
■関税引き上げで米国製造業は復活するのか
トランプ米大統領は2025年4月2日、「相互関税」の導入を発表した。この政策は、米国の輸出品に課される関税と同じ税率を、米国も相手国の輸入品に適用するというものだ。貿易赤字の是正と製造業の再興を目的としており、すべての輸入品に10%の基準関税を導入。さらに、特定の国々には追加の関税が適用される。この発表に対し、米国内外の経済界からは賛否が分かれている。
■「解放の日」か?「貿易戦争の幕開け」か?
トランプ大統領は、この日を「解放の日」と称し、米国の経済的独立を強調した。演説では、米国が長年にわたり不公平な貿易ルールのもとに置かれてきたと主張。EUや中国などの具体例を挙げ、相互関税が必要不可欠であると述べた。また、これにより国内製造業が活性化し、最終的に消費者物価も低下すると楽観的な見通しを示した。しかし、経済学者の間では、実際には物価上昇を招く可能性が高いとの指摘が相次いでいる。
この新たな関税措置の影響は各国に広がっている。中国、欧州連合(EU)、日本、韓国など、米国との貿易黒字が大きい国々は高い関税率を課される対象となった。たとえば、中国には34%、日本には24%、ベトナムには46%の関税が課される。このため、対象国では報復措置を検討する動きも出ており、国際的な貿易摩擦の激化が懸念される。
米国内でも、経済界を中心に不安の声が広がっている。特に、自動車産業やハイテク企業など、多くの部品を海外から輸入している企業はコスト増加を懸念。一方で、全米自動車労働組合(UAW)など一部の団体は、この政策を雇用保護の観点から歓迎している。また、専門家の分析によれば、新たな関税によって米国の実質GDP成長率は0.6%から1.0%減少する可能性があり、消費者の負担増につながると予測されている。
「相互関税」の発効は4月5日と9日に予定されており、今後の動向が注目される。トランプ政権はこれを「アメリカ第一」の政策の一環として推し進めているが、貿易戦争の激化による経済リスクも大きい。国際的な貿易ルールとの整合性や他国の対応次第では、米国経済への影響がさらに深刻化する可能性がある。今後の米国と各国の交渉の行方が、世界経済に大きな影響を与えることになるだろう。
■対象となる国と地域
トランプ大統領の発表では、相互関税の対象となる具体的な国と地域が言及された。主要な対象国とその関税率は以下の通り。
中国:34%(既存の20%の関税に追加)
欧州連合:20%
韓国:25%
日本:24%
台湾:32%
インド:26%
ベトナム:46%
タイ:36%
スイス:31%
インドネシア:32%
マレーシア:24%
カンボジア:49%
英国:10%
南アフリカ:30%
ブラジル:10%
バングラデシュ:37%
シンガポール:10%
イスラエル:17%
フィリピン:17%
チリ:10%
オーストラリア:10%
パキスタン:29%
トルコ:10%
スリランカ:44%
コロンビア:10%
(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)