【どう見るこの相場】米国市場の逃避資金はどこへ?日本株に強気転換の兆し、トランプ関税の影響は
- 2025/4/21 08:18
- どう見るこの相場

■「市場の反乱」の一段落で「市場の勝利」を期待しバフェット流に商社株にバリュー株投資も一考余地
「殿ご乱心」への「市場の反乱」は、収まったのだろうか?米国のトランプ大統領が、相互関税発動を発表しておよそ3週間、市場が反応した株安、債券安、ドル安の「トリプル安」にはこれといった歯止めが掛かったとはまだいえないようではある。このトリプル安は、トランプ大統領が、トランプ関税により製造業の国内回帰を目指しているのとはまさに正反対、国内投資マネーの方は、米国離れ、米国逃避、米国売りを続けている裏返しになる。トランプ大統領自身は、「市場は恐がり過ぎ」とコメントしたようだが、追加関税の対象国が、関税ラッシュに手を焼いているのに、マーケットが、経済合理性を貫徹するマネーメカニズムを見せつけられた結果であり、さしものの政権側も、マーケットのプレッシャー(圧力)に「トランプ関税」を二転三転させ軌道修正させている側面も見受けられる。
■米国投資マネー逃避の先に浮上する日本株の投資妙味
トランプ政権内でも、このマーケットの圧力に関して注目されている側近がいる。ベッセント財務長官である。同長官は、ヘッジファンドを創立したウオール街の大物投資家で、あの1992年9月の英国ポンドが大暴落したポンド危機では、「イングランド銀行を潰した男」と異名をとったジョージ・ソロスとともに、大量の空売りを英国ポンドに浴びせ掛け10億ドル~20億ドルの利益を荒稼ぎした前歴がある。英国ポンドは、過大評価されていたにもかかわらず、英国政府やイングランド銀行は、市場介入や公定歩合引き上げによりボンド防衛策を続けたが、ついにマーケットの圧力を前に白旗を掲げざるを得なかった。その売り崩し側だったベッセント財務長官が、今度は攻守ところを変えて、ドル売りを防衛するポジションに立つのである。「トランプ関税」にどんなグラデーションが掛かるのか注目される。あるいは「市場の反乱」が一段落して「市場の勝利」も近いのではないかとも期待してしまう。
マーケットの方にも問題はある。米国株を売り、ドルを売り、米国債を売った逃避資金がどこに向かうか、どんな受け皿があるのかである。米国株を売った資金は一時、香港ハンセン指数が急伸したことから香港市場に流入したと推測されたこともあったが、このフェイク、ファクトはともかく、米中関税交渉の足元の状況からも持続可能性には疑問符がつく。この点では、やや旧聞に属するが、米大手証券会社のストラテジストが発表した投資判断の変更を参考とする手もある。この投資判断では、米国株を「オーバーウエート」から「ニュートラル」に引き下げる一方で、日本株を「アンダーウエート」から「オーバーウエート」に引き上げている。他市場に先立って日本市場が、トランプ関税による業績悪化を織り込んでおりバリエーション的に割安となっていることが強気転換の判断材料になったようである。東京市場の投資家にとってはうれしい限りであった。
■世界的投資家が評価する日本商社の安定成長性
ただうれしい半面、ではどんな銘柄にオーバーウエートするか難しくもある。そこで次に参考にしたいのが、ジョージ・ソロス、ジム・ロジャーズと並んで世界三大投資家と謳われた「オマハの賢人」ウォーレン・バフェットである。同氏は、毎年公表している恒例の今年2月の「株主への手紙」で、日本の総合商社5社への追加投資を示唆し、保有比率は従来、10%未満としていたのが、「上限を適度に緩和」することを明らかにした。さらに4月には同氏率いるバークシャー・ハサウエイが、7年連続で円建て社債を起債した。5大商社株が、同氏の投資メガネにかなったのは、業績が連続して過去最高を更新するバリエーションに加え、ボラティリティや自己株式取得も継続実施していることが上げられている。
5大商社の3月期決算発表は、発表銘柄が少数にとどまるゴールデンウイークの谷間の5月1日、2日に予定されており、次期業績のガイダンスとともに、増配、自己株式取得などの株主還元策動向にも余計に注目度が高まる。これをきっかけに5社が、上値追いに弾みをつけるようなら、ゴールデンウイーク明けには同業他社の準大手商社・中堅商社・専門商社株への連想も強まるはずである。「市場の反乱」が一段落し「市場の勝利」が期待できるのを見越して商社株に待ち伏せ買いするのも、一法となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)