協立情報通信、26年3月期収益拡大期待、高配当利回りが魅力、下値切り上げで戻り試す展開へ

 協立情報通信<3670>(東証スタンダード)は、中堅・中小企業のICT化を支援するソリューション事業、およびドコモショップ運営と法人向けモバイルソリューションのモバイル事業を展開し、成長戦略として事業ポートフォリオの再構築、継続収益の拡大、サステナブル経営などを推進している。25年3月期業績(非連結)予想については4月16日付で下方修正したが、24年3月期比では営業・経常2桁増益を確保した。積極的な事業展開で26年3月期の収益拡大を期待したい。なお3月18日に名証メイン市場への重複上場申請を発表している。株価は地合い悪化も影響して乱高下する形だが、下方修正に対するネガティブ反応は限定的だった。そして徐々に下値を切り上げている。高配当利回りなど指標面の割安感も評価材料であり、戻りを試す展開を期待したい。

■ソリューション事業とモバイル事業を展開

 中堅・中小企業のICT(情報通信技術)化を支援するソリューション事業、およびドコモショップ運営と法人向けモバイルソリューションのモバイル事業を展開している。

 24年3月期(非連結決算)のセグメント別業績は、ソリューション事業の売上高が17億52百万円で営業利益(全社費用等調整前)が4億85百万円、モバイル事業の売上高が37億16百万円で営業利益が2億36百万円だった。

 ソリューション事業は、NEC<6701>、NTTドコモ<9437>、オービックビジネスコンサルタント<4733>、日本マイクロソフト、サイボウズ<4776>の主要パートナー企業5社の製品・サービスを融合し、会計情報ソリューションやマイクロソフト365サービスなど情報インフラ、情報コンテンツ、情報活用の3分野を総合したワンストップソリューションの経営情報ソリューションサービスを提供している。体感型フューチャーラボの「協立情報コミュニティー」において、製品活用体験セミナー、フェア、イベント、システム導入相談会、教育サービスなどを提供していることも特徴だ。

 モバイル事業はNTTドコモの一次代理店であるティーガイア<3738>の代理店として、ドコモショップ5店舗(東京都内2店舗、埼玉県内3店舗)を運営し、個人向けモバイル端末などの店頭販売、および法人向けモバイルソリューション(ドコモ法人・モバイルサービス)を展開している。

■中期経営計画

 中期経営計画(24年3月期~26年3月期、ローリング方式)では最終年度26年3月期の目標値に売上高60億円、営業利益4億円、当期純利益2.6億円、純資産23億円、EPS222円、BPS1960円を掲げている。株主還元については配当性向30%~40%程度を目途に、業績連動による適正な配当を実施するとともに、業績悪化時も一定水準を維持する方針としている。

 成長戦略として事業ポートフォリオの再構築、継続収益の拡大、サステナブル経営を推進するとしている。

 事業ポートフォリオの再構築では、収益構造(売上高)の目標として、23年3月期実績49.8億円(法人系25.5億円、店舗系24.3億円)から、26年3月期に60億円(法人系40億円、店舗系20億円)へ、さらに長期目標の100億円(法人系80億円、店舗系20億円)を目指すとしている。24年3月期~25年3月期はパートナー共創の強化、融合事業サービスの強化、継続収益サービスの進化、26年3月期以降は事業拡張の強化、営業エリアの拡大、サービス領域の拡大を推進する。

 継続収益の拡大では、売上規模の拡大を図りつつ、継続収入金額・比率の目標として、23年3月期実績9億67百万円・19%から、26年3月期に13億80百万円・23%を目指すとしている。クラウドサービスの深化、サブスク型サービスの拡大、サポートサービスの強化などを推進する。

 サステナブル経営の推進については、経営理念のもと、すべてのステークホルダーに配慮し、環境負荷低減への貢献、ダイバーシティ推進と人財育成、顧客・パートナーとの共創、コーポレートガバナンスの充実などサステナブル(ESG、DSGs)経営を推進する。

■スタンダード市場上場維持基準適合に向けた計画書

 22年4月に実施された東京証券取引所の市場再編に関してはスタンダード市場を選択し、21年12月15日付でスタンダード市場上場維持基準適合に向けた計画書を開示している。中期経営計画で打ち出した基本戦略を着実に遂行し、定量目標の達成による収益力の強化・利益の拡大、株主還元の充実、コーポレートガバナンスの充実、資本政策の検討・実施、IR活動の充実と情報発信の強化などによって企業価値の向上(時価総額の上昇)を図り、26年3月期にスタンダード市場上場維持基準の充足を目指すとしている。

 なお資本政策の検討・実施については、流通株式比率37%以上の維持と株主利益に配慮しつつ、流通株式時価総額の適合に資する各施策(自己株式の処分、非流通株式の縮減、ストック・オプションの従業員行使など)について是非を検討する。

 そして24年6月には、計画に基づく進捗状況をリリースした。24年3月末時点で流通株式時価総額がスタンダード市場の上場維持基準を充たしていないが、当初計画通り26年3月期までに上場維持基準を充たすために各種取組を推進するとしている。なお3月18日に名証メイン市場への重複上場申請を発表している。

■25年3月期営業・経常2桁増益予想、26年3月期収益拡大期待

 25年3月期の業績(非連結)予想については4月16日付で下方修正し、売上高が24年3月期比19.5%減の44億円、営業利益が13.1%増の3億20百万円、経常利益が12.3%増の3億20百万円、そして当期純利益が14.7%減の2億20百万円とした。配当予想については据え置いて24年3月期と同額の55円(期末一括)としている。予想配当性向は29.9%となる。

 前回予想(24年5月9日公表の期初計画値、売上高55億円、営業利益3億50百万円、経常利益3億55百万円、当期純利益2億30百万円)に対して、売上高を11億円、営業利益を30百万円、経常利益を35百万円、当期純利益を10百万円それぞれ下方修正した。

 ソリューション事業はユーザーのクラウド環境移行案件が堅調だったが、大型PBXシステムおよびオンプレミスサーバ導入案件がやや停滞気味に推移した。モバイル事業は法人向けサービスが堅調だったが、店舗事業における上期の低迷をカバーできなかった。

 25年3月期は下方修正となったが、各利益は小幅な下方修正にとどまり、24年3月期比では営業・経常2桁増益を確保した。重点戦略として、ワンストップソリューションサービスによるDX化支援の強化、モバイル事業の利活用サポート強化、サステナブル経営や人材の採用・育成および環境の整備などを推進しており、積極的な事業展開で26年3月期の収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は毎年3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年3月末時点で5単元(500株)以上保有株主を対象として、保有株式数に応じて島根県の特産品を贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は下値切り上げ

 株価は地合い悪化も影響して乱高下する形だが、下方修正に対するネガティブ反応は限定的だった。そして徐々に下値を切り上げている。高配当利回りなど指標面の割安感も評価材料であり、戻りを試す展開を期待したい。4月22日の終値は1582円、前期推定PER(会社予想のEPS183円67銭で算出)は約9倍、前期推定配当利回り(会社予想の55円で算出)は約3.5%、前々期実績PBR(前々期実績のBPS1682円00銭で算出)は約0.9倍、そして時価総額は約19億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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