トレジャー・ファクトリー、26年2月期も増収増益・連続増配予想で収益拡大基調、株価は最高値視野

 トレジャー・ファクトリー<3093>(東証プライム)は、総合リユース業態のトレジャーファクトリーや服飾専門リユース業態のトレファクスタイルなどリユースショップを複数業態で全国展開し、成長戦略としてSDGsの推進とともに、生活に密着したリユースの総合プラットフォーム構築を目指している。26年3月期も増収増益で連続増配予想としている。外部環境の不透明感を考慮して保守的な前提としているが、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は好業績を評価して年初来高値圏だ。そして24年7月の最高値に接近している。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■リユースショップを複数業態で全国展開

 総合リユース業態のトレジャーファクトリーや服飾専門リユース業態のトレファクスタイルなど、リユースショップを複数業態で首都圏・直営店中心に全国展開している。さらに周辺事業・新規事業として、BtoBライブネットオークション事業、引越・買取サービスのトレファク引越事業、不動産売買・仲介を行うトレファク不動産事業、終活・生前整理サービスのレガシー事業、ドレスやブラックフォーマルをレンタルするECレンタル事業「Cariru」なども展開している。25年4月には楽器に特化した新業態トレファク楽器のサービス開始を発表した。第1号店は25年夏ごろオープン予定で、都心部中心の店舗展開を計画している。

 M&A・アライアンスとしては、20年10月に静岡県中心にリユースショップ直営店を展開するピックアップジャパンを子会社化、23年10月に愛知県中心にゴルフ専門リユースショップ「ゴルフキング」を展開するアクオを子会社化、24年2月にゴルフ専門リユースショップ「ゴルフキッズ」を展開する子会社GKファクトリーがアクオを吸収合併した。

 海外はタイ(16年3月進出)のバンコクで直営店を展開し、台湾では現地法人Treasure Factory(21年4月設立)が22年12月に1号店をオープンした。台湾においても複数店舗のドミナント展開を目指すとしている。

 25年4月末時点の店舗数は、グループ合計301店舗(タイの5店舗と台湾の2店舗を含むトレジャーファクトリーが100店舗、トレファクスタイルが93店舗、トレファクスポーツアウトドアが9店舗、ユーズレットが11店舗、ブランドコレクトが7店舗、トレファクマーケットが2店舗、子会社のカインドオルが42店舗、ピックアップが14店舗、ゴルフキッズが14店舗、ゴルフキングが9店舗)で、このうち直営店は267店舗となっている。

 生活に密着したリユースの総合プラットフォーム構築を目指し、マルチブランドの業態展開による販売力やマルチチャネルによる仕入力を強みとしている。収益面の季節特性としては、引越シーズンで生活家電や家具の構成比が高まる第1四半期(3月~5月)の利益率が高くなり、単価の低い夏物衣料が主力となる第2四半期(6月~8月)の利益率が低くなる傾向がある。

■28年2月期経常利益56億円目標

 中期経営計画(ローリング方式により毎年4月に更新、26年2月期~28年2月期)では、最終年度28年2月期の目標数値として店舗数388店舗、売上高503億円、経常利益56億円、経常利益率9.7%を掲げている。配当性向は30%以上を目標とする。なおM&Aについては織り込んでいない。

 基本方針として、リユース事業の成長、新規事業への投資、海外市場での成長、M&Aによる成長、DX投資による成長を掲げている。リユース事業の成長では関東・関西・東海・九州を中心に年間30~40店のペースで出店し、リユースのネットワークを拡大する。新規事業への投資ではコアとなるリユース事業に加えて、相乗効果・補完関係のあるリユース周辺事業等への継続的投資により成長基盤の拡大を図る。海外事業では、タイおよび台湾において事業体制の整備と収益改善を進めながら新規出店を行うほか、新規地域への進出を検討する、M&Aによる成長では、相乗効果・補完関係のあるM&Aを積極的に実行し、成長を加速する。DX投資では、グループ全体のシステム開発力を活用し、ITやAIを使った業務効率化とイノベーションを起こし、新たなビジネス機会の創出を図る。

■25年2月期大幅増収増益、26年2月期も増収増益で連続増配予想

 25年2月期の連結業績は売上高が24年2月期比22.5%増の422億07百万円、営業利益が20.5%増の40億35百万円、経常利益が20.4%増の40億82百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が20.9%増の27億09百万円だった。配当(24年7月10日付で第2四半期末2円上方修正)は25年4月9日付で期末2円上方修正(創業30周年記念配当を実施)して、24年2月期比8円増配の36円(第2四半期末18円、期末18円=普通配当16円+記念配当2円)とした。配当性向は31.1%となる。

