マーチャント・バンカーズ、25年10月期は大幅営業・経常増益予想、安定的家賃収入を軸に賃貸用不動産の取得・売却を積極展開

 マーチャント・バンカーズ<3121>(東証スタンダード)はマーチャント・バンキング事業として不動産・企業投資関連などを展開し、安定的収益源となる資産性の高い収益不動産の取得を推進している。さらに再生可能エネルギー分野など新規分野にも積極的に事業展開している。25年10月期は大幅営業・経常増益予想としている。安定的家賃収入をベースとして、賃貸用不動産の取得・売却を積極的に行う方針だ。第1四半期は大幅増収・営業黒字転換と順調だった。積極的な事業展開で収益改善基調だろう。株価は地合い悪化の影響で急反落したが、その後は目先的な売りが一巡して反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。

■マーチャント・バンキング事業を展開

 マーチャント・バンキング事業として不動産・企業投資関連などを展開し、安定的収益源となる資産性の高い収益不動産の取得を推進している。さらに新規分野としてブロックチェーン・NFTプラットフォーム関連、再生エネルギー関連などにも展開している。

■不動産投資は資産性の高い収益不動産の取得を推進

 不動産投資関連は、主にネット利回り5%以上を期待できる大都市圏の賃貸用マンションを中心に、安定的収益源となる資産性の高い収益不動産の取得を推進するとともに、保有物件売却による売上利益の積み上げも推進している。25年1月には株式担保融資事業への取組開始をリリースした。金融機関等の資金提供者との協力関係を構築し、資金効率を高めながら、不動産収益物件と並ぶ投資事業の柱として規模の拡大を推進する方針だ。

■企業投資はハンズオン型中心でM&Aも強化

 企業投資関連は、投資先とともに企業価値を創造するハンズオン型の投資を行い、バリューアップによるエグジットを目指す。投資実績としては、ブロックチェーンプラットフォーム開発のアーリーワークス、デジタルマーケティング支援のポイントスリー、ブライダル・ホテル運営のホロニック、見守り型介護ロボット開発のIVホールディングスなどがある。

 23年3月にはセキュリティチップを開発・製造するEnova Technology社(台湾)に資本参加した。24年8月にはColorsJapan社(24年6月に業務提携)と資本業務提携(ColorsJapan社が同社株式を取得)した。

 24年10月には、アジア市場を中心にゲームソフト販売等を展開するGCL Global Limited(GCL社)が発行した転換社債200千米ドルを取得した。この転換社債の権利行使を行う際はGCL社のグループ会社であるGCL Global Holdings(GCLGH社)が発行する株式を取得することになる。

 24年11月には、ColorsJapan社と、貸付型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)による資金を活用し、地方創生型のM&Aに取り組むと発表した。第1号案件として伊香保温泉「明野屋」など、ColorsJapan社のホテル・旅館プロジェクトのクラウドファンディングに着手した。

■新規事業分野

 新規分野としては、ブロックチェーン・NFTプラットフォーム関連、再生エネルギー関連などに展開している。

 ブロックチェーン関連では、STO(Security Token Offering)を活用したサービスとして、20年2月にサービス開始したエストニア暗号資産交換所ANGOO FinTech関連、海外投資家向けを中心とする日本不動産プラットフォームなどの不動産テック関連、医療エコシステムのメディテックプラットフォーム関連、NFT(Non―Fungible Token=非代替性トークン)プラットフォーム関連などを展開している。

 海外(欧州)では20年10月に子会社BFHへANGOO FinTech運営を移管してエストニアでの事業統括会社と位置付けた。またエストニアの子会社EJTCは、バルト3国で運営する証券取引所Nasdaq Baltic上場(21年3月上場)のメリットを活かし、エストニアを代表する企業を中心に投資を行っている。

 再生エネルギー関連では23年7月にEV充電器設置事業への取組を開始した。自社保有するマンションの駐車場や投資先であるホロニックが運営するホテルの駐車場への設置から着手し、新たな設置場所を確保しながら事業拡大を目指す。また23年7月には太陽光パネル設置事業への取組を開始した。自社保有マンションの屋上等へ太陽光パネル設置し、蓄電や売電によって収益確保を目指す。23年8月にはセコムの防犯カメラ設置実績も豊富なDコーポレーションと、防犯カメラ設置ならびにIT関連事業の分野で業務提携した。

 23年12月には、プラスチック循環再生事業を手掛ける循環資源ホールディングスと資本業務提携(第三者割当増資により5.77%出資)した。関東圏に再生油生成プラントを設置する。また23年12月にはオリエントコーポレーションと加盟店契約を締結した。ホームセキュリティ事業、建設業、EV充電器設置事業、太陽光パネル設置事業、プラスチック循環再生事業などの分野において、オリエントコーポレーションの多彩な金融サービスを活用する。

 24年12月には、同社が21年3月に不動産取引決済手段として発行したオリジナルトークン「MBK COIN」の再活用をリリースした。NFTゲーム内での活用、およびネット販売におけるポイントサービスとしての活用に取り組む方針だ。

■25年10月期は大幅営業・経常増益予想

 25年10月期連結業績予想は売上高が24年10月期比3.5%増の46億円、営業利益が84.0%増の6億円、経常利益が152.5%増の2億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が9.9%増の2億円としている。配当予想は24年10月期と同額の2円(期末一括)としている。予想配当性向は29.3%となる。

 第1四半期は売上高が前年同期比58.5%増の5億75百万円、営業利益が40百万円(前年同期は68百万円の損失)、経常利益が9百万円の損失(同1億11百万円の損失)、親会社株主帰属四半期純利益が10百万円の損失(同1億12百万円の損失)だった。

 賃貸用不動産1物件の売却(札幌市中央区、24年12月9日付で公表)により、大幅増収で営業利益は黒字転換、経常利益と親会社株主帰属四半期純利益は損失縮小した。また1物件を取得(東京都杉並区、24年10月7日付で公表)した。

 通期の連結業績予想は期初計画を据え置いている。10億円体制を構築した安定的家賃収入をベースとして、賃貸用不動産の取得・売却を積極的に行う方針だ。そして第1四半期は大幅増収・営業黒字転換と順調だった。第2四半期については賃貸用不動産3物件の売却などにより売上高11億54百万円、営業利益1億49百万円、経常利益1億46百万円を確保する見込みとしている。25年2月には販売用不動産の売却(東京都練馬区、共同住宅)を発表した。25年10月期第2四半期に売却益として営業利益56百万円程度を計上予定である。積極的な事業展開で収益改善基調だろう。

■株主優待制度

 なお24年6月3日に株主優待第3弾を発表した。24年10月31日から1年間3単元(300株)以上保有した株主を対象にクオカード5000円分を贈呈する。また24年10月28日に株主優待第4弾の実施を発表した。株主優待実施頻度を拡充し、25年4月末時点で60単元(6000株)以上保有株主を対象に、資本業務提携先であるColorsJapanが地域創生案件として取り組んでいる宿泊施設の6万円相当の宿泊券などを贈呈(1品を選択)する。

■株価は反発の動き

 株価は地合い悪化の影響で急反落したが、その後は目先的な売りが一巡して反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。4月16日の終値は306円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS6円83銭で算出)は約45倍、今期予想配当利回り(会社予想の2円で算出)は約0.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS142円71銭で算出)は約2.1倍、そして時価総額は約90億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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