【トランプ関税ラッシュ下の金市場】リスク回避の波と新たな投資機会、ゴールドラッシュ再来か?

【眠れる日本の金:都市鉱山6800トン、家庭内資産66兆円が動き出す】

■トランプ政権の関税政策が招く市場の動揺と安全資産への逃避

 トランプ政権による相次ぐ関税発動は、世界経済の同時後退懸念を高め、株式市場に大きな波紋を広げている。日経平均株価やNYダウは乱高下を繰り返すなど、世界的な株安不安が進行中だ。一部には、トランプ減税や規制緩和への期待も存在するものの、現状は追加関税の発動を示唆する大統領の言動に市場は警戒感を強めている。この状況が続けば、2026年の中間選挙で与党が劣勢となり、トランプ大統領がレームダック化する可能性も指摘されているが、同大統領は憲法で禁じられた三選さえも視野に入れているとの見方もあり、先行きは不透明感を増している。このような悲観的なシナリオが現実味を帯びる中、市場はリスク回避の動きを加速させており、安全資産とされる国債と金に資金が集中する傾向が顕著となっている。

■高まる金価格と金関連株の現状

 安全資産としての需要の高まりを受け、金価格は急騰し、ニューヨーク商品取引所では一時史上最高値を更新した。その後、トランプショックに合わせて下落し、その反動による調整が見られる。主要金融機関は金先物価格の予想を上方修正しており、強気な見通しが示されている。このような状況下、再び金関連株に焦点を当てる。過去にも金関連株を取り上げてきたが、今回の「トランプ関税ラッシュ」は、新たな「ゴールドラッシュ」を呼び込む可能性が高いと見ている。しかしながら、主要な産金株は、金先物価格の高騰とは裏腹に年初来安値を更新している。これは、銅先物価格の急落による業績悪化懸念が背景にあると見られるが、PBRは1倍を大きく下回っており、売られ過ぎの可能性も示唆されている。国内の金小売価格も最高値を更新しており、国内に眠る「都市鉱山」や「家庭内隠れ資産」に関連するリデュース株やリユース株への注目が高まっている。

■国内に眠る金資源と関連銘柄の可能性

 日本の廃棄物市場には、使用済み電子機器などから回収可能な金が約6800トンも存在すると推定されており、これは世界の確認埋蔵量の13%に相当する「都市鉱山」と呼ばれる。この都市鉱山で貴金属回収事業を展開する企業群は、新たな金関連株として注目される。具体的には、三井金属、DOWAホールディングスのほか、中外鉱業、イボキン、アサカ理研、AREホールディングス、松田産業などが挙げられる。特に、業績上方修正と増配を発表した松田産業や、PERが割安なイボキンなどが市場を牽引する可能性も考えられる。一方、日本の家計には約66兆円もの貴金属や宝飾品などの「隠れ資産」が眠っており、国内金小売価格の上昇とともに、これらの資産がリユース市場に流入する動きが活発化している。

■「隠れ資産」の掘り起こしとリユース市場の拡大

 家計に眠る「隠れ資産」の活性化は、リユース(買い取り・再販)市場に大きなビジネスチャンスをもたらしている。インバウンド需要も追い風となり、ハードオフコーポレーション、ゲオホールディングス、コメ兵ホールディングス、トレジャー・ファクトリー、シュッピン、買取王国、BuySell Technologiesなどがその恩恵を受けると期待される。これらの企業の中には、海外展開を積極的に進めるゲオHDのように年初来高値を更新する銘柄もあれば、業績下方修正により年初来安値を更新するコメ兵HDのように反応が分かれる銘柄もある。しかし、月次売上動向を通じてリユース需要の強弱を把握できる点は強みとなる。また、ネット型リユースのマーケットエンタープライズやフリマアプリのメルカリなどにも、今後の人気波及の可能性がある。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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