クリーク・アンド・リバー社は26年2月期大幅増収増益で増配予想

 クリーク・アンド・リバー社<4763>(東証プライム)は4月10日に25年2月期連結業績を発表した。大手ゲームパブリッシャーの案件縮小の影響、医療分野における構造改革の影響などで減益だった。しかし26年2月期は日本クリエイティブ分野を中心に各事業の成長を見込み、M&A効果も寄与して大幅増収増益、増配予想としている。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化の影響で急落する場面があったが、目先的な売りが一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■25年2月期減益、26年2月期大幅増収増益で増配予想

 25年2月期の連結業績は売上高が24年2月期比1.0%増の502億75百万円、営業利益が11.9%減の36億14百万円、経常利益が10.7%減の36億94百万円、親会社株主帰属当期純利益が15.3%減の22億51百万円だった。配当は24年2月期と同額の41円(期末一括)としている。配当性向は38.9%となる。

 売上高は横ばい、各利益は減益だった。日本クリエイティブ分野において第1四半期に発生した大手ゲームパブリッシャーの案件縮小の影響、日本クリエイティブ分野における人材紹介サービスの成約長期化の影響、医療分野において前期後半から実施した営業体制見直し等の構造改革の影響などで売上高が横ばいにとどまり、利益面ではAI/DX領域への先行投資、オリジナルコンテンツ開発投資(IZON、電子書籍等)なども影響した。

 日本クリエイティブ分野(5社)は売上高が0.7%増の352億17百万円、営業利益(全社費用等調整前)が12.0%減の25億32百万円だった。一部の大手ゲームパブリッシャーの案件縮小、人材紹介サービスの成約長期化の影響などで売上高が伸び悩み、オリジナルコンテンツ開発費用の増加なども影響した。韓国クリエイティブ分野(2社)は売上高が13.4%減の30億78百万円、営業利益が10百万円の損失(24年2月期は41百万円の損失)だった。TV局向け派遣が減少したが、Webtoonの伸長などにより営業損失が縮小した。

 医療分野(2社)は売上高が2.0%減の53億07百万円、営業利益が16.2%減の10億83百万円だった。前期後半より実施した営業体制見直し等の構造改革の影響で成約数が減少した。会計・法曹分野(2社)は売上高が1.8%減の24億42百万円、営業利益が32.0%減の1億16百万円だった。派遣事業は順調だったが、人材紹介サービスの成約長期化が影響した。

 その他事業(新規事業18社)は売上高が25.8%増の42億29百万円、営業利益が83百万円の損失(同2億円の損失)だった。投資段階事業が多いため全体として営業損失だが、前期比比では損失縮小した。営業利益増減の内訳は増益の10社合計で2億01百万円増益、投資が増加した6社合計で63百万円減益、新規設立・グループ化2社合計で4百万円減益だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高128億54百万円で営業利益12億61百万円、第2四半期は売上高129億82百万円で営業利益9億34百万円、第3四半期は売上高122億66百万円で営業利益7億91百万円、第4四半期は売上高が121億73百万円で営業利益が6億28百万円だった。なお医療分野の営業利益は上期(特に第1四半期)に偏重する特性がある。

 26年2月期の連結業績予想は、売上高が25年2月期比19.3%増の600億円、営業利益が38.3%増の50億円、経常利益が35.3%増の50億円、親会社株主帰属当期純利益が42.1%増の32億円としている。配当予想は25年2月期比4円増配の45円(期末一括)としている。予想配当性向は30.0%となる。

 日本クリエイティブ分野を中心に各事業の成長を見込み、M&A効果も寄与して大幅増収増益、そして増配予想としている。なお26年2月期第2四半期より、老舗手帳メーカー・出版社のT&Wオフィスおよびその子会社(以下、高橋書店グループ)を新規連結する。高橋書店グループの業績寄与影響は上期(3ヶ月分)が売上高5億円で営業利益3億円の損失、下期(6ヶ月分)が売上高44億円で営業利益8億円、通期(9ヶ月分)が売上高49億円で営業利益5億円としている。高橋書店グループを除くベースの計画は、売上高が25年2月期比10%増の551億円、営業利益が25%増の45億円である。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は反発の動き

 株価は地合い悪化の影響で急落する場面があったが、目先的な売りが一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。4月10日の終値は1587円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS149円88銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の45円で算出)は約2.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS750円70銭で算出)は約2.1倍、そして時価総額は約365億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■AI機能強化でさらに便利に!Siriの進化とChatGPT統合で作業効率向上  Appleは3月…
  2. ■ChatGPT Enterpriseを活用し、業務効率化と新たな価値創造を推進  ふくおかフィナ…
  3. ■2024年度の美容室倒産件数、前年を大幅に上回る197件  帝国データバンクの調査によると、20…
2025年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

ピックアップ記事

  1. ■株価55%高もまだ割安!?記念優待利回り10%超の注目株  10日には米国の関税発動停止を受け、…
  2. ■一喜一憂の投資家心理、トランプ関税「一時停止」の罠  まずフェイクニュースかと目と耳を疑った。次…
  3. ■脱炭素とデジタル革新:万博から広がるビジネスチャンス  本日2025年4月13日に開幕した大阪・…
  4. ■関税不安の裏で進む金市場の静かな熱気  トランプ関税による世界同時不況懸念が強まり、金先物価格が…
  5. ■トランプ政権の暴走がもたらすリスク回避の波  こんな言い方をしたら今の若い市場参加者の方々にはイ…
  6. ■関税応酬が金融市場を直撃!パンデミック以来の暴落規模に  2025年4月4日、ニューヨーク株式市…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る