増の122億91百万円、経常利益(全社費用等調整前)が2.4%減の30億76百万円だった。主力のECサイト構築売上高が順調に拡大し、ECサイト売上拡大施策となるクラウドサービス売上高も伸長した。売上高の内訳はECサイト構築が7.5%増の82.6億円、デジタルマーケティングが7.1%減の24.8億円、ECクラウドサービスが26.3%増の15.3億円だった。

 ITソリューション事業は売上高が12.8%増の103億63百万円、経常利益が1.7%減の20億01百万円だった。クラウドサービスやセキュリティ・インフラ構築が順調に拡大した。売上高の内訳はセキュリティ・インフラ構築が4.7%増の46.9億円、ITパッケージが30.9%増の16.9億円、ITクラウドサービスが24.4%増の20.9億円、IT機器が8.8%増の18.7億円だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が70億99百万円で経常利益が12億25百万円、第2四半期は売上高が80億72百万円で経常利益が15億31百万円、第3四半期は売上高が74億83百万円で経常利益が13億81百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いている。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも伸長し、人件費などの増加を吸収する見込みだ。売上高の計画はECソリューション事業が8.7%増の169億円、ITソリューション事業が5.9%増の131億円としている。経常利益(24年3月期比3.3億円増)の増減要因分析見込みについては、売上総利益増加で8.1億円増、人件費増加で2.1億円減、研修費増加で0.2億円減、広告費増加で0.4億円減、研究開発費増加で0.3億円減、その他経費増加(税金等)で1.8億円減としている。

 通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高76%、営業利益72%、経常利益73%、親会社株主帰属当期純利益74%と順調である。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は3月末と9月末の年2回、長期保有優待も実施

 株主優待制度(詳細は会社HP参照)は毎年3月31日および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主(長期保有優待の基準日は毎年3月末)に対して、保有株式数および保有期間に応じてQUOカードを贈呈している。

■株価は調整一巡

 株価は高値圏から反落してモミ合う形だが調整一巡感を強めている。出直りを期待したい。3月14日の終値は2020円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS137円50銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の55円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS741円49銭で算出)は約2.7倍、そして時価総額は約557億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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