明治、オーツミルクのβ-グルカンに空腹感抑制効果を確認、腸内発酵を介したセカンドミール効果の可能性

■腸内発酵しやすい対象者では血糖上昇抑制効果も

 明治ホールディングス<2269>(東証プライム)グループの明治と大妻女子大学の青江誠一郎教授らの研究チームは、低分子化された水溶性食物繊維β-グルカンを含むオーツミルクに空腹感を抑制する効果があることを確認したと発表。

■生活習慣病予防への応用に期待、日本人の食生活改善に寄与

 この効果は腸内細菌への作用(腸内発酵)を介したセカンドミール効果である可能性が高い。セカンドミール効果とは、最初の食事(ファーストミール)から4~6時間後の食事(セカンドミール)における生理的応答のことで、腸内発酵により生じる副産物が後の食事時の血糖上昇やエネルギー摂取に影響を与えることが知られている。同研究成果は2025年3月に開催された日本農芸化学会大会で発表された。

 研究チームは18名の健常な日本人男女を対象に、ランダム化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験を実施した。低分子β-グルカンを0.7g含む低用量群、1.4g含む高用量群、β-グルカンを含まないプラセボ群の3群で効果を比較評価した。その結果、β-グルカン摂取群はプラセボ群と比較して昼食前の空腹感が有意に低いことが示された。また空腹感と腸内発酵の指標である呼気中水素ガス濃度との間に有意な負の相関関係が認められ、空腹感抑制効果と腸内発酵との関連性が示唆された。さらに腸内発酵しやすい対象者に限ると、高用量群ではプラセボ群よりセカンドミール摂取2時間後の血糖値が有意に低値を示した。

 オーツ麦は水溶性食物繊維β-グルカンを多く含むが、粘性が高いため飲料化する際には低分子化や除去が一般的である。研究チームの先行研究では、オーツミルクに含まれる低分子β-グルカンが短時間で腸内発酵することを確認しており、今回はその具体的効果の検証に成功した。生活習慣病の増加が問題となっている日本において、この研究成果は血糖上昇抑制や食べ過ぎ防止による健康増進と食生活改善への貢献が期待される。本研究からオーツ麦由来の低分子β-グルカン含有飲料には、腸内発酵を介したセカンドミール効果による空腹感抑制作用がある可能性が強く示された。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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