
■関税応酬が金融市場を直撃!パンデミック以来の暴落規模に
2025年4月4日、ニューヨーク株式市場は主要な株価指数が軒並み大幅に下落する急落に見舞われた。この大規模な下落の主な要因は、米国が2日前に中国製品に対して発表した相互関税に対する報復として、中国が米国からのすべての輸入品に34%の関税を課すと発表したことを受けたものだ。ダウ工業株30種平均は2231ドルを超える大幅な下げ幅を記録し、S&P500は約5.98%の下落、ナスダック総合指数も5.82%の下落となった。この暴落は、米中間の貿易戦争がエスカレートし、世界経済に深刻な影響を与えるのではないかという懸念を強く反映したものだ。
ダウ平均の2231ドルの下落は、同指数の1日の下落幅としては過去3番目の大きさで、前日の大幅下落と合わせて2日間で約4000ドル近く下落した。S&P500は約322ポイント下落して取引を終え、2日間の下落率は10.5%に達し、2020年3月以来最悪の2日間となった。投資家の不安と不確実性の高まりを示す指標であるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のVIX指数(ボラティリティー・インデックス)は約40%急騰し、5日間で約60%上昇した。
■世界景気後退リスク6割、米中関税戦争でJPモルガンが警鐘
中国財政部が発表した報復関税率34%は、トランプ大統領が先に発表した中国製品に対する相互関税率と一致。関税に加え、中国はコンピューターチップや電気自動車のバッテリーなど、ハイテク産業にとって重要な部品であるレアアースの輸出規制を強化する追加措置も発表した。また中国は米国の関税措置に対して世界貿易機関(WTO)に正式な提訴を行い、規制上の理由から、複数の米国企業からの農産物輸入を即時停止すると発表。サクソバンクのコモディティ戦略責任者オーレ・ハンセン氏は「中国の米国関税に対する積極的な対抗措置は、我々が世界的な貿易戦争に向かっていることをほぼ確実にする」と明言している。
トランプ政権はこの関税の根拠として、貿易不均衡の是正や不公正な貿易慣行への対処を挙げた。しかしエコノミストの間では、これらの関税が米国と世界経済に与える潜在的な悪影響、特に消費者物価の上昇、経済成長の鈍化、景気後退のリスクについて広範な懸念を表明している。連邦準備制度理事会のジェローム・パウエル議長は、新たな関税が今後のインフレを押し上げる可能性が高いと明示的に警告した。
多くのアナリストや投資会社が2025年の株式市場と米国経済成長の見通しを下方修正している。JPモルガン・チェースのアナリストは、今年の世界的な景気後退の可能性を60%と推定。特にテクノロジー産業に長期的な損害が及ぶ可能性について懸念が表明されており、国際貿易と複雑なグローバルサプライチェーンに大きく依存しているセクターは相当な課題に直面すると予想している。市場の低迷は、連邦準備制度理事会が利下げに踏み切る可能性への期待を高めたが、パウエル議長は関税の経済的影響についてより明確な見通しが得られるまで金融政策のスタンスを調整しない方針を示唆した。貿易摩擦の激化は世界的な貿易パターンに大きな長期的変化をもたらす可能性があり、状況は依然として非常に不確実である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)