
■トランプ圧力が火種、FRB独立性に市場が警戒感
4月22日の東京外国為替市場で、円相場は対ドルで円高に振れ、一時1ドル=139.88円をつけた。これは昨年9月以来、約7カ月ぶりの円高・ドル安水準となる。主因は、トランプ米大統領によるパウエルFRB議長への批判が市場心理に影響し、米国の金融政策に対する不透明感が強まったことにある。
トランプ氏は前日、自身のSNSで「インフレはほぼ存在せず、パウエル議長は遅すぎる男だ」と投稿し、即時の利下げを要求。さらに、ホワイトハウス高官が議長の解任を検討しているとの観測も広がり、ドルの信認が揺らいだ。
また、日米金利差の縮小も円高要因となっている。米連邦準備制度理事会(FRB)は昨年末をもって利上げ局面を終え、現在は政策金利の据え置きが見込まれている。一方、日銀は今年1月に長期金利目標を0.5%に引き上げたが、その後は慎重な姿勢を維持している。
米中関係の先行き不透明感や、米国の関税政策への懸念もドル売り圧力となっている。トランプ政権下で保護主義的な貿易政策の再燃が警戒され、リスク回避の動きから円買いが優勢となった。
■日米会談控え為替市場に緊張感、協調介入の思惑も
4月24日には加藤財務相とベッセント米財務長官(指名)による日米財務相会談が予定されている。為替の急変動をめぐり、協調介入の有無や円安是正に対する圧力が協議される可能性があり、市場の注目を集めている。こうした政治的イベントも市場心理に影を落としている。
今後もトランプ氏の圧力が続くようであれば、FRBの独立性に対する懸念は払拭されず、ドルの信認回復は容易ではない。一方で、金融政策の長期的安定性を重視する市場の力学も働いており、過度なパニック売りが継続するかどうかは不透明である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)