ゆうちょ銀行は反落もMSCI指数組み入れなど好需給思惑は続き再騰気配

ゆうちょ銀行

■下値では根強い押し目買いが途切れていない

ゆうちょ銀行<7182>(東1)は、23円安の1761円と反落して始まっている。今年11月5日につけた上場来高値1823円に肉薄している。きょう18日に世界の機関投資家が、運用上のベンチマークとしているモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)の標準指数に採用され組み入れが開始されることから、買い需要が発生するとして前日に高値を窺い、きょうは目先の利益を確定する買い物が先行している。ただ今後も、東証株価指数(TOPIX)算入に伴う好需給思惑などが継続することになり、下値では根強い押し目買いが途切れていない。今年11月4日の新規株式公開(IPO)後の初決算として11月13日に発表した今3月期第2四半期(2Q)累計業績は、減収減益となったが、3月通期業績対比では順調な進捗率を示し、成長戦略の発動期待も潜在していることも、株価支援材料となりそうだ。

■国内外の機関投資家の買い需要が拡大し株価押し上げ効果

同社株は、持株会社の日本郵政<6178>(東1)などとともに、1987年上場のNTT<9432>(東1)以来の大型民営化企業として3社同時IPOされ、公開価格は1480円、公開(売出)株式数は4億1244万株で、資金吸収額は6000億円弱に達した。初値は、公開価格を約18%上回る1680円でつけ上場来高値1823円まで買い進まれ時価総額は8000億円を超えた。このためMSCI標準指数に採用されたもので、今後、グローバルに機関投資家の買いが拡大する可能性が高い。また、市場の一部では、同社のIPOに際してはIPO倍率が、国内一般投資家、国内機関投資家、海外投資家合計で約3倍になったと観測されており、IPO株抽選に外れたこれらの投資家が、今後のセカンダリー市場で買い需要を強める展開も想定される。 今3月期業績は、経常利益4600億円(前期比19.2%減)、純利益3200億円(同13.3%減)と予想、11月13日開示の今期2Q累計業績も、経常収益9871億5500万円(前年同期比4.2%減)、経常利益2516億9500万円(同7.8%減)、純利益1715億8700万円(同5.5%減)と連続の減収減益で着地したが、純利益は、3月通期予想純利益に対して53.6%の進捗率と目安の50%を超えた。手数料収入の拡大に向け野村ホールディングス<8604>(東1)などと3社で資産運用会社を設立したが、運用資産のほぼ半分を国債が占め、金利低下で収益が縮小傾向にあることなどが響いている。今期配当は、今年8月1日付けで実施した株式分割(1対30)を勘案して年間25円を予定している。 今後の業績動向については、政府が、自民党の提案した預入限度額の引き上げを検討しているほか、運用資産も多様化し、国債よりリターンの高い外国証券などでの分散を進めるなど成長戦略を策定、発動させることが予測されており、業績拡大につながってくる。

■PBR評価、配当利回りはメガバンクより割安で上値チャレンジに弾み

株価は、公開価格のPERが16倍台とメガバンクより割高になるものの、PBRは0.47倍、配当利回りは3.4%と割安なことが評価されて高人気の初値形成となり上場来高値まで買い進まれた。好需給思惑に加え政策支援を受けた成長戦略の発動期待も高め上値チャレンジが続こう。(本紙編集長・浅妻昭治)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■岡崎医療センターで実証、医療従事者の負担軽減と業務効率化を確認  川崎重工業<7012>(東証プ…
  2. ■全国の介護事業者が安心して選定可能、TAISコード取得で信頼性向上  丸文<7537>(東証プラ…
  3. ■生成AIへの危機感、弁護士の間で高まる  GVA TECH<298A>(東証グロース)は8月21…
2025年10月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ピックアップ記事

  1. ■全市場のわずか1.4%、希少な高配当利回り銘柄が浮上  株式市場では、高配当利回りを持つ10月決…
  2. ■「高市祭り」への期待と警戒交錯、資金は安定配当株へシフト  10月終盤相場は、「高市祭り」か「高…
  3. ■自民党総裁選と連立問題が相場を左右、短期急伸と急落を交錯  高市トレードは、まるで「超高速エレベ…
  4. ■東京市場、リスクオンとリスクオフが交錯、安全資産関連株に注目  週明けの東京市場は、米国株反発に…
  5. ■公明党離脱ショック一服、臨時国会控え市場は模索  またまた「TACO(トランプはいつも尻込みして…
  6. ■自民党人事でハト派ムード先行、逆張りで妙味狙う投資戦略も  今週の当コラムは、ハト派総裁とタカ派…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る