
■米中貿易戦争激化でダウ平均1000ドル超急落
米中貿易摩擦の激化を背景に、4月10日のニューヨーク株式市場で、ダウ平均株価(30種)は、9日の急騰から一転して、前日比1014.79ドル安の3万9593.66ドルで取引を終えた。この下落は米国のトランプ大統領による中国製品に対する関税引き上げ発表と、それに対する中国の報復措置が主因となっている。特に、中国からの輸入品に対する関税が145%に引き上げられるというホワイトハウスの明確化が市場の懸念を悪化させた。
この日の市場では、S&P500は3.5%下落し5268.05、ナスダック総合指数は4.3%下落し1万6387.31で取引を終えた。恐怖指数として知られるVIXは大幅に上昇し、44.01を記録した。特にテクノロジーセクターは大きな打撃を受け、テスラ、エヌビディア、ブロードコムなどの株価が6~7%下落。半導体株はさらに深刻で、一部企業は13%以上も急落した。
昨日10日の日本市場は、「トランプ関税」90日間猶予などを好感して日経平均は2894円高で過去2番目の上げ幅だった。しかし、本日はNYダウの下落を受けた形となり、一転して1900円超(9:50現在)の下落となっている。
■WTO、両国間貿易80%減少の可能性を警告
一部のアナリストは米中貿易戦争のエスカレーションが「世界最大の二つの経済間の貿易に劇的な影響を与える可能性がある」と警告している。世界貿易機関(WTO)の予測では、両国間の商品貿易が最大80%減少する恐れもある。市場関係者は景気後退の可能性も視野に入れており、関税政策によるインフレへの影響と非グローバル化の進行も懸念材料となっている。2018年から2019年の前回の米中貿易戦争と類似したパターンが見られるなか、今後の政策展開を注視する必要があるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)