【マーケットセンサー】急浮上する円高相場―G20会談を前に市場が揺れ動く

■保護主義政策懸念がドル売り加速

 4月21日の東京外国為替市場は、一時1ドル140円台まで上昇し、昨年9月以来、約7か月ぶりの円高・ドル安水準を記録した。4月23日に米ワシントンで開催される主要20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に合わせて行われる加藤財務相とベッセント米財務長官の会談が伝わった。市場では、この日米財務相会談で米国の相互関税問題と併せて、現在の円安・ドル高傾向に対する是正策が議論されるのではないかとの観測が急速に広まった。

 今回の会談では、為替問題が主要議題として取り上げられ、何らかの牽制や合意が形成される可能性を見越した円買い・ドル売りの流れが強まったと分析できる。加えて、日本経済に見られる緩やかな回復兆候や日銀による金融政策正常化への期待感も、円買いを後押しする要素となっている。米国ではインフレ圧力の高止まりによる利上げ継続の可能性があるものの、今回は保護主義政策への懸念がそれを上回る形となった。

 今後の円相場を占う上で最も重要となるのは、G20会議と日米財務相会談の結果である。会談において市場が期待するような為替相場への具体的言及や円安是正に向けた協力姿勢が示されれば、円高傾向がさらに加速する展開も考えられる。一方で、米国が自国経済を優先し為替問題への介入に消極的な姿勢を見せた場合、あるいは会談で為替問題が主要議題として扱われなかった場合は、市場の失望感から再び円安・ドル高に回帰する可能性も否定できない。

 中長期的には日米両国の金融政策の方向性の違いが、為替相場の基調を形作るだろう。日本の金融政策正常化のスピードや、米国の利上げ終着点、そして両国の経済指標の推移が重要となる。今回の円高局面は、国際的な政策協議の場における議論が市場心理にいかに影響するかを示す典型例と言える。短期的な値動きに一喜一憂するのではなく、今後の政策動向や経済情勢を冷静に見極めることが、為替市場の先行きを予測する上で不可欠となるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■AI機能強化でさらに便利に!Siriの進化とChatGPT統合で作業効率向上  Appleは3月…
  2. ■ChatGPT Enterpriseを活用し、業務効率化と新たな価値創造を推進  ふくおかフィナ…
  3. ■2024年度の美容室倒産件数、前年を大幅に上回る197件  帝国データバンクの調査によると、20…
2025年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

ピックアップ記事

  1. ■5大商社決算発表を前に高まる投資家の期待感  世界三大投資家の一人ウォーレン・バフェットが日本の…
  2. ■「市場の反乱」の一段落で「市場の勝利」を期待しバフェット流に商社株にバリュー株投資も一考余地  …
  3. ■株価55%高もまだ割安!?記念優待利回り10%超の注目株  10日には米国の関税発動停止を受け、…
  4. ■一喜一憂の投資家心理、トランプ関税「一時停止」の罠  まずフェイクニュースかと目と耳を疑った。次…
  5. ■脱炭素とデジタル革新:万博から広がるビジネスチャンス  本日2025年4月13日に開幕した大阪・…
  6. ■関税不安の裏で進む金市場の静かな熱気  トランプ関税による世界同時不況懸念が強まり、金先物価格が…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る