【アナリスト水田雅展の銘柄診断】クリーク・アンド・リバー社は調整一巡感、今期業績再増額の可能性も評価して切り返し

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 エージェンシー事業のクリーク・アンド・リバー社<4763>(JQS)の株価は、10月高値893円から反落し、その後12月4日の793円まで一旦反発したが、足元では概ね700円近辺で推移している。ただし11月中旬の直近安値652円まで下押す動きは見られず調整一巡感を強めている。今期(15年2月期)業績再増額の可能性も評価して切り返し局面だろう。なお1月8日に第3四半期累計(3月~11月)の業績発表を予定している。

 日本のクリエイティブ分野(映像・テレビ番組・ゲーム・Web・広告などの制作)で活躍するクリエイターを対象としたエージェンシー(派遣・紹介)事業、およびライツマネジメント(著作権管理)事業、制作請負事業を主力として、韓国のクリエイティブ分野、医療・IT・法曹・会計などの分野にも事業展開している。

 日本のクリエイティブ分野では、13年8月公開のテレビ朝日開局55周年記念劇場公開映画「少年H」(モスクワ映画祭特別賞受賞)の制作を担当したことが評価され、番組制作請負事業が急拡大している。今期(15年2月期)第2四半期累計(3月~8月)の当社制作番組は、レギュラーと特番を合わせて前年同期比6本増加の16本となった。

 新規分野として電子書籍取次事業、海外版権エージェント事業、そして「作家」「オンラインクリエイター」「建築」「ファッションクリエイター」エージェンシー事業にも展開し、13年12月にはアパレル業界に特化した人材派遣会社インター・ベルを子会社化した。14年9月にはクラウド関連サービスとしてクリエイティブプラットフォーム「Creators Ship(クリエイターズ・シップ)」のサービス提供を開始した。

 14年10月には観光プロモーション事業のエスビージャパンと共同で、沖縄県八重瀬町の特産品や観光などのプロモーション事業を受注した。地方自治体の「地方創生」に協力する事業で、沖縄県八重瀬町の紹介や魅力的な野菜をアピールする「カラベジ・プロジェクト」をPRするYouTube動画を公開している。

 今期(15年2月期)の連結業績見通し(9月25日に利益を増額修正)は売上高が前期比11.6%増の230億円、営業利益が同28.1%増の14億円、経常利益が同28.2%増の14億円、純利益が同42.5%増の7億円としている。配当予想は前回予想(4月3日公表)を据え置いて同1円増配の年間6円(期末一括)としている。

 全セグメントが好調に推移しして新規事業分野の先行費用などを吸収する。クリエイティブ分野(日本)は高付加価値のテレビ番組制作請負や大規模Webサイト制作などが増加基調である。新規事業も順次収益化する見込みだ。

 セグメント別営業利益(全社費用等調整前)の計画は、クリエイティブ分野(日本)が9億円(前期7億72百万円)、クリエイティブ分野(韓国)が40百万円(同21百万円)、医療分野が3億40百万円(同3億26百万円)、その他分野が1億10百万円(同40百万円の赤字)としている。その他事業のIT・法曹・会計・ファッションの利益が想定以上のようだ。

 第2四半期累計(3月~8月)前年同期比12.2%増収、同25.1%営業増益、同26.7%経常増益、同60.1%最終増益と好調に推移し、通期見通しに対する進捗率は売上高が51.3%、営業利益が66.3%、経常利益が67.2%、純利益が75.6%と高水準である。

 第3四半期(9月~11月)以降に新規エージェンシー事業の需要増に対応した拡大投資、ゲーム・アプリの自社開発・制作拠点の拡充などの積極投資を予定しているようだが、通期業績見通しは再増額の可能性が高いだろう。

 中期成長戦略では、既存事業で年率10~15%の成長を見込み、クラウド関連サービスを含めた新規事業分野の積み上げや収益化も寄与して、18年2月期に売上高300億円、営業利益30億円をイメージしている。中期的に収益拡大基調だろう。

 株価の動きを見ると、10月高値893円から11月中旬の直近安値652円まで調整し、その後12月4日の793円まで一旦反発したが、足元では概ね700円近辺で推移している。ただし11月中旬の直近安値圏まで下押す動きは見られず調整一巡感を強めている。中期成長力を評価する流れに変化はないだろう。

 12月19日の終値701円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS33円02銭で算出)は21~22倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間6円で算出)は0.9%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS185円70銭で算出)は3.8倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線近辺で下げ渋る動きだ。サポートラインを確認した形であり、今期業績見通し再増額の可能性も評価して切り返し局面だろう。

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