 既存店売上が好調に推移して大幅増収増益だった。営業利益の前年同期比6億87百万円増益の分析は、単体・既存店で11億99百万円増加、単体・当期新店で47百万円減少、単体・その他で9億22百万円減少(店頭買取以外の買取チャネルの人員増加で1億52百万円減少、ECや買取強化のための広告宣伝費増加で1億07百万円減少、センター拡張移転に伴うコスト増加で33百万円減少、レンタル事業の減益で64百万円減少、26年2月期第1四半期新規出店の先行コストで21百万円減少)、グループ会社の利益貢献で4億57百万円増加だった。

 主要KPIとして、単体ベースの既存店売上高は前期比107.9%(販売件数は103.6%、販売単価は104.1%)だった。単体ベースの既存店売上総利益率は64.2%で0.6ポイント低下した。内訳は商品ミックス変化(原価率の高い高単価商材の販売増加)で約0.4ポイント低下、会計処理変更(仕入送料の一部を販管費から売上原価に変更)の影響で約0.2ポイント低下した。連結ベースのEC売上比率は0.6ポイント上昇して14.5%、仕入高は21.2%増加した。連結ベースの新規出店は合計24店舗、退店は4店舗だった。25年4月末時点のグループ合計店舗数(海外およびFCを含む)は301店舗となっている。

 なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が103億20百万円で営業利益が13億49百万円、第2四半期は売上高が92億94百万円で営業利益が3億95百万円、第3四半期は売上高が109億円で営業利益が12億36百万円、第4四半期は売上高が116億91百万円で営業利益が10億53百万円だった。

 26年2月期の連結業績予想は売上高が25年2月期比9.6%増の462億52百万円、営業利益が9.5%増の44億20百万円、経常利益が8.8%増の44億41百万円、親会社株主帰属当期純利益が11.0%増の30億08百万円としている。配当予想については25年2月期比3円増配の39円(第2四半期末19円、期末20円)としている。25年2月期の年間36円には記念配当2円が含まれているため、普通配当ベースでは5円増配となる。予想配当性向は30.4%となる。

 26年2月期も増収増益で連続増配予想としている。前提として単体ベースの既存店売上は25年2月期比102%、連結ベースの売上総利益率は0.8ポイント上昇の59.9%、販管費比率は0.9ポイント上昇の50.4%としている。外部環境の不透明感を考慮して保守的な前提としているが、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

 なお月次売上状況(単体直営店の店舗売上、前年同月比速報値)を見ると、25年3月は全店が112.4%、既存店が104.4%(21年9月から43ヶ月連続前年比プラス)だった。3月は月後半に天候が回復し、気温が上昇するにつれて春物衣料の販売が好調だったほか、服飾雑貨、生活家電、ホビー用品なども堅調だった。なお店舗展開は新規出店が3店舗、退店が1店舗だった。

■株主優待制度は毎年2月末の株主対象

 株主優待制度(詳細は会社HP参照)は、毎年2月末時点の1単元(100株)以上保有株主を対象として実施している。

■株価は上値試す

 なおJPX総研および日本経済新聞社が共同で算出するJPX日経中小型株指数の24年度(24年8月30日~25年8月28日)の構成銘柄として選定された。

 株価は好業績を評価して年初来高値圏だ。そして24年7月の最高値に接近している。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。4月25日の終値は1927円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS128円37銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の39円で算出)は約2.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS444円44銭で算出)は約4.3倍、そして時価総額は約469億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■AI機能強化でさらに便利に!Siriの進化とChatGPT統合で作業効率向上  Appleは3月…
  2. ■ChatGPT Enterpriseを活用し、業務効率化と新たな価値創造を推進  ふくおかフィナ…
  3. ■2024年度の美容室倒産件数、前年を大幅に上回る197件  帝国データバンクの調査によると、20…
2025年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

ピックアップ記事

  1. ■スタンレー電気など年初来安値銘柄の業績見通しに焦点  日経平均株価が4月に大幅下落する中、年初来…
  2. ■トランプ劇場、急転換の舞台裏!米中摩擦、FRB人事…予測不能な変幻自在  「クルマは急に止まれな…
  3. ■5大商社決算発表を前に高まる投資家の期待感  世界三大投資家の一人ウォーレン・バフェットが日本の…
  4. ■「市場の反乱」の一段落で「市場の勝利」を期待しバフェット流に商社株にバリュー株投資も一考余地  …
  5. ■株価55%高もまだ割安!?記念優待利回り10%超の注目株  10日には米国の関税発動停止を受け、…
  6. ■一喜一憂の投資家心理、トランプ関税「一時停止」の罠  まずフェイクニュースかと目と耳を疑った。次…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る