【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】サクセスフル・エイジング(華麗なる老い)について

ドクター箱崎幸也 健康増進実践法

■加工肉摂取制限はサルコペニア(筋肉量低下による身体機能低下)のリスク増す

10月号では、大腸癌の危険因子に赤身肉・加工肉(ソーセージやハムなど)があると報告しました。その後、世界保健機関(WHO)から、肺がんの喫煙と同様のリスクが「加工肉摂取と大腸がんリスク」でもあると報告されました。しかし、日本人の摂取量では赤身肉・加工肉を全く摂取しない大腸がんリスク軽減より、タンパク質を摂取しないためのサルコペニア(筋肉量の低下による身体機能低下)などのリスクが上回ると考えられます。

サクセスフル・エイジング(以下S.E.)達成には、何事もバランスが大切かと思います。「S.E.とは」の質問がありましたので、再度説明をさせて下さい。

S.E.の良い日本語訳はありません。「幸せな老い」「上手な年の取り方」などがありますが、私は患者さんに「華麗なる老い」と話しています。近年、アンチエイジング(老化の進行を人為的に制御)より、『健康寿命を延ばして高い生活の質、高い生産性(社会貢献)を満たす』S.E.の達成が重要視されています。

1960年代米国では高齢者の増加により高齢者の生き方への考えが変化し、この概念がでてきました。ローマ時代の著作家キケロ(BC106~43)が、S.E.を論じた先駆者とされています。キケロは著書『老年について』は、「老年を謳いあげた最初の書物」として知られています。この著書なかで、84歳のローマ大政治家カトーが2人の青年に語りかける形式で、高齢者を擁護する主張を展開しています。仕事、健康、情熱、死の4つを取り上げ、老境が決して惨めなものではないと反論し、高齢者の前向きな生き方を推奨しています。紀元前から老いに関する議論がなされていることに驚きます。今後どんなに医学が進歩しても人生90年は大きく延長することはなく、未来永劫S.E.達成が人生の宿題かと思います。次号からS.E.達成についてもう一度整理したいと思います。(箱崎幸也=元気会横浜病院々長、元・自衛隊中央病院消化器内科部長)

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