- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- 【アナリスト水田雅展の銘柄診断】スターティアは短期調整が一巡して下値切り上げ、中期成長力を評価して9月の戻り高値目指す
【アナリスト水田雅展の銘柄診断】スターティアは短期調整が一巡して下値切り上げ、中期成長力を評価して9月の戻り高値目指す
- 2014/12/22 09:00
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
電子書籍関連のスターティア<3393>(東1)の株価は、1800円近辺でのモミ合い展開から12月17日の1611円まで調整した。ただし10月の直近安値1552円まで下押すことなく19日には1656円まで切り返している。短期調整が一巡したようだ。下値を切り上げる形であり、中期成長力を評価して9月の戻り高値1940円を目指す展開だろう。
電子ブック作成ソフト「ActiBook」やWebアプリケーションを開発・販売するウェブソリューション関連事業、ネットワークアウトソーシング環境やクラウドサービスを提供するネットワークソリューション関連事業、ビジネスホンやMFP(複合機)などOA機器を販売するビジネスソリューション関連事業を展開している。
大手との競合が少ない従業員300人未満の中堅・中小企業をターゲットとして、ITインフラのワンストップソリューションを提供するとともに、ストック型収益の向上を推進している。アジア市場へも本格的に事業展開する方針だ。なお14年3月期末の自己資本比率は75.0%である。無借金経営であり財務の健全性の高さも特徴だ。
業容拡大に向けて14年8月には、ホスティングサービス運用や独自ハードウェア開発などを展開するエーティーワークスと資本・業務提携(17年3月末までに株式25%取得予定)した。また個人・法人向けに年間10万件以上のPCトラブル訪問サービスを展開する日本PCサービス<6025>と業務提携した。
9月には、就職活動支援サイト運営のカケハシプロモーションとの資本業務提携(45%相当の株式を取得、ただし議決権制限付きのため連結対象の範囲外)した。11月には子会社クロスチェックを設立した。一括請求を基盤としたワンストップサービス(回線敷設代行業務、OA機器販売、一括請求サービスによる再販など)を提供する。また12月にはシステムインテグレーションのネクストイットの技術本部の一部(常駐派遣事業など)および技術者21名を承継した。
今期(15年3月期)の連結業績見通しについては、前回予想(5月9日公表)を据え置いて、売上高が前期比13.2%増の92億48百万円、営業利益が同1.3%増の8億40百万円、経常利益が同1.2%増の8億66百万円、純利益が同0.2%増の4億33百万円としている。
配当予想(10月23日に修正)は年間12円83銭(第2四半期末5円、期末7円83銭)としている。前期の年間15円(期末一括)との比較では2円17銭減配の形だが、前期は記念配当6円45銭を含んでいるため、普通配当に関しては4円28銭増配となる。
第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比9.8%増収、同6.8%営業増益、同32.7%経常増益、同64.4%最終増益だった。売上高は計画をやや下回ったがウェブソリューションが同5.7%増収、ネットワークソリューションが同15.8%増収、ビジネスソリューションが同8.5%増収と好調に推移した。また人材募集費用や人件費の増加が想定を下回り、持分法投資利益や投資有価証券売却益も寄与して利益は計画を大幅に上回った。
通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が43.7%、営業利益が30.1%、経常利益が37.0%、純利益が54.7%で、営業利益の進捗率がやや低水準だ。ただし営業利益の四半期別計画は、第1四半期(4月~6月)が新卒84名採用など先行投資の影響で99百万円の赤字だが、第2四半期(7月~9月)が2億37百万円、第3四半期(10月~12月)が2億13百万円、第4四半期(1月~3月)が4億89百万円と下期偏重の計画である。この点を考慮すれば順調な水準だろう。
通期のセグメント別売上高の計画はウェブソリューションが同13.3%増の22億02百万円、ネットワークソリューションが同18.8%増の25億67百万円、ビジネスソリューションが同10.2%増の44億79百万円としている。ウェブソリューションの「ActiBook」やネットワークソリューションのネットワーク関連機器が好調に推移する。
利益面では新卒84名採用、ホスティングサービスでのセキュリティ強化、アジア地域への事業展開など、中期成長に向けた先行投資負担の影響で微増益にとどまる見通しとしているが、第2四半期累計の利益が計画を大幅に上回ったことに加えて、ストック収益も拡大基調である。通期会社見通しには上振れ余地があるだろう。
14年8月発表の「新・中期3ヵ年利益計画」では、連結経常利益の目標値として15年3月期8億86百万円、16年3月期11億34百万円、17年3月期14億円を掲げている。
初年度15年3月期は先行投資負担で小幅な伸びにとどまるが、2年目16年3月期以降は先行投資を平常に戻しつつ、安定的な成長を継続するとしている。さらなる規模拡大や継続的成長に向けて、M&Aなど積極的な資本・業務提携も推進する方針だ。中期的に収益拡大基調だろう。
なお8月12日発表の自己株式取得(取得株式総数の上限2万5000株、取得価額総額の上限4000万円、取得期間14年8月13日~14年11月28日)については、11月28日時点で累計取得株式総数2万2000株、累計取得価額総額3824万1200円となって終了した。
株価の動きを見ると、1800円近辺でのモミ合い展開から12月17日の1611円まで調整した。全般地合い悪化も影響したようだ。ただし10月の直近安値1552円まで下押すことなく、19日には1656円まで切り返している。短期調整が一巡したようだ。
12月19日の終値1656円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS85円51銭で算出)は19~20倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間12円83銭で算出)は0.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS689円67銭で算出)は2.4倍近辺である。
週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、5月安値1305円、8月安値1451円、10月安値1552円、12月安値1611円と下値を切り上げる形だ。中期成長力を評価して9月の戻り高値1940円を目指す展開だろう。