
■総合商社5社の決算と株主還元策に注目集まる
ウォーレン・バフェット氏は、ジョージ・ソロス氏やジム・ロジャーズ氏と並ぶ世界三大投資家の一人として知られ、毎年恒例の「株主への手紙」でも注目を集める存在である。今年2月の同書簡では、日本の総合商社5社への追加投資の可能性を示唆し、従来10%未満にとどめていた保有比率の上限についても「適度に緩和」する意向を明らかにした。4月にはバークシャー・ハサウエイとして7年連続の円建て社債発行も実施。この背景には、5大商社の業績が連続して過去最高を更新し続け、ボラティリティの低さや自己株式取得の継続実施といった株主還元姿勢が評価されたことがある。
■商社株、GW明けにサプライズ!?バフェット効果で連想買いも
5大商社の3月期決算発表は5月1日と2日に予定されており、発表内容には次期業績のガイダンスだけでなく、配当増額や自己株式取得などの還元策が含まれる見通しである。ゴールデンウイークの谷間に位置するこのタイミングは、株式市場において注目を集めやすく、仮にこれが好感されれば、商社株が一段高となる可能性がある。この上昇が現実のものとなれば、準大手・中堅商社や専門商社への投資妙味も波及し、関連銘柄が連想買いの対象となる展開も視野に入る。市場の混乱が一段落し、「市場の勝利」が見込まれる局面では、バフェット流の中長期的な視点に立った待ち伏せ買い戦略も有効といえよう。
■準大手・専門商社にも熱視線!商社セクター全体に投資妙味
足元では、5大商社株が「株主への手紙」直後の3月にかけて急伸し、配当権利取りの動きも相まって直近高値に達したが、その後は世界的な株安の影響で一転して急落、年初来安値までの下落を余儀なくされた。しかし直近では過度の売られ過ぎ感から反発し、調整幅の半値戻し水準まで回復している。丸紅<8002>(東証プライム)や住友商事<8053>(東証プライム)は、中期経営計画の進捗が好材料視されており、三菱商事<8058>(東証プライム)に至っては政策保有株の売却を含め1兆円規模の自己株式取得に取り組んでいる。こうした姿勢は、5月の決算発表を経て「全値戻し」を狙う再上昇の足がかりとなる可能性がある。
このような環境下で注目すべきは、準大手商社の双日<2768>(東証プライム)や兼松<8020>(東証プライム)、豊田通商<8015>(東証プライム)といった銘柄群である。また中堅商社では、長瀬産業<8012>(東証プライム)、稲畑産業<8098>(東証プライム)、明和産業<8103>(東証プライム)、ソーダニッカ<8158>(東証プライム)などが相対的な割安感から再評価される余地を残す。さらに、食品専門商社の一角には、年初来高値を更新した銘柄もあり、消費税減税の議論や関税交渉の進展次第では業績押し上げ要因として作用することが見込まれる。ヤマエグループホールディングス<7130>(東証プライム)やスターゼン<8043>(東証プライム)は、株主優待制度や株式分割の効果もあり、今後も市場の牽引役となる可能性がある。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)