ピックルスホールディングス、主力商品の価格改定で26年2月期2桁営業・経常増益予想、割安感も追い風

 ピックルスホールディングス<2935>(東証プライム)は漬物・キムチ製品の最大手で、独自の乳酸菌Pne-12を使用した「ご飯がススムキムチ」シリーズや惣菜を主力としている。成長戦略として製品開発強化、販売エリア・販売先拡大、販売価格適正化や原価低減による収益性向上などを推進し、野菜・発酵・健康の総合メーカーを目指して外食・小売・農業領域への展開も推進している。26年2月期は2桁営業・経常増益予想としている。売上面は消費者の節約志向の影響を受けるが、利益面は前期の天候要因の影響緩和等による原価率改善を見込んでいる。なお25年5月より主力商品の販売価格改定と量目変更を同時に実施する。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化の影響で年初来安値を更新したが、その後は売り一巡して反発の動きを強めている。1倍割れの低PBRなど指標面の割安感も評価材料であり、出直りを期待したい。

■漬物製品の最大手で「ご飯がススムキムチ」シリーズや惣菜が主力

 漬物・キムチ製品の最大手で、独自の乳酸菌Pne-12(ピーネ12)(特許取得済)を使用した「ご飯がススムキムチ」シリーズや惣菜などを主力としている。さらに野菜・発酵・健康の総合メーカーを目指し、外食・小売・農業領域への展開も推進している。

 新規事業としてはBtoC領域の外食・小売事業に参入し、20年10月に子会社OHが埼玉県飯能市に複合型観光施設として、発酵のテーマパーク「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」を開業した。

 22年3月には子会社ピックルスファームを設立して埼玉県内で農業事業を開始した。所沢工場向けの小松菜や「OH!!!」向けのさつまいもを生産する。野菜の生産に関わることで安全・安心な原料野菜を安定的に調達するとともに、農業を通じた雇用創出や地域活性化にも貢献することを目指す。23年9月には、センシングデバイスや農業資材などを取り扱う複合機能商社であるAsueとの合弁により、サツマイモを原材料とする加工食品の仕入・販売を行う子会社ベジパル(出資比率60%)を設立した。

 25年2月期の品目別売上構成比は製品69.1%(浅漬・キムチ40.4%、惣菜27.8%、ふる漬0.9%)および商品(漬物、調味料、その他)30.9%、販路別売上構成比は量販店76.4%、コンビニ15.6%、外食・その他8.0%だった。セブン&アイ・ホールディングス<3382>など大手量販店・コンビニが主要取引先である。収益面の特性としては、個人消費動向のほか、天候不順などによる野菜(特に胡瓜と白菜)価格の影響を受ける傾向がある。

■成長戦略として新規領域での売上創出を推進

 中期経営目標値(ローリング方式により1年ごとに見直し)としては、28年2月期売上高430億円(浅漬・キムチ178億03百万円、惣菜118億10百万円、ふる漬4億69百万円、商品129億17百万円)、売上総利益88億99百万円、売上総利益率20.7%、販管費71億99百万円、販管費比率16.7%、営業利益17億円、経常利益17億70百万円、親会社株主帰属当期純利益11億30百万円を掲げている。

 成長戦略としては、既存領域で拡販を推進しながら、新規領域で10億円超の新たな売上創出(「OH!!!」事業+海外市場開拓で5億円規模、さつまいも商品+業務用冷凍関連製品+健康志向製品で8億円規模)を目指す。設備投資は26年2月期からの3年間で合計30億円(26年2月期14億円、27年2月期9億円、28年2月期7億円)を計画している。なお24年12月に茨城工場(投資額約50億円)が本格稼働した。自動化によって生産効率向上と労務費改善を推進する。

 SDGsへの取り組みとしては、太陽光発電の導入、LED電灯の100%導入、子ども食堂への支援、オリジナルエコマーク「ピックルスのECO」の導入などに加えて、野菜残さを餌としたウニの養殖研究にも取り組んでいる。23年2月には健康経営宣言を策定した。25年3月には健康経営優良法人認定制度において健康経営優良法人2025(大企業法人部門)に認定された。

■25年2月期は減収減益、26年2月期は2桁営業・経常増益予想

 25年2月期の連結業績は売上高が24年2月期比3.5%減の415億18百万円、営業利益が23.3%減の12億79百万円、経常利益が24.1%減の13億45百万円、親会社株主帰属当期純利益が18.4%減の9億58百万円だった。配当は24年2月期比2円増配の26円(第2四半期末12円、期末14円)とした。配当性向は33.7%となる。

 減収減益だった。物価上昇に伴う消費者の節約志向の影響やコンビニエンスストア向け売上減少などで減収となり、夏場の高温や夏以降の天候不順といった天候要因で原料の白菜や胡瓜などの野菜価格が高騰したこと、物流費や人件費が上昇したことなども影響した。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が108億12百万円で営業利益が5億04百万円、第2四半期は売上高が108億82百万円で営業利益が6億13百万円、第3四半期は売上高が100億84百万円で営業利益が1億95百万円、第4四半期は売上高が97億40百万円で営業利益が33百万円の損失だった。

 26年2月期の連結業績予想は売上高が25年2月期比1.2%減の410億円、営業利益が17.3%増の15億円、経常利益が13.9%増の15億32百万円、親会社株主帰属当期純利益が3.3%増の9億90百万円としている。配当予想については25年2月期比1円増配の27円(第2四半期末13円、期末14円)としている。予想配当性向は33.9%となる。

 売上高の計画は、品目別には製品が0.6%減の285億38百万円(浅漬・キムチが0.1%増の167億82百万円、惣菜が1.7%減の113億42百万円、ふる漬が5.6%増の4億14百万円)および商品(漬物、調味料、その他)が2.8%減の124億60百万円、販路別には量販店が2.3%減の310億11百万円、コンビニが1.5%増の65億55百万円、外食・その他が3.8%減の34億32百万円としている。

 売上面は消費者の節約志向の影響を受けるが、利益面は前期の天候要因の影響緩和のほか、商品規格見直しや生産性改善などによる原価率改善を見込んでいる。重点施策として、営業面は各種キャンペーンなど効果的な販促活動、商品規格や販売価格の見直しによる値上げ、新規取引先の開拓や既存取引先の深耕、製造面は製品の集約、不採算アイテムの見直し、省力化などによる生産コスト改善、24年12月に稼働した茨城工場における効率的な製造、原料調達面では契約栽培の拡大による安定調達、産地の分散化などを推進する。なお25年5月より主力商品の販売価格改定と量目変更を同時に実施する。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は毎年2月末の株主が対象

 株主優待制度(詳細は会社HP参照)は毎年2月末時点の100株(1単元)以上保有株主を対象として商品詰め合わせセットなどを贈呈する。

■株価は反発の動き

 株価は地合い悪化の影響で年初来安値を更新したが、その後は売り一巡して反発の動きを強めている。1倍割れの低PBRなど指標面の割安感も評価材料であり、出直りを期待したい。4月25日の終値は919円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS79円60銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の27円で算出)は約2.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1482円42銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約118億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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