【アナリスト水田雅展の銘柄分析】インフォーメーションクリエーティブは調整の最終局面、16年9月期増収増益予想

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 インフォーメーションクリエーティブ<4769>(JQS)はソフトウェア開発を中心にソリューションサービスを提供している。15年9月期は営業減益だったが16年9月期増収増益予想である。指標面には割安感も台頭している。マイナンバー制度関連やサイバーセキュリティ関連も注目点だ。株価は調整の最終局面で反発のタイミングだろう。

■ソフトウェア開発を中心にソリューションサービスを提供

 ソフトウェア開発事業、システム運用事業、その他事業(パッケージ開発・販売)を展開し、顧客に常駐する型で情報サービス分野における総合的なソリューションサービスを提供している。

 顧客別に見ると日立システムズや日立ソリューションズなど、日立製作所<6501>グループ向けが全体の約6割を占めて収益源となっている。

 なお営業体制の効率化を図るため10月1日付でITソリューション事業部に営業本部を新設し、これに伴って営業本部にパートナー推進部も新設した。

 また11月6日にはコーポレートガバナンス体制のさらなる充実を図るため監査等委員会設置会社に移行することを決定したと発表している。15年12月18日開催予定の第38回定時株主総会に付議する。また同日、第38回定時株主総会での承認を条件として役員退職慰労金制度を廃止すると発表した。

■アライアンス戦略も積極化

 15年5月には、CNプレイガイドを運営してチケッティングに関するソリューションサービスを提供するコミュニティ・ネットワーク(東京都)と、エンターテイメント市場に特化したチケッティングソリューションサービス事業領域において包括的業務提携した。

 提携第1フェーズとして、当社の「チケット for Windows」とコミュニティ・ネットワークの「CNシステム」をシステム連動させた新たなチケット販売・管理ASPサービス「チケットGATE」の提供を開始する。座席登録、票券管理から発券・決済までチケット販売に関わるすべての業務を一本化して、全国のコンビニ約2万9000拠点を利用できる新チケッティングソリューションシステムだ。

 さらに提携第2フェーズとして、チケット販売額の適正化・収益の最大化をサポートするイールドマネジメントシステムなど、多様化するチケット販売方法に適応する次世代型チケッティングシステムの開発を推進する。

■15年9月期営業減益だが、減損損失減少で純利益は大幅増益

 11月6日に発表した前期(15年9月期)の非連結業績は、売上高が前々期比4.8%増の67億94百万円で、営業利益が同5.8%減の3億26百万円、経常利益が同0.5%減の3億80百万円、純利益が同2.1倍の2億06百万円だった。

 なおROEは同3.1ポイント上昇して6.1%、自己資本比率は同0.8ポイント上昇して68.5%となった。配当予想は前々期と同額の年間24円(期末一括)で予想配当性向は31.4%となる。

 売上高、各利益とも計画を下回り、営業利益と経常利益は増益予想から一転して減益での着地となった。なお日立グループ向けは売上高40億08百万円で売上構成比59.0%(14年9月期は売上高39億59百万円で売上構成比61.1%)だった。

 事業別売上高は、ITソリューション事業が同5.4%増の66億74百万円(内訳はソフトウェア開発が同8.7%増の30億35百万円、システム運用が同2.8%増の36億39百万円)だった。ソフトウェア開発は製造、官公庁・自治体向けオープン・Web系システム開発の受注が増加、システム運用は製造、金融・証券・保険向けのシステム運用管理の受注が増加した。ITサービス事業はASPサービスの一部ユーザーの機能削減に伴う契約変更が影響して同21.2%減の1億19百万円だった。

 利益面では、システム運用のインフラ構築での作業縮小に伴う待機工数の増加、ソフトウェア開発の作業超過に伴う原価の増加が影響した。売上総利益率は15.2%で同1.0ポイント低下、販管費比率は10.4%で同0.5ポイント低下した。純利益は減損損失減少が寄与して大幅増益だった。

 なお四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(10月~12月)15億97百万円、第2四半期(1月~3月)18億22百万円、第3四半期(4月~6月)15億89百万円、第4四半期(7月~9月)17億86百万円、営業利益は第1四半期72百万円、第2四半期1億49百万円、第3四半期7百万円、第4四半期98百万円だった。企業や官公庁の年度末にあたる第2四半期の構成比が高い収益構造だ。

■16年9月期は増収増益予想

 今期(16年9月期)の非連結業績予想(11月6日公表)は、売上高が前期比9.4%増の74億33百万円で、営業利益が同30.7%増の4億26百万円、経常利益が同22.2%増の4億64百万円、純利益が同41.7%増の2億93百万円としている。配当予想は前期と同額の年間24円(期末一括)で予想配当性向は31.4%となる。

 マイナンバー関連も含めて、IT投資が回復基調の金融機関の大型案件や官公庁向けを中心にソフトウェア開発需要が拡大する見通しだ。利益面では増収効果に加えて、前期のシステム運用における待機工数増加やソフトウェア開発における作業超過といった、利益押し下げ要因の一巡も寄与して大幅増益予想だ。

■長期ビジョンで100億円企業、東証2部上場を目指す

 13年11月発表の新中期経営計画(14年9月期~16年9月期)では、基本戦略としてソフトウェア開発・システム運用などのITソリューション事業の安定成長、自社パッケージ開発・販売のITサービス事業の成長加速、強固な人材・組織基盤の構築を推進している。

 経営目標値は16年9月期売上高80億円(ITソリューション事業76億円、ITサービス事業4億円)、売上高経常利益率8.0%を掲げ、長期ビジョンでは100億円企業、東証2部上場を目指している。

 11月6日発表の16年9月期業績予想では、中期経営計画の目標値が未達成ということになるが、中期的には収益拡大が期待される。

■株価は調整の最終局面

 株価の動きを見ると、9月の戻り高値1369円から反落して調整局面だ。そして15年9月期決算発表を受けて水準を切り下げた。ただし8月の直近安値870円を割り込むことなく900円近辺で推移して調整一巡感を強めている。

 11月20日の終値899円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS76円55銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間24円で算出)は2.7%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS908円02銭で算出)は1.0倍近辺である。時価総額は約35億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形となったが、8月の直近安値870円、そして過去のモミ合い水準800円台が下値支持線となって調整の最終局面だろう。16年9月期増収増益予想であり、指標面には割安感も台頭している。マイナンバー制度関連やサイバーセキュリティ関連も注目点だ。反発のタイミングだろう。

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