
■耐雷ケージで落雷後も飛行継続、電界変動技術で雷を積極誘発
NTT(日本電信電話)<9432>(東証プライム)は4月18日、ドローンを活用した世界初の雷誘発・誘導実験に成功したと発表。同社は耐雷ケージを具備したドローンと電界変動を利用した雷誘発技術を組み合わせ、島根県浜田市での実証実験で雷の直撃を受けても飛行継続可能なシステムを実現した。この成果は、年間1000億円から2000億円に上る国内の雷被害を低減し、避雷針の設置が困難な場所でも雷から保護する「空飛ぶ避雷針」としての活用が期待される。
同社が開発した耐雷化技術は、金属製シールドによりドローン本体への雷電流侵入を防止し、放射状の電流経路で磁界影響を相殺する設計となっている。自然落雷の98%以上をカバーする150kAの人工雷試験でも故障や誤作動が発生しないことを確認した。また、雷誘発技術では、ドローンと地上を導電性ワイヤで接続し、高耐圧スイッチにより周囲の電界強度を急激に変化させることで雷の落下を促進する方式を採用した。
2024年12月の実験では、雷雲接近時に高度300mまで飛行させたドローンのワイヤに大電流が流れ、周囲の電界強度に変化が生じたことを確認。破裂音やウインチ部の発光なども観測された。NTTは今後、高精度な発雷位置予測技術や発生メカニズムの研究を進め、誘雷の成功率向上を図るとともに、雷エネルギーの蓄積・活用手法の開発にも取り組む。雷をコントロールし有効活用する技術確立により、雷被害ゼロの社会実現を目指している。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)