【アナリスト水田雅展の銘柄診断】セキドは利益確定売り一巡して切り返し、訪日外国人旅行客増加や低PBRも支援材料

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 ファッション専門店チェーンのセキド<9878>(東2)の株価は、11月21日の戻り高値161円から反落し、12月16日の143円まで調整した。ただし10月の直近安値136円まで下押すことなく140円台で下げ渋り感を強めている。利益確定売りが一巡したようだ。訪日外国人旅行客の増加で恩恵を受ける銘柄として注目度が高く、低PBRも支援材料として切り返し局面だろう。

 12年10月に家電の店舗販売事業から撤退してファッション専門店事業に経営資源を集中した。海外ブランド品などを扱うファッション専門店「GINZA LoveLove」「スーパーセレクトショップラブラブ」を直営で展開している。前期(14年2月期)末の店舗数は首都圏中心に24店舗である。

 中期成長戦略として「GINZA LoveLove」のブランディング戦略強化を掲げ、高額のナショナルブランド品、中・低価格帯のプライベートブランド(PB)品、アウトレットブランド品の品揃えを強化している。さらに収益力改善に向けて、新規出店と既存店リニューアル、ネット通販の強化、滞留期間短縮による商品在庫の鮮度アップ、売れ筋商品の機会ロス低減、店舗運営の効率化などへの取り組みを強化している。

 ネット通販についてはストリーム<3071>と業務提携している。さらに今後の事業展開として小売法人向け商品供給や販売業務委託を強化する方針を打ち出し、14年7月にはラオックス<8202>と業務提携した。当社がラオックスに対して高級ブランド品(バッグ・財布など)を提供し、ラオックスが当社に対して高級時計を中心とした宝飾品を供給する。相互の効率的な商品供給体制を確立して販売増につなげる戦略だ。

 今期(15年2月20日期)の業績(非連結)見通し(10月3日に減額修正)は、売上高が前期比7.7%減の110億円、営業利益が同23.6%増の1億10百万円、経常利益が同58.8%減の40百万円、そして純利益が同53.3%減の50百万円としている。配当予想については前回予想(4月1日公表)を据え置いて前期と同額の年間1円(期末一括)としている。

 第2四半期累計(2月21日~8月20日)は消費増税の影響が想定以上に長期化して大幅減収となり、前年同期に比べて営業赤字幅が拡大した。ただし通期ベースではPB商品拡販による売上総利益率の改善、人件費や広告宣伝費の見直しによる効率化も寄与して営業増益見通しとしている。ラオックスとの業務提携の効果や訪日外国人旅行客の増加の恩恵で、高額ブランド品などの販売増が期待される。

 株主優待については、毎年2月20日および8月20日現在で1000株以上所有株主に対して実施している。優待内容は、1000株以上所有株主に対して一律「株主ご優待券5%割引券」5枚、3000株以上所有株主に対して「1000株あたり500円のお買い物券+株式数に応じたお買い物券」を贈呈している。さらに2年以上継続保有の株主に対しては「お買い物券」が上乗せされる(詳細は会社ホームページ等で確認のこと)。

 株価の動きを見ると、11月21日の戻り高値161円から利益確定売りで反落し、12月16日の143円まで調整した。ただし10月直近安値136円まで下押すことなく140円台で下げ渋り感を強めている。利益確定売りが一巡したようだ。

 12月19日の終値158円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS3円53銭で算出)は45倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間1円で算出)は0.6%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS260円59銭で算出)は0.6倍近辺である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインの形だ。訪日外国人旅行客の増加で恩恵を受ける銘柄として注目度が高く、低PBRも支援材料として切り返し局面だろう。

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