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【アナリスト水田雅展の銘柄診断】【アナリスト水田雅展の銘柄診断】翻訳センターは下値切り上げの動き、中期成長力を評価して出直り
- 2014/12/22 09:32
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
翻訳・通訳事業を展開する翻訳センター<2483>(JQS)の株価は、10月中旬~11月上旬の直近安値圏3100円台から11月下旬の3600円台まで戻した。その後12月16日に3300円まで調整する場面があったが、19日には3400円台に戻して下値切り上げの動きを強めている。中期成長力を評価して出直り展開だろう。
特許・医薬・工業(IT関連)・法務・金融分野を中心として企業向け翻訳サービス事業を展開し、業容拡大に向けて12年9月に通訳・翻訳・国際会議運営のアイ・エス・エス(ISS)を子会社化、13年6月にアイタスからIT関連のローカライゼーション/マニュアル翻訳事業の一部を譲り受けた。14年10月には、医薬品承認申請・取得に関するメディカルライティング業務を専門に受託する子会社パナシアを設立した。
翻訳事業ではグループ全体で約6200名の登録者を確保し、対応可能言語は約70言語と国内最大規模である。翻訳サービスの需要は企業の知的財産権関連、新薬開発関連、新製品開発関連、海外展開関連、ディスクロージャー関連を中心に拡大基調である。またISSは国際会議運営の実績も豊富であり、20年東京夏季五輪開催に向けて通訳や国際会議の需要増加が予想される。
14年8月にはコールセンター運営のディー・キュービックと、日本国内におけるマルチランゲージ・コンタクトセンターサービス(在日外国人を顧客とする企業や団体を対象とした通訳・翻訳サービス)に関して、戦略的パートナーとして業務提携している。
今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(5月14日公表)を据え置いて、売上高が前期比7.1%増の94億円、営業利益が同31.7%増の4億80百万円、経常利益が同33.3%増の4億80百万円、純利益が同50.8%増の2億70百万円、配当予想が同3円増配の年間48円(期末一括)としている。
翻訳事業は、特許分野で企業の知的財産関連部署への拡販、医薬分野でメガファーマへの深耕、工業分野で自動車関連企業からの受注拡大、金融・法務分野でIR関連資料の制作体制強化など、積極的な営業展開の効果を見込んでいる。通訳事業も好調に推移する見込みだ。
第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比4.2%増収、同5.5%営業増益、同10.1%経常増益、同23.8%最終増益だった。セグメント別に見ると、コンベンション事業が前年同期の大型スポット案件(第5回アフリカ開発会議)の反動で同28.2%減収だったが、主力の翻訳事業が同5.5%増収、通訳事業が同23.7%増収と好調だった。利益面では粗利益率の改善なども寄与した。
通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が46.4%、営業利益が32.1%、経常利益が32.7%、純利益が31.9%とやや低水準である。ただし四半期別の営業利益を見ると、第1四半期(4月~6月)の16百万円に対して、第2四半期(7月~9月)は1億38百万円に改善した。粗利益率の改善や販管費の抑制も寄与して営業損益は改善基調だ。
第3四半期(10月~12月)以降に翻訳事業で大型案件を予定していることや、第4四半期(1月~3月)の構成比が高い収益構造であることを考慮すれば、通期ベースでの挽回が可能だろう。翻訳サービスの需要は中期的に拡大基調が期待され、20年東京夏季五輪に向けて通訳関連の需要拡大も期待される。
株価の動きを見ると、10月中旬~11月上旬の直近安値圏3100円台から11月下旬の3600円台まで戻した。その後は地合い悪化も影響して12月16日に3300円まで調整する場面があったが、19日には3400円台に戻して下値切り上げの動きを強めている。
12月19日の終値3440円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS160円28銭で算出)は21~22倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間48円で算出)は1.4%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1536円34銭で算出)は2.2倍近辺である。
週足チャートで見ると4月以降は概ね3000円~4000円近辺でのボックス展開の形だが、足元では26週移動平均線を回復して下値切り上げの動きを強めている。中期成長力を評価して出直り展開だろう